こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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今日も元気だ。裸で高笑い。

2011-12-07 22:26:51 | 訪問看護、緩和ケア
毎日、終末期の患者さんや問題を抱えた患者さんの対応に追われていますが、そんななかでもほっとしたり、ほっこり出来たりするおうちもあるのです。

大分前にも書いたことがあるご夫婦。

お尻の座り胼胝から褥瘡になり訪問看護が入りました。
毎回訪問するたびに、自己紹介。
すぐに思い出してくれて、戦争のお話しをしたり、冗談を連発したりと、とても楽しいおうちです。
そして、もうかれこれ1年くらいたつでしょうか。
やっと私の顔と訪問の日時は覚えてくれました。

お尻の創はと言えば、治ります・・が。
また剥けます。の繰り返し。

でもGさんは言うんです。
「いいんだよ~。だって治ったらもう見てもらえなくなっちゃうでしょう?治らなくていいからずっと来てね~」って。

ご夫婦は、お子さんがいらっしゃらないので、日々の生活はヘルパーさんが支えてくれます。

とてもなかよしなお二人の楽しみは、庭にやってくる鳩の夫婦に餌をやること。
鳩が食べた後は、スズメが待っています。

庭の自転車のかごには、鳥用の「ササニシキ」が入っていて、毎日1合近くを鳩や小鳥に与えています。
天気が良い日は、玄関の前のデッキチェアに座って、日がな餌を食べにくる鳥を眺めています。

お父さんは毎日超薄着で、私が訪問すると、ストーブはあるとはいえ97歳にしてサッパリとパジャマの上を脱ぎ捨てます。
私が処置するのはお尻なので、上着を脱ぐ必要はないのですが、必ず脱ぎます。

処置の後は、ソファに座ってバイタルを測るのですが、この前は手の上になにかのっけて食べ始めました。
「これ、美味しいんだよ。上品な甘さで何とも言えない。あなたも食べて行きなさい。」と、シャリシャリ音を立てながら私に勧めてくれます。

「これこれ」って、3本渡そうとするんです。
コーヒーシュガーのスティック5g入りのもの。

いや、Gさん。これは食べるものじゃなくって・・。

「なーに。うまいんだから、食べてみなって。これね、餡パンにかけて食べるともっとうまいんだよ~」

満面の笑顔で進めるお父さんですが、それは丁重にご辞退申し上げ、ご挨拶をして家をでると、奥さんは玄関の外まで送ってくれます。
家の外で車に乗ると、庭を回って塀の上から顔を出して、お父さんが大きく手を振ってくれるのです。
「ばいば~い。」バックミラーに手を振るGさんを見ながら、ひとしきり幸せな気分に包まれるのです。

疲れていても、心が弱っていても、日々の中で起こるほんの小さなことが、人の心に小さな灯をともすのだとおもいます。

そんな小さな灯に、私もなりたい。