北のパラダイス

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原発再稼働:赤信号みんなで渡れば怖くない

2013年06月29日 | 原発問題
私はこれまでにブログに「原発に依存しないこと」や「原発再稼働反対」を訴えてきました。
その理由については何度も述べてきましたが、改めてまた述べたいと思います。

毎日新聞は「柏崎刈羽原発:新潟知事、新基準を否定 再稼働は困難に」を社説に取り上げました。
概要は、以下の通りです。

【新潟県の泉田裕彦知事は、29日までに毎日新聞の単独インタビューに応じ、原子力規制委員会の新規制基準は不十分で「(同県内に立地する)東京電力柏崎刈羽原発が新基準を満たしたとしても安全を確保したことにはならない」との認識を示した。立地県の知事が原発の安全性に疑問を投げかけたことで、東電が目指す早期の原発再稼働は困難な見通しとなった。】

【泉田知事は新規制基準について「福島第1原発事故の検証・総括なしに、(設備面などに特化した)ハードの基準を作っても安全は確保できない。新規制基準は、残念ながら国民の信頼を得られない」と批判。規制委についても「地方自治行政のことを分かっている人間が一人も入っていない」と指摘、緊急時の住民の避難計画などに関し規制委が県の意見を聞かなかったことを問題視し、「こんなデタラメなやり方は初めて」と厳しく批判した。7月8日に施行される新規制基準についても「(原発立地自治体の)県の意見に耳を傾けずに作られた。外部に説明するつもりのない基準など評価に値しない」と切り捨てた。】

【また、万が一過酷事故が起きた際、現行法では、事態の悪化を防ごうにも放射線量の高い事故現場へ作業員を出せないことを課題として指摘。「現行制度では法律違反で誰も行かせられないが、放置すればメルトダウン(炉心溶融)が起きる。そういう問題への対応も用意しないと、事故を総括したことにならない」と述べ、政府にも法的な整備を求めた。】

【感想】

新潟県の泉田裕彦知事が仰る事は本当にその通りだと思います。
私に言わせれば、原発立地県の知事さん達は全てこのような見解を示すべきです。

泉田知事の発言のように、福島第1原発事故の検証・総括なしに安全性を担保することはできないし、それなくして国も電力会社も関連産業も原発再稼働するなどとは口が裂けても言えないはずです、本来は。

それなのに何故、原発再稼働を急ぐのか?
国民が困るから? 産業界が困るから?
昨年、日本中の全ての原発が約一年間にわたって停止した間、電力不足で市民生活や工場稼働に重大な支障が出ましたか?
否。日本中が一丸となって節電に取り組んだ結果、原発なしでも生活や仕事に悪影響を及ぼすことはありませんでした。

では、一番困ったのは何処か?電力会社です。
経費がかさんだからです。

今、原発再稼働を最も大きな声で訴えているの何処か?
言うまでもありませんが電力会社です。経営が苦しくなるからです。

先日、北海道電力の株主総会が開かれ、一部の株主から原発再稼働撤回を求める発議がなされました。
しかし、ほとんどの株主、それも大企業や金融機関などの大株主が反対し却下されました。
原発を再稼働しなければ北海道電力の経営が苦しくなるので、株主としてはそのような事を認める訳には行かないそうです。

本当に信じられないですね。情けない話ですよ。
自分達の利益に反する事は、例え福島第一原発のような事故が北海道の泊原発で起こったとしても、仕方が無いということですよね。
そんな人達が大勢を占めているのかと思うと、なんか悲しくなります。

昔、ビートたけしさんが放った名セリフ「赤信号みんなで渡れば怖くない」を最近よく思い出します。
例えルール違反でも、やっちゃいけない事でも、みんなが一緒にやれば誰も何も言わない。
このような風潮は日本ではけっこうよく見る光景ですね。

原発再稼働も、例え国の内外からどんなに非難されようが、国や電力会社、関連産業等が結託し「原子力発電みんなで再稼働すれば怖くない」で行こうとしているのが、今の日本です。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」のオチをビートたけしさんは言いませんでしたが、私のオチはこんなものです。

【みんなで赤信号を渡ろうとする人達がいたので、私は「危ないし、規則違反なんだからやめよう」とみんなを制したところ、誰かが「クルマは全然来てないから危なくないし、赤信号を渡るくらいどうってことないからオマエも来いよ」と言って渡り始めた時に、急に暴走族のクルマが猛スピードで横断歩道に突っ込んで来て何人かをはねてしまいました。】

【はねられた人は大怪我を負い、中には死亡した人もいました。事故の責任はスピードを出し過ぎていた暴走族にもありますが、もとはと言えば赤信号なのに横断歩道を渡っていた人たちに責任があるのです。】

【では、誰が最初に横断歩道を渡ろうとしたのか、あるいは渡ろうと言ったのか。結局それが誰なんだか特定することができず、結局は死んだ人が言いだしっぺということになりました。ジャンジャン】

なんか悲しすぎるオチですね。
ビートたけしさんもひょっとしたら同じようなオチを考えてしまったので、敢えて口にしなかったのかもしれません。

福島第一原発事故の検証も総括もまだ終わっていないのに自分達の都合だけで原発を再稼働し、もしまた同じような事故が起きて多くの人達が故郷を無くしてしまう事になったとしたら、一体誰が責任を取るんでしょうか??
仮に、時の総理大臣が責任を取ると言ったとしても、どうやって責任が取れますか??

福島第一原発周辺に住んでいた多くの人達が、未だに行き場を失い彷徨っていらっしゃる。
それを解決することが何にも譲れない最重要課題じゃないですか。

新潟県の泉田裕彦知事のご発言はとても重いです。
政治家は住民・市民・県民・国民のために滅私奉公するのが務めです。

被災者の皆様が、一日も早く原発事故前の幸せな生活に戻れるように力を合わせる事が、同じ時代、同じ国に生まれた人間としての最低の務めだと、私も東日本大震災発生以来思い続けています。