こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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老人虐待を思案する。

2011-07-28 21:33:22 | 訪問看護、緩和ケア
世の中では、よく子どもの虐待が問題になっていますが、実は老人だって虐待は多いのです。

ただ、虐待と言っても暴力を振るわれたり、食事を与えられなかったりと言ったものではなく、どちらかというとネグレクトに近い場合が多いように思います。

もしくは、言葉の暴力や受診拒否なども時々みられます。

そして、夏場特に困るのは劣悪な環境での放置です。

家が古いとかそういう問題ではない汚さや、腐臭や便臭や、あちこちに潜む不快害虫。
あげくに蛆のわいた食器にたかる蟻・・。

こうなると、スタッフの恐怖はもはや限界となり、今後の訪問の継続を考えざるおえなくなります。

だからって、ハイさようなら・・ってわけにはいきません。
このままでいいわけないじゃないですか。

そうはいっても、今までだって、かなり我慢してくれたスタッフたち。
きっとヘルパー事業所だって同じだと思います。
みんな訪問の度に悲鳴を上げたり、翌日発疹が出たりと大変です。

これって、一般的には虐待に当たると思うのですが、じゃあこういうケースのご家族が、暴力を振るったり食事を与えなかったりしているのかと言えばそうではなく、かなり歪んだ形ではあっても、そこにはそれなりの愛情があったりもするわけです。

何より、その劣悪な環境を劣悪と感じないご家族の場合、いくら周囲が劣悪と言っても、そこにはそれほど悪意がなかったりもするのです。
また、当の老人は重度の認知でそんなことは何もわからず、蛆がわいたお盆の食事を食べても、便まみれの布団で便まみれでいても、ニコニコ笑顔で過ごせてたりして・・・。

ケアマネさんも本当にご苦労様だと思います。
いつだって、話し合いが話し合いにならない担当者会議に、サービス事業所からの悲痛な要望。
当初入っていた行政は、いつのまにかケアマネに丸投げで姿を見せなくなりました。

結局どうしたら行政も動かすことが出来るのか。

スタッフで考えました。

たとえば
<とにかく、各事業所がもうこの環境では入れないことを伝える。
しかも、夏場この環境に老人を幽閉することは、社会的にも医学的にも問題であることを伝える。

そのうえで、「私たちは出来ませんから、保健師さんの訪問でお願いします。」と頼む。

この患者さんは、定期的な排便コントロールがないともっと便まみれになりますので、そこもお願いする。

それで自分たちが困ると、初めて本気で対応してくれる。>

こんな感じ、いかがでしょか?

結局ケアマネがいて、サービスがなんとか入った段階で、もう困難事例から外れちゃうんですね。
確かに、世の中誰の介入もなくとんでもない状況で暮らしているかたはたくさんいるわけで、後は頼むよって言いたい気持ちもわからなくはないですが・・。
だからって、このまま丸投げは許されません。

この数年間頑張ってきましたが、ますますパワーアップした環境の悪化に、訪問スタッフ自体の健康も心配です。
やはり、事業所としても管理者としても放置はできないな・と・。
ケアマネさんはとってもいい人ですし、その上司も良く動ける人なので、ここはみんなでもう一度環境の改善のため頑張りたいと思います。

小児は、児童相談所に通報すれば、比較的介入してもらえるのでしょうが、老人はあまり介入してもらえないのが現状です。
さっき言ったように、一度ケアマネがついてしまえば、そこから先はケアマネの采配になってしまうので。
でも、いざというとき、最後の要としての行政の介入が私たちは欲しいのですけれど。

水戸黄門の印籠が欲しい今日この頃です。