9月13日
層雲峡のテントの中で、テントを叩く雨の音に目を覚ましました。
テントのチャックを開いて空を覗くと、層雲峡の狭い空が雨雲に覆われていました。
「今日は休みなさい」と言うことかと悟り、もう一度シュラフの中に潜り込みました。
腰の辺りに筋肉の強張りを感じます。
大福餅と一口羊羹で空腹を紛らわし、ザックの底のジンを睡眠薬に午前中をシュラフの中で過ごしました。
昼近くになって、雨が小止みになった隙をついてテントを畳み、上川方面に向けてはしり始めました。
食料が底をついていたのです。
上川町に着く頃には、また雨が降り始めていました。
そのまま愛別町まではしり、公園の片隅にスペースを見付けると、再びテントを張って、コンビニで買ったワンカップを空け、そのまま夢の中へと入ってゆきました。
どれくらい眠っていたでしょうか、目を覚ましてテントを出ると、公園の片隅に石造りの祠が見えました。
かなり立派な造りで、歴史のある建物のように思えました。
その祠の中に、地下へと続く階段が見えました。
何があるのだろうと思い、好奇心が募り、ドキドキしながら石の階段を下りてみました。
鳥居の幅ほどの階段の先は暗くてよく見えませんが、不思議なことに、下るに従って暗さが薄れてきます。
そして階段を下りきった先の、城門のような扉に近づくと、自動的に扉が開きました。
その扉の奥の部屋の中には、赤ら顔の大男が台座の上にあぐらを組んで、私を睨み付けていました。
「えっ、もしかして閻魔様? 私はもうお招きにあずかったのですか」と訊ねてみました。
すると閻魔様は即座に、
「馬鹿者! 64、5歳の未熟者が何を寝ぼけたことを言ってるんだ。早く帰れ、もう二度と来るな。」と、一喝されてしまいました。
チャンチャン。
大変失礼致しました。
とても暇だったので、どう書いたら面白いだろうかと、シュラフの中で考えていたことです。
9月14日
テントの中で目を覚まし、外に出ると、朝の空は青く澄み渡っていました。
何時ものように、ジャムパンとコーヒー飲料で朝食を済ますと、愛別の街を出て、比布町で国道40号線に入りました。
周囲に広がる稲田の上には、昨日の雨が嘘のような、秋雲をたなびかせた空が広がっていました。
道路脇のオオハンゴンソウが、秋の稲田に彩りを添えていました。
そして、秋の到来を告げるこんなものも。
来るべき冬に備えて、彼らも忙しい季節を迎えたようです。
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