こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
看護師さんも募集中!!

看護師ブログのランキングです。ポチッってしてもらえると励みになります。(^^)/

にほんブログ村 病気ブログ 看護・ナースへ
にほんブログ村

摂食訓練・・1.5%トロミ水って??

2011-07-01 23:57:33 | 訪問看護、緩和ケア
先日、Mさんの嚥下サポートチームのカンファレンスがあり、担当ナースとヘルパーサ責のAさんが、その報告をしてくれました。

Mさんは、このまま一生残るはずだった気切孔をふさぐ手術を終え、次の段階である摂食訓練を本格的に行う事となっています。

病院での嚥下評価もまあまあだったので、1.5%のトロミ水からの開始です。

じゃあ1.5%ってどのくらい?
というわけで、実際にトロミの付き具合をみんなで試してみました。

簡単にトロミをつけるためのトロミ剤には、たくさん種類がありますが、今回栄養士の方がおすすめしてくれたのが、水・お茶用のトロミ剤「トロミアップパーフェクト」です。

                
トロミアップ パーフェクト 3g×50本
日清オイリオ
日清オイリオ


トロミアップって昔はかなり不味くて、粉っぽいしダマニなるしであまりいい印象はなかったのですが、最近のものはそんなこともなくなり、使いやすくなっているようです。

今回の嚥下評価では、空気を飲み込んでしまう事や、若干ながら梨状陥凹に残ることもあり、1.5%のトロミ水からの直接訓練を開始することになっています。

今回どれなら飲みやすいかな?と言う事も検討し水とお茶でお茶作ってみることになりましたが、以前どうしてもビールを飲ませたいというご家族がいたことを思い出し、炭酸のジュースでも作ってみました。

                   

一番手前が1.5%の水です。
水150㏄に対して、トロミ剤0.75g(4分の1包)の割合です。
でも、お水よりも冷たいお茶のほうが美味しい!というみんなの意見でウーロン茶でも作成。
さらに3%、それ以上と作ってくれました。

びっくりしたのが炭酸ジュース。
トロミ剤を入れてかき混ぜた途端、モコモコモコモコと膨れ上がり溢れてきました。
「わー!!」と大騒ぎをしましたが、ある程度で止まり、写真のような感じになりました。

飲んでみての感想です。

1.5%でも結構トロミが強いと言う事です。
なので3%になると口の中でネトネトしてきて気持ちが悪い。
それ以上になると、口の粘膜にべったりくっついて、飲み込みずらくてかえって危険な感じ。

みんなトロミが嫌なはずですよね。正直まずいです。
ただ、お茶の1.5%以下なら何とか飲めそう。
炭酸ジュースもこういうデザートだと思えばまあいけるかも。

ビールは・・。
喉越し命なので、きっと残念な感じだと思います。


訓練方法としては、お口の中を清潔にして、うがいをしてから行う事。
直接訓練の前に、間接訓練を行う事。
関節訓練は、深呼吸、首のストレッチ、シャキア訓練(首上げ訓練)、咳払い、発声などを行い、その後トロミ水を飲む。
トロミ水は、20分以内に飲めるだけ行い、途中カラ咳や発声を入れること、背中をトントンしてげっぷを出すこと。とします。

しばらくこれで訓練をして、問題なければ次の形態へと移行していくわけですね。

まあ、あんまり楽しい訓練じゃないので、本人にはちょっと憂鬱かもしれませんね。

でも、誤飲性肺炎を繰り返し、イレウスも繰り返してきたMさんなので、今度こその思いを込めて周囲も愛のムチってところでしょうか。

早くもっとおいしいものが食べられて、IVHも終了できればいいのですが。

ちなみに、窒息事故を起こすこんにゃくゼリーですが、あれはちょど気管の太さにぴったりなのだそうです。
吸い込むような食べ方を、子供は良くしますから、何かの拍子にスポッと喉の奥にはまってしまったら、自宅ではどうにもなりませんね。
同じようにバナナも実は窒息事故になりやすいそうです。
良く潰すとか、子どものころからなんでも良くかむ習慣が大事ですね。
時々お子さんで、寝っころがりながら口に物を入れていたり、いわゆる「ながら食べ」をさせている親がいますね。
親の責任においてちゃんと座って食事に集中させることが、子供を守ることにつながるのだと言う事を、もっとわかってほしいですよね。
うちの子供は、小さい時から遊び食べ、ながら食べだけはさせませんでした。

それから、食事の姿勢ですが、臥床している方は60度程度ギャッチアップで(壁に座椅子で持たれてもいい)首は軽度前屈し、飲み込むことに集中します。

うちのおじいちゃんは、いつもテレビの方を向いたまま食べていて、何を食べているのかわからないんじゃないのかと思ってしまいす。時々「おじいちゃん!これ食べて!」とおきい声で呼びかけてはいますが・・。

今まで、ここまで丁寧な摂食訓練はしませんでしたが、Mさんはこれからまだまだ可能性を持っています。
どこにでも行けて、なんでも食べられるようになるという・・。

そのゴールに向けて、嚥下サポートチームは頑張ってくれています。