8月29日、家内が左胸の辺りが痛くて動けないと言い出したので、救急車を要請し、日赤病院へ運ばれた。医師の説明によると「左肺の上に大きいガンと下に小さいガンがある」とのこと。
そして、「奥さんにはどうしますか?」と聞くので、
「いずれ分かることなので、知らせます」と私が言うと、
医師は、「それなら私から説明します」と言って家内に説明し、それを家内は神妙に聞いていた。
その日は痛み止めの点滴をしていったん帰宅し、次の日、再検査があり、今度は昨日とは別の医師が次のように説明した。
左肺の上にあるのはガンにも見えるが、胸膜炎膿胸で、これが痛みの原因で、昨日より数値が悪くなっているので入院した方がいい。入院は2週間ぐらい必要。下の方にガンもあるが、これは治る。ただ、まず膿胸から治す必要がある、とのこと。
最初、ガンと言われたとき、冷静ではあったが、しかし、その後で、家内が他界して、一人になった自分が頭をよぎった。そして、いくらあがいても、もう会うこともできない家内を思い、抜け殻のようになっている自分がそこにいた。
しかし、実際はそうならないでよかった。
救急車で病院に運ばれ、入院にはなったが、ガンが早く見つかり、かえって幸いだったのである。
そして入院は、家内にとって良い休養期間であり、ご本人は、毎日、1万回「ありがとうございます」を唱えつつ感謝する善い機会だと喜んでいる。そして、わたし自身は、「後悔なきよう、もっと半身を大切にせよ」と忠告をいただいた気がしている。しばらく病院へ通うことになるが、まるで昔の恋人同士に還った気分でもある。