天塩川を越え、幌延町に入ると、北緯45度の標示がありました。
9月10日に、えりも町の南で北緯42度線を跨いだことを思いだしました。
今日まで知らぬ間に、何本もの緯度線を自分の足で越えて来たのかと、感慨が深まります。
11時前、豊富町で、スーパーの駐車場に自転車を乗り入れました。
出発してから4時間半が経過し、空腹を覚えたので、アンパンと野菜ジュースでカロリーとビタミンを補給しました。
今振り返れば、何とも質素な旅でした。
とは言ってみても、この辺にまともな食堂などは見当たりません。
サロベツ原野の向こうに雲を纏った利尻富士が見えています。
何とも贅沢な風景です。
周囲にはここでしか見られない、唯一無二の景色が広がっていました。
それにしても、何とのどかで平和な光景でしょうか。
ズームを利かせ、利尻富士の姿を堪能しました。
山が風を呼び、風が雲を育てるのでしょう、周囲の空に雲はありませんが、利尻富士だけに雲が湧いていました。
目に優しい緑の奥で、空に浮かんだ白い雲を被り、存在することだけに満ち足りて山が笑っていました。
国道40号を進んで行くと、原野の中に突然、鉄骨で囲まれたトンネル状の構造物が現れました。
これは、吹雪の時に車が避難するためのパーキングシェルターです。
この辺りは、なだらかに広がる原野の中に道路が伸びるので、吹雪の夜などは、大げさではなく、1m先が見えない程の吹雪に見舞われることがあります。
営業の仕事で、この辺りを車で走り回っていた頃は、吹雪の夜に路肩を外し、腹を見せて、道路脇の牧場にひっくりかえっているトラックの姿をよく見かけたものです。
今は平穏に見えるこの辺りの光景も、冬になれば、厳しい風と雪に閉ざされた世界に変わります。
そしてとうとう、進みゆく道の丘の上に、稚内の開基百年記念塔らしき姿が見えてきました。
基部が盛り上がり、赤と白の配色が見えますので多分間違いはないはずです。
何度も足を運んだ稚内の街ですが、自転車で辿り着く日がくるとは思っても居ませんでした。
それから約1時間後、緩やかな丘陵地の坂を下ると、目の前に稚内市街が広がっていました。
カメラの画像で時間を確認すると13時32分のことでした。
※ 他の記事へは 自転車でコスモスの島へ index をご利用下さい。
他の旅の記事は 旅の目次 をご利用下さい。