(2012年7月2日(月)発行)(次回7月9日(月)予定)
今回は、トヨタ生産方式の導入の本の2冊目になります。1冊目は、トヨタの歴史に基づき、トヨタが生産方式を確立していった順番に導入をしていけば良いとの結論と理解しました。2冊目は、トヨタ生産方式の構成要素的なものから、この順番で導入されるのが良いと記載されていると理解しました。どちらも同じ結論に最終的になっていると考えます。そのため、両方の本を読み、読み比べられると、より理解が進むのではと思います。
トライ(本を読むこと)をお願いします。
1.タイプ
クッション在庫方式
2.内容
第2部「トヨタ生産方式のIE的考察」の、第7章「トヨタ生産方式の導入と展開」に関連の記載があります。299p~318p。
ステップとしては、
①徹底的なムダ排除の空気作り
②生産方式の改善
③カンバン制度への展開
になります。
すぐに生産方式を改善するのではなく、非原価主義を理解する(=意識革命が必要)ことが必要になります。つまり、生産に関する風土の変革が必要になります。そのためには、”トヨタ生産方式”を実施している工場の実態を見学するすることが極めて有効と記載されています。また、個々の手法のみではなく、それらが”どのように関連を持っているか?”ということを明確に理解することが大切です。さらに、経営者の決心が必要です。
生産方式の導入では、ジャストインタイムの点からは、①シングル段取りの採用、②レイアウトの改善、③多工程持ちへの改善により、流れ作業化・小ロット生産化を図ります。また、自働化の点からは、ポカヨケなどの導入を図ります。
以上の準備がしっかりできても、心配な点はいくつもあるので、現在の在庫を無いものと思って仕事を進める「クッション在庫方式」を実施されたらどうですかと記載されています。
生産方式の導入後に、カンバン制度の導入に踏み切ります。
3.読書後の感想
結論を一言で言え言われると、317pの図41「トヨタ生産方式とカンバン制度の導入計画」になります。注意いただきたいのは、「トヨタ生産方式の導入」に「カンバン制度の導入」が追加されていることです。つまり、世間一般の方の中には、トヨタ生産方式とカンバン制度を同じものと誤解をされている方もあるようですが、”トヨタ生産方式”は”製造の方式”であり、”カンバン制度”は”運用の手段”ですので、別々に記載がされています。
新郷重夫先生の本は、ページ数が多く、同じような記述が何度も何度も出てきます。そのため読む時間が大変長くなります。しかし、これらを咀嚼して読んでいくことで、効率的な生産方法やトヨタ生産方式の基本が体の中に染み渡り、理解が深まり、力が付いてくるように思います。
今から約30年前に出版された本ですが、今でも違和感なく読めるのは、それほど生産方式についての本質が変わっていないためではないかと想像します。
4.本の情報
タイトル:トヨタ生産方式のIE的考察-ノン・ストック生産への展開-
出版社:日刊工業新聞
価格:2500円(当時)
出版年:昭和55年
5.著者略歴
昭和5年に山梨高等工業学校卒業後、台湾総督府交通局や日本能率協会に奉職。
昭和34年に経営管理改善研究所を設立し、所長。
昭和45年黄綬褒章を受ける。
6.外観
井上三右衛門
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