こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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宣告をどう考える?

2009-11-02 23:14:16 | 訪問看護、緩和ケア
がん宣告、余命宣告・・・
最近の病院では、かなりの割合で病名を直接本人にお話しします。
そして、病状の説明、治療の方法、選択などが話されます。
早期の場合でも、がん宣告はショックなものです。
まして、末期です。といわれれば、あとどれ位生きられるのか、その間に何ができるのか、頭の中はごちゃごちゃで、パニックになってしまうでしょう。
でもきっと、その苦しみを踏まえないと、帰って苦しんでしまうことも多いのだと思います。

ご家族は、ご本人の気持ちを思いやって、「本人には、言っていません。ですから、絶対病気のことは話さないでください。」
そう言われることがあります。

「本人は気が弱く、ショックを受けて寝込んでしまうに違いない。」とか、「生きる意欲をなくしてしまうと思います。」「もう年なので、なにもいまさら病名を教えて、つらい思いをさせたくない。」などといろんな理由はあります。

うーん・・・本当にそうなんでしょうか?
本人は、本当にそう思っているのでしょうか?

病気は進んでいきます。
その都度、選択の岐路に立たされます。
抗がん剤を使うのか、放射線を使うのか、手術をするのか、緩和ケアにうつるのか。
でも、自分の病気をわからなければ、自分の治療の選択ができません。
自分がどんな治療を、どこで行うか?
自分は、何を残し何を伝えておかないといけないのか。
やっておきたいこと、逢っていおきたい人。
そして最後をどこで過ごしたのか。

じぶんの病気がわからなければ、選択の余地は、自分には与えられないのです。

病状の軽いうちはよいのですが、だんだん「なんかおかしい。」と思い始めます。
「先生の言うとおり、お薬も飲んでいるのに、全然よくならない。なんでだろう?」と思い始めます。
一生懸命隠しているご家族に、「何でよくならないの?私本当は悪い病気なの?」
と聞かれたら、なんて答えるんでしょうか?
「なんで、もう先生は治療をしてくれないの?」ときかれたら、また嘘をつくのでしょうか?

そして、本人は疑心暗鬼となり、思いつく限りの悪い予測に、不安な日々を募らせていくのです。

そんな患者さんを、時々みるにつけ、暗い気持ちになってしまいます。

小沢先生も「ご家族や本人が、病気に向き合えないのでは、支援しようがありません。」と言います。

それでも、黙っていることをご家族が選ぶなら、それはしょうがないことです。

でも、うそからは、嘘しか生まれてこない。

そんな患者さんが、時々います・・。