郷が杜備忘録

旅行や読書と日々の行動の記録。
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ベイジン(真山 仁著)

2019-11-09 | 読書
ベイジン(上)(下)
  幻冬舎文庫  2010年4月10日初版発行
  この作品は、2008年7月に東洋経済新報社より刊行されたものを修正したもの

  著者 真山 仁(まやま じん)
  1962年 大阪府生まれ、同志社大学法学部政治学科卒業。
  中部読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。
  2004年「ハゲタカ」でデビュー。他の著作に「ハゲタカⅡ」「マグマ」「レッドゾーン」「プライド」など。


  真山 仁さんの小説は今まで「ハゲタカ」「ハゲタカⅡ」「レッドゾーン」などを読んできた。
  この「ベイジン」も読みたかったが、しばらく上巻が手に入らなかったので、延び延びになっていた。
  読んでみてまた一気に読み終わってしまった。
  この小説は2008年に書かれている。それは2008年の北京オリンピックを控えた中国の姿が
  書かれているからである。

  物語は2005年から始まる。
  北京オリンピックの開会式に彩をそろえる「和諧の光」を供給するために、世界最大規模の
  原子力発電所を大連近郊に造ることから、それにかかわる日本人技術者田嶋と中国共産党
幹部・鄧学耕(ドン・シュエグン)を中心に、中国の現実と原子力発電建設の脅威との闘いが始まる。

  登場人物は、

   田嶋伸悟=紅陽核電の技術顧問・運転開始責任者
   鄧学耕(ドン・シュエグン)=大連市党副書記、紅陽核電運転開始の特命を持つ、前中央紀律委員会の職員
   馬漢研(マー・ハンイエン)=中央紀律委員会の副書記、鄧学耕の元上司
   楊麗清(ヤン・リーチン)=北京五輪記録映画の総監督
   李寧寧(リ・ニンニン)=副首相夫人、DPG(大連鳳凰集団)の総帥
   趙凱陽(チャオ・カイヤン)=大連市長


  紅陽核電(原発)の建設と共産党内部の権力争いを絡んで物語は進行、ウィーンのIAEA(国際原子力機関)での
  中国の核電開発のアピールを兼ねた訪問で物語は中盤に入り、ここでの原発事故のシュミレーションには
  驚かされた。まだ2011年の東日本大震災は起こっていなかったのであるから。

  物語はこの後、北京オリンピック開催に合わせた紅陽核電の運転開始から核電内の火災から始まる
  SBO(ステーション・ブラックアウト)に陥っていく。田嶋、鄧は体を張って事故対策に当たるが、蒸気爆発や
  炉心溶融(メルトダウン)への危険も迫る。日本の福島原発の事故を見るような緊張感であった。
コメント
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