こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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眠るの怖いね。

2011-07-18 22:53:53 | 訪問看護、緩和ケア
ナデシコジャパンめっちゃ「 かっこいいぞー!! と朝から興奮。
とはいえ、夜はしっかり寝ていたので、私が見たのはダイジェストです。すみません・・

すごいなー。
成せばなる!・・というより努力と精神力と、さらに大いなる何かの力。
そして、その何かの力を引き寄せるのも、ナデシコジャパンのパワー。

繰り返される映像を見るたび、解説を聞くたびに涙目になってしまいます。

こんな風に、日本中の人に元気と勇気を届けることが出来るなんて、本当にすごいとしか言いようがありませんね。

なんだか最近、気持ちも体力も低迷気味の私ですが、少しは前を向かなくちゃと、めずらしく教科書、ノートを開いて、PCの到達度テストを繰り返していました。

それにしても、今日で連休はおしまいです。
明日からまた、めまぐるしい一週間が始まります。
看護学生さんも来ます。
いまいちへなちょこな私ですが、頑張らないと何も始まりません。

先週のナースSの緊急当番は、過去最高の忙しさでびっくりしましたが、私がバトンタッチしてからは電話もほとんどありませんでした。
金曜日の夜に1件の緊急訪問と、ついさっきの緊急訪問だけです。

連休は、体調のすぐれない患者さんや、独居の患者さんにとっては、大きな不安材料になります。

終末期で不安が強かったりして、平日頻回訪問している方などは特にそうです。

3連休、ヘルパーさんは来るとしても、病状不安や疼痛コントロールに不安のある方は、いつもにも増して不安になってしまうようです。

夕方の電話「なんか息苦しいし、どこか変。薬を飲んだらどうにかなっちゃいそうで怖い。このまま我慢していたら、夜中におかしくなっちゃうかもしれない。どうしよう。」

来てほしくても、うまく切り出せない様子です。
患者さんだって、休日訪問の要請はなんとなく悪いと思ってしまうんですよね。

「それじゃあ今から見に行こうか?」
「・・・うん。そうしてくれると安心なんだけど・・・。」

訪問すると、意外と元気そうなKさん。
しっかりとベットに腰掛けて、「わるいね~」と照れ笑いです。

疼痛コントロールのためには、麻薬系のお薬と非麻薬系のお薬を一緒に使います。
さらに、神経の痛みやしびれに作用するお薬も使います。
何段階かに分けて痛みに応じて増量していくのですが、副作用と言うか、どうしてもウトウトすることが多くなってくるのです。

「定時の薬もあるでしょう?でもこんなに飲んで大丈夫なのかな?って。なんだか眠くなっちゃうのが嫌なんだよ。眠くなるとハッとして起き上がっちゃうんだ。それでこうして立ちあがってみたくなる。」
「怖い?眠るのが・・」
「うん,こわい。」
「そのまま目が覚めないんじゃないかって思うの?」
「そうそう。」
「死んじゃうんじゃないかって?」
「そう。だから、ストンって落ちてくような気がしてハッって起きるんだよ。」

この会話は、今までもいろんな患者さんと繰り返ししてきた会話です。

死を意識して、病状が進んだ時、みな同じような思いにとらわれるようです。

恐怖。
モウ、メザメナイカモシレナイ。と言う・・。

これに似た感覚は、私自身が不安定な時期に感じたことがあります。
が、現実の死を強く意識しての恐怖は、もっともっと計り知れないのだとも思います。

私に何が出来るのか?何が言えるのか?

バイタルをとり、胸を音を聞く私を不安そうにのぞき込みます。
「大丈夫?どこか変?」

おしっこもきれい。
浮腫みは、利尿剤で少し減ってきているね。
酸素の取り込みは、深呼吸をしたらすごく良くなったね。
便も出ているし、吐き気もないね。
不安で小さな息をしていた?
今は100%!

「今は苦しい?」
「あれ?苦しくない。でもすごく変だったんだよ。」
「うん。そうだね。ただ、今は大丈夫。痛いの我慢せずにお薬のもう。明日の朝は、嫌でも必ず目が覚める。」
「息苦しくなったら、ゆっくり深呼吸をしようね。痛いの我慢しても不安になるし、不安になれば胸が苦しくなることもあるから、まずは痛いの我慢するのをやめよう。」

今までも何度も繰り返されたやりとり。
彼は、「わかった。そうするよ。今日は寝る。」そう言って「悪いね。休みなのに。」とねぎらってくれました。
「心配だったら電話してね。」そう言って帰宅しました。

夜が怖い。
寝るのが怖い。
メザメナイカモシレナイ。
自分が自分じゃなくなるような気がする。
眠りたいのに、眠れないのが苦しい。

恐怖はどうすれば薄らぐのか、ぐっすり眠れることが、どれほど幸せなことなのか。
痛みよりも辛いかもしれない苦しみがあるのです。