〜100mスピード曲線について話していた時、日本人選手はどうしても最後でスピードの落ち幅が大きくなる。
しかしルイスのデータは、逆に上がっていた。これについて、つい私は
『人種的なことも影響しているのでは?』
と聞いてしまったんです。すると、それまでとても優しかったテレツさんから怒られました。
『オリンピックは、人類は皆同じというところから始まっているのでは?メダルの色を変えるのはトレーニングでしょう?だったら、日本人はルイスの2m前から走らせようか?100mという距離は100mじゃないか』と。
ハッとしましたね。私はこれまで偉そうなことを言ってきた。
インカレで勝ちたい、日本記録を出したい、教え子をオリンピックに出したい。そんな夢や希望もありました。
でも、心のどこかで言い訳する気持ちがあったんです。地方の国立大学で推薦入試がないから、積雪など練習環境が悪いから人が来ない、と。
でもそうじゃない。
魅力のあるチームじゃないから来なかったんだ。
じゃあ、これからは魅力的なチームにしよう、もう絶対言い訳はしないと決めました。それから選手が育っていくようになったんです。〜
福島大学陸上競技部監督 川本和久