朝から、看護学生さんを連れて訪問に行ったYナースが、1時半になっても戻ってきません。
何かあったのかな?
2件目の患者さんが、昨日から状態が悪化しているので、きっと何かあったのだと思っていた矢先、Yナースから電話が・・・
「朝からトイレに通いずめているとのことで、直腸を確認したら、便が詰まっていて、自力で出せなくなっていました。浣腸と摘便したんですが、ひどく痛がってなかなか出せず、トイレから出れなくなっています。SPO2(酸素飽和度)も下がってきていますし、手足の冷感もあり、脈も弱ってきています。」とのこと。
とりあえず、なんとか説得してベットに運ぶことを伝え、主治医に相談しました。
もともとCOPDで酸素を使われています。かなりの負担があると思います。
先生も「手持ちの安定剤を飲んでもらい、全身の緊張をほぐしてから、ベット上で少しずつGE(グリセリン浣腸)をかけてもう一度やりましょう。5時ごろには僕も行きます。」とのこと。
再度Yナースに指示、安定剤を内服させ、横にしてもらいました。
そして、肛門周囲にキシロカインゼリーをたっぷり塗っておいてもらい、私もGEを持って駆けつけました。
すでにうとうととベットで休んでいましたが、断続的に起き上がりトイレに行こうとします。辛いのでしょう。
学生さんもずっとそばで体をさすっていますし、お嫁さんもお義父さんの手を握り締めています。かなりの衰弱が見て取れます。
もう一度だけ私に便を出させてくださいとお願いして、ベット上でなんとか2個の便を出しましたが、痛みが激しく悶絶するたび呼吸困難になります。
上を向いてしばらく腹部マッサージをして、今度はポータブルトイレで肛門周囲をマッサージすると、ボトン!という音ともに胡桃大の便塊が出ました。
とたんに、患者さんの肩の力がすっと抜け、苦悶していた顔がほっとした顔に。
「苦しくないですか?」「うん」
「もう、うんちでないですか?」「うん」
お嫁さんと学生さんが「出たー!!」「よかったー!」
お嫁さんが「ありがとう!うれしいー!」そう言ってそばにいた学生さんと抱き合い、電話中だったYナースも駆けつけ「出ました~?!よかったー!!」
「ウンチで、こんなに喜んだのは、子供が小さい時以来。」とお嫁さん。
そのあとベットに戻ると、すやすや眠りにつきました。
そのお顔は、穏やかで安らかで、愛おしくなるようなお顔でした。
夕方の看護学生の反省会で、彼女は「排便がこんなに大切なものだとは思いませんでした。患者さんは、トイレじゃないといやだと、何度も何度もトイレとベットを行ったり来たりしていたのですが、看護師さんがご本人のトイレに行きたいという思いを尊重して、トイレで処置をしていました。私なら、『おむつで出しましょう。ここで出していいですから。』と簡単に言っていたかもしれません。
でも、ご本人の思いを大事にすればそんなに簡単に言えることじゃないと思います。ただ、おからだの状態も悪い時にどこまで、本人の意思を尊重すればいいのか難しいと思いました。でも、すごくいい経験になりました。」と言っていました。
こういう場面に遭遇できて、こんな風に受け止めてもらえたら、私たちもすごくうれしいですよね。
Yナースが吸引器の説明をするところまで、一緒に見ていた彼女。
昨日のデスケースの会話も含め、きっといい看護師さんになると思います。
そのあと3件の皮膚科の往診補助に。
認知症で動き回り、殿裂部と、座骨 上部に褥創があるおばあちゃま。
ガーゼを貼ろうがフィルムを貼ろうが、創傷被覆材を貼ろうが、ものの1時間もあればきれいにはがしてしまいます。
なにも貼らずに処置するために、前回の往診でフィブラストスプレーのみでやってみましたが、やっぱり駄目でした・・・。
頻回なトイレに長く座りこみ、常に丸めたティッシュが詰め込まれ、おむつの中はぐちょグちょです。
よくもならなければ悪くもならない。
しいて言えば感染がないこと。
訪問看護が入って、排便コントロールがつき、便汚染の回数が減ったこと。
そして今日も、にこにこご機嫌さんでトイレ通い。
どう考えても、創を保護することはできそうにありません。
でも、傷がきれい。痛くない。良くはならないけど悪くもならない。(治ることを忘れちゃった?)、本人はいたって幸せそう。
ということで、ソフティアスプレーでオイルの被膜を作るだけ。にしました。
先生「いいんじゃない?もう・・なんといっても幸せそうだし。無理に治療する意味ないかも。お父さんもお母さんが楽しそうにしているから、それが生きがいみたいになってるし、これで様子を見ましょうよ。感染があったら連絡頂戴ね。」
ということになりました。
なんか、本当にこれでもいいじゃんって、気になってきました。
褥創治すのに、快感を覚えていた私たち。
褥創を治すことに固執していたのは、私たち。
本人には、大きなお世話なのかも知れません。
表皮1枚剝けた500円玉位の2個の褥創。
これからは、感染の予防と悪化の予防を目標に切り替えます。
何が何だかわっからないのよ~
本当にわかりませんわ・・・とほほの話ですが、世の中そんなに思うようにはなりません。
なんだかとても『ごめんなさい』の気分です。
何かあったのかな?
2件目の患者さんが、昨日から状態が悪化しているので、きっと何かあったのだと思っていた矢先、Yナースから電話が・・・
「朝からトイレに通いずめているとのことで、直腸を確認したら、便が詰まっていて、自力で出せなくなっていました。浣腸と摘便したんですが、ひどく痛がってなかなか出せず、トイレから出れなくなっています。SPO2(酸素飽和度)も下がってきていますし、手足の冷感もあり、脈も弱ってきています。」とのこと。
とりあえず、なんとか説得してベットに運ぶことを伝え、主治医に相談しました。
もともとCOPDで酸素を使われています。かなりの負担があると思います。
先生も「手持ちの安定剤を飲んでもらい、全身の緊張をほぐしてから、ベット上で少しずつGE(グリセリン浣腸)をかけてもう一度やりましょう。5時ごろには僕も行きます。」とのこと。
再度Yナースに指示、安定剤を内服させ、横にしてもらいました。
そして、肛門周囲にキシロカインゼリーをたっぷり塗っておいてもらい、私もGEを持って駆けつけました。
すでにうとうととベットで休んでいましたが、断続的に起き上がりトイレに行こうとします。辛いのでしょう。
学生さんもずっとそばで体をさすっていますし、お嫁さんもお義父さんの手を握り締めています。かなりの衰弱が見て取れます。
もう一度だけ私に便を出させてくださいとお願いして、ベット上でなんとか2個の便を出しましたが、痛みが激しく悶絶するたび呼吸困難になります。
上を向いてしばらく腹部マッサージをして、今度はポータブルトイレで肛門周囲をマッサージすると、ボトン!という音ともに胡桃大の便塊が出ました。
とたんに、患者さんの肩の力がすっと抜け、苦悶していた顔がほっとした顔に。
「苦しくないですか?」「うん」
「もう、うんちでないですか?」「うん」
お嫁さんと学生さんが「出たー!!」「よかったー!」
お嫁さんが「ありがとう!うれしいー!」そう言ってそばにいた学生さんと抱き合い、電話中だったYナースも駆けつけ「出ました~?!よかったー!!」
「ウンチで、こんなに喜んだのは、子供が小さい時以来。」とお嫁さん。
そのあとベットに戻ると、すやすや眠りにつきました。
そのお顔は、穏やかで安らかで、愛おしくなるようなお顔でした。
夕方の看護学生の反省会で、彼女は「排便がこんなに大切なものだとは思いませんでした。患者さんは、トイレじゃないといやだと、何度も何度もトイレとベットを行ったり来たりしていたのですが、看護師さんがご本人のトイレに行きたいという思いを尊重して、トイレで処置をしていました。私なら、『おむつで出しましょう。ここで出していいですから。』と簡単に言っていたかもしれません。
でも、ご本人の思いを大事にすればそんなに簡単に言えることじゃないと思います。ただ、おからだの状態も悪い時にどこまで、本人の意思を尊重すればいいのか難しいと思いました。でも、すごくいい経験になりました。」と言っていました。
こういう場面に遭遇できて、こんな風に受け止めてもらえたら、私たちもすごくうれしいですよね。
Yナースが吸引器の説明をするところまで、一緒に見ていた彼女。
昨日のデスケースの会話も含め、きっといい看護師さんになると思います。
そのあと3件の皮膚科の往診補助に。
認知症で動き回り、殿裂部と、座骨 上部に褥創があるおばあちゃま。
ガーゼを貼ろうがフィルムを貼ろうが、創傷被覆材を貼ろうが、ものの1時間もあればきれいにはがしてしまいます。
なにも貼らずに処置するために、前回の往診でフィブラストスプレーのみでやってみましたが、やっぱり駄目でした・・・。
頻回なトイレに長く座りこみ、常に丸めたティッシュが詰め込まれ、おむつの中はぐちょグちょです。
よくもならなければ悪くもならない。
しいて言えば感染がないこと。
訪問看護が入って、排便コントロールがつき、便汚染の回数が減ったこと。
そして今日も、にこにこご機嫌さんでトイレ通い。
どう考えても、創を保護することはできそうにありません。
でも、傷がきれい。痛くない。良くはならないけど悪くもならない。(治ることを忘れちゃった?)、本人はいたって幸せそう。
ということで、ソフティアスプレーでオイルの被膜を作るだけ。にしました。
先生「いいんじゃない?もう・・なんといっても幸せそうだし。無理に治療する意味ないかも。お父さんもお母さんが楽しそうにしているから、それが生きがいみたいになってるし、これで様子を見ましょうよ。感染があったら連絡頂戴ね。」
ということになりました。
なんか、本当にこれでもいいじゃんって、気になってきました。
褥創治すのに、快感を覚えていた私たち。
褥創を治すことに固執していたのは、私たち。
本人には、大きなお世話なのかも知れません。
表皮1枚剝けた500円玉位の2個の褥創。
これからは、感染の予防と悪化の予防を目標に切り替えます。
何が何だかわっからないのよ~
本当にわかりませんわ・・・とほほの話ですが、世の中そんなに思うようにはなりません。
なんだかとても『ごめんなさい』の気分です。