終末から緊急当番ですが、うそみたいに電話が鳴りません。
かかってきたのは一度だけ、それも緊急訪問には至らず、電話対応だけで済みました。
でも、木曜と金曜に私が急遽お休みをいただいた間に、状態が悪化している患者さんがいます。
月に一回だけですが、私が訪問している患者さんです。
電話をかけてみると、小康状態ながらすでに意識もなく、酸素とお薬で眠っているとのこと。
ご家族のご希望で、今日訪問しました。
娘さんは、だいぶ泣かれたのでしょうか。
瞼が腫れて「泣いてばかりいるから、こんなになっちゃった。」と寂しげに笑っていました。
もう、長いこと介護をされてきました。
ほとんど寝たきりでしたが、細やかに丁寧に介護されてきました。
若いころは、親子関係で悩んだこともあったようです。
でも、今は生活の中で介護をすることが生きがいのようになっていました。
ずっと介護抵抗があって、手足をばたつかせたり、介護者の手をひっかいたり振り払ったり・・・
そのうえ、自分の身体を掻きむしってしまうので、両手を抑制するしかない状況でしたが、いまやっと抑制もほどくことが出来て、穏やかに寝息をたてていました。
娘さんは、介護にはこだわりがあって、お母さんのお部屋はこだわりの物品やレイアウトがされていて、サービスも納得いくまで探しました。
最初は私もすごい介護抵抗にあいましたが、このところはずっと私の訪問には拒否もなく、穏やかで手のひらを撫でているとすやすや眠ってしまいます。
私には、表情が穏やかとか、怒っていないな、とか今日は機嫌が悪いな、位しかわかりませんが、娘さんはちょっとした表情で会話が出来ていたそうです。
そのお母さんが、数日前ふと目を開けて「ありがとう。」と言ったのだそうです。
ちゃんと「ありがとう」と。
そして眠りについてから、ずっと眠っていると。
「それだけは言っておきたかったのね。」そういうと、娘さんは涙ぐんで頷いていました。
この方は胃瘻からの栄養でしたが、滴下での管理では注入直後からゼロゼロするようになったため、半固形化栄養をお勧めして、ずっと呼吸状態も落ち着いていました。
けれど、廃用症候群が進みここ1年で少しずつ栄養の量も減らすようになりました。
半固形化でも逆流するようになったのです。
身体はとても小さくて、基礎代謝もかなり少ないと思われ、800Kcalから徐々に減らし、600Kcalでもゼロゼロするようになりました。
これ以上減らせば、栄養は取れなくなります。
ご家族はかなり悩みました。
一度はご希望で点滴を入れたり、胃瘻からポカリを入れたりしましたが、それでもゼロゼロが出てきます。
胃瘻につなぐと、本人は苦しげに手で振り払おうとし、注入が始まると苦しげに呻吟するというのです。
この段階まで何度も話し合いました。
主治医とも、私たちとも・・。
そして、娘さんは決心したのです。
もう、点滴も胃瘻もやめようと。
それでも「今日は、少し楽みたいでしょう?これならもう一度栄養を入れたら元気になるかな?」と私に質問します。
気持ちは、いつでも大きく揺れます。
もしかしたら、もしかしたら、と。
本当はわかっているのですよ。
娘さんだって、どうすれば一番穏やかでいられるのかを。
帰り際「週末お休みって聞いたから、もうお母さんに逢ってもらえないでお別れかと思ったけど、今日来てくれてすごくうれしかった。」と言ってくれました。
私も、今日会えてとてもうれしかった。
もう、娘さんは心が決まったようです。
どうか、静かに穏やかに、娘さんの見守る中で旅立ってくれますように。
かかってきたのは一度だけ、それも緊急訪問には至らず、電話対応だけで済みました。
でも、木曜と金曜に私が急遽お休みをいただいた間に、状態が悪化している患者さんがいます。
月に一回だけですが、私が訪問している患者さんです。
電話をかけてみると、小康状態ながらすでに意識もなく、酸素とお薬で眠っているとのこと。
ご家族のご希望で、今日訪問しました。
娘さんは、だいぶ泣かれたのでしょうか。
瞼が腫れて「泣いてばかりいるから、こんなになっちゃった。」と寂しげに笑っていました。
もう、長いこと介護をされてきました。
ほとんど寝たきりでしたが、細やかに丁寧に介護されてきました。
若いころは、親子関係で悩んだこともあったようです。
でも、今は生活の中で介護をすることが生きがいのようになっていました。
ずっと介護抵抗があって、手足をばたつかせたり、介護者の手をひっかいたり振り払ったり・・・
そのうえ、自分の身体を掻きむしってしまうので、両手を抑制するしかない状況でしたが、いまやっと抑制もほどくことが出来て、穏やかに寝息をたてていました。
娘さんは、介護にはこだわりがあって、お母さんのお部屋はこだわりの物品やレイアウトがされていて、サービスも納得いくまで探しました。
最初は私もすごい介護抵抗にあいましたが、このところはずっと私の訪問には拒否もなく、穏やかで手のひらを撫でているとすやすや眠ってしまいます。
私には、表情が穏やかとか、怒っていないな、とか今日は機嫌が悪いな、位しかわかりませんが、娘さんはちょっとした表情で会話が出来ていたそうです。
そのお母さんが、数日前ふと目を開けて「ありがとう。」と言ったのだそうです。
ちゃんと「ありがとう」と。
そして眠りについてから、ずっと眠っていると。
「それだけは言っておきたかったのね。」そういうと、娘さんは涙ぐんで頷いていました。
この方は胃瘻からの栄養でしたが、滴下での管理では注入直後からゼロゼロするようになったため、半固形化栄養をお勧めして、ずっと呼吸状態も落ち着いていました。
けれど、廃用症候群が進みここ1年で少しずつ栄養の量も減らすようになりました。
半固形化でも逆流するようになったのです。
身体はとても小さくて、基礎代謝もかなり少ないと思われ、800Kcalから徐々に減らし、600Kcalでもゼロゼロするようになりました。
これ以上減らせば、栄養は取れなくなります。
ご家族はかなり悩みました。
一度はご希望で点滴を入れたり、胃瘻からポカリを入れたりしましたが、それでもゼロゼロが出てきます。
胃瘻につなぐと、本人は苦しげに手で振り払おうとし、注入が始まると苦しげに呻吟するというのです。
この段階まで何度も話し合いました。
主治医とも、私たちとも・・。
そして、娘さんは決心したのです。
もう、点滴も胃瘻もやめようと。
それでも「今日は、少し楽みたいでしょう?これならもう一度栄養を入れたら元気になるかな?」と私に質問します。
気持ちは、いつでも大きく揺れます。
もしかしたら、もしかしたら、と。
本当はわかっているのですよ。
娘さんだって、どうすれば一番穏やかでいられるのかを。
帰り際「週末お休みって聞いたから、もうお母さんに逢ってもらえないでお別れかと思ったけど、今日来てくれてすごくうれしかった。」と言ってくれました。
私も、今日会えてとてもうれしかった。
もう、娘さんは心が決まったようです。
どうか、静かに穏やかに、娘さんの見守る中で旅立ってくれますように。