男が日傘をさすのはなんとなく気恥ずかしいが、最近ではデパートや通販でも目につくので、利用する人があるのだろう。司馬遼太郎の「竜馬が行く」の中では階級によってさす、させないことが書かれている。当時の土佐藩は関が原の戦いで徳川につき恩賞に得た山内家が掛川から連れてきた家来を上士の階級におき、竜馬ら旧長宗我部遺臣は、郷士と呼び関が原後300年ある意味で藩から捕虜的な待遇をうけていたという。郷士は殿様にお目見得できず、同じ侍ながら、天と地の違いがあったという。傘の話であるが、上士ならその妻子眷属まで、晴天に日傘をさすことができ、郷士は一切できない。土佐勤王党首となった武市半平太は旧長宗我部の残党ながら祖父の時代に多少の金が出来で有力になり郷士としては破格の抜擢で家格が「白札」となった。「白札」は土佐独特の階級で上士の最下級の称号であるがあくまでも「上士」でない階級で、傘で言えば当主だけ晴天に日傘をさすことができるが、妻子は郷士と同様日傘をさすことができなかったという変というか面白い話が書かれている。
人目を気にすることなく、暑い日には傘の世話になることにしよう。