こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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雨の緩和ケア研究会

2009-11-17 22:15:56 | めぐみ在宅緩和ケア関連
どういうわけか、緩和ケア研究会は雨の日が多いような気がします。
それもけっこうな雨のことが多く、時には雷まで鳴ることもありました。

そして今日も、朝から冷たい雨が降っています。

誰が雨を降らせているのか?!

そのためか、今日はやや出席者が少ないような気が・・・

でも、学生さんはちゃんと来ていました。

一番前の席で、一生懸命聴いていました。

初めての人が多かったため、最初は援助的コミュニケーションの基本のお話から始まりました。
そのあとに、いくつかの短い事例のなかから、サクサクとメッセージをひろい、そこからどのように応対すれば、プラスを2プラスに、マイナスをプラスにすることが出来るかという練習をしました。

この勉強会に通っていると、いろんな立場の人と、知り合いになっていきます。
今日は、作業療法士の青年を小澤先生より紹介されました。
在宅でのリハビリにとても意欲的で、訪問看護ステーションでの仕事を希望されているとか。
すごく元気で、やる気のある好青年でしたが、うちのステーションは男子は一人もいないので、彼には辛いと思うのだけれど・・・
もう一つは、非常勤での仕事は、男子には厳しい・・・
これから、結婚して家庭を持つ男子には、将来のことを考えれば、常勤じゃないと厳しいですよね。
でも、うちはOTを常勤にはできないと思うし・・・

近隣で、彼が力を発揮できる所があれば、ぜひご紹介したいと思いました。

そのあとは、泉区の特養の方からも声をかけていただきました。
ウェットドレッシングに関する、新しい情報をいただき、今度はドレッシング材のメーカーさんをご紹介してくださるとのことでした。

なんか、こうして少しずつ、いろんな人と出会って、いろんな情報を頂けるのはとてもうれしいことです。
自分のしらない事も、教えてもらえるし、何度も顔を合わせているうちに、もうすっかりこの地域の仲間として認知し合えています。
これから、何かあっても一緒に支えてもらえる気がします。

ここに来るのは、みんな熱い思いの仲間ですから。



AERAに特集されました。

2009-11-16 21:53:28 | 訪問看護、緩和ケア
 AERA11月号  現代の肖像「小澤 竹俊」

ノンフィクション作家の、山岡淳一郎氏による特集記事です。
 めぐみ在宅クリニックの「緩和ケア」研究会での写真です。

私のところにも、何度か取材に来られ、瀬谷区メディカルセンターも連携施設として紹介され、私も実名で出ています。

お話したことと、ちょっと変わっていますが、ページ内で文章をまとめるるには、いたしかたないのかもしれませんね。

しかし、いろんな意味で小澤先生の影響力はすごいです。

これだけメディアで取り上げられると、新患のかたにも説明しやすく「あの先生なんですね。」と言っていただける。
在宅での看とりがイメージできないご家族には、NHKスペシャルの「最後の願いをかなえたい」のDVDをお貸ししたりしています。

けれど、まだまだ介護保険も、在宅緩和ケアも知らない方がいます。
在宅緩和ケアがあり、訪問看護があり、ケアマネがいて、訪問入浴もあり・・・
そういう一連の在宅介護サービスがあることを、少しでも多くの方々に伝えられるよう、これからもいろんな形で地道に発信して行きたいと思っています。

そういう意味でも、このブログを通して、少しはお伝えできているといいのですが・・・。

明日はまた第3火曜日。「めぐみ在宅クリニック」の緩和ケア研究会です。
この前の学生さんも来ます。
少しずつでも、新しい仲間が増えるのはうれしいことですね。
若い人たちが一生懸命勉強して、未来に向けて心も磨いてくれるのは、すごく頼もしいです。





ケアマネさん募集中!

2009-11-15 23:13:15 | 訪問看護、緩和ケア
看護師さん同様、ケアマネジャー、ヘルパーも募集してます。
看護師さんは一人来てくれることになりましたが、将来的に緊急電話も持ってくれて、常勤になってくれる人がいたら、もう一人来てほしいんですが・・

ケアマネさんは、専任でお願いします。
できれば、月~金まで来れるかたで、非常勤勤務で募集します。
おやすみや、時間の希望はかなり融通が効きます。
ターミナルの方が多いので、出入りが激しいのですが、慣れればうまく回ります。
ちなみにケアマネを持っている看護師も8人いますが、訪問看護で手いっぱいなので、専任のかたにお願いしています。
逆にいえば、ケアマネさんがお休みの時は、誰かしら代行できますので安心です。

ヘルパーさんも、なるべく月~金でコンスタントに来れる方を募集しています。
やはり、医療ニードの高い方が多いので、身体介護ができる方。
自転車の移動が多いです。

一応、女性ばかりの職場なので、女性の募集となります。

職場の雰囲気は、かなりいいと思います。
泣いたり笑ったり、お互いさまで融通し合って頑張っています。

お年頃ですかね・・・

2009-11-14 23:25:24 | 訪問看護、緩和ケア
いつまでも、若いつもりで動いていると、けっこうひどい目にあいます。
この数年、とみに衰えたのは視力。
もともと、目がよかったため今は老眼がひどく、パソコンの影響もあってか、乱視まで混じって老眼鏡なしでは字は読めません。
インフルエンザの注射を打ちあっていますが、針先が裸眼では見えませんし・・・
ヒエ~

そして、看護師の職業病でもある「腰痛」「肩こり」。
まあ、言い出したらきりがありませんが、うちのスタッフもみんな、そこそこお年頃です。
そんなわけで、ここ2年で骨折者3人出ました。
下山途中で、次は自転車で、さらにこの前指を骨折したSナースは、押し入れに指を挟んでという悲しさ・・・

それでもなんでも、訪問看護師としては、子育ても嫁も妻も経験済みの、このお年頃が結構安心感を提供できたりするんです。

疲れが取れにくいのも難ですが、栄養ドリンクを片手に、おやじみたいに気合いを入れて奔走中です。

これから年末にかけ、病院から押し出されるように患者さんが増えていきます。
今から覚悟をしないといけません。

でも、面接で看護師さん一人来てもらえることとなりました。良かった~

すでに、この一週間で3人の患者さんをお見送りしましたが、働き者でハートの厚いスタッフがしっかり患者さんやご家族を支えてくれています。
なんか、恵まれているなーと感じます。

そして、金曜日に実習を終えた看護学生さんからも 看護学生さんたちへ「YELL~エール~」の記事に素敵なコメントをもらいました。

こんな毎日でも、みんなの熱意や、患者さんとの出会いや、学生さんのパワーをもらって、まだまだ頑張らないといけませんよね。
お年ごろを、いっそ過ぎてしまえば、また調子もよくなるかな?

法が届かない場所。

2009-11-13 23:12:15 | 訪問看護、緩和ケア
病気になって、本当に苦しい状況に追い込まれる人は、どういう人でしょうか?

日本には、生活保護という対策があって、一定額以下の収入しかなくて、貯金や不動産などの財産もなくて、病気やその他の大変な事情がある人に限って、審査のうえ生活保護を受けることが出来ます。
生活保護を受ける事が出来れば、医療費や学費、介護保険サービスなどの支払いは免除され、よほど贅沢をしない限り、十分生活は成り立ちます。

けれど、ギリギリでも年金を受け取っている人はどうでしょう?
ご夫婦でささやかなお店を切り盛りして、一生懸命に働いて、贅沢もせず税金も納めて、子供を育てて、年金額は最低にするしか方法がなかったとしたら・・
夫婦二人で年金7万円だとしたら、どうやって生活をしていったらいいんでしょうか?
少ない年金と、貯金の切り崩し。
古くて小さいけれど、持ち家があればなおのこと、人様に迷惑をかけたくないと頑張る方ほど、思うように治療も受けられず、必要なサービスも入れられません。

たとえば、20代の健康だった方が癌にたおれたら?
それまで若くて健康だったら、がん保険に入っていない人も多くいます。

働き盛りのお父さんだったら?
子供の小さいお母さんだったら?

若いだけで、3割負担のお金がかかります。
仕事はできませんし、保険で払う医療費のほかに、通院費や保険が効かない高額の治療費、子供がいれば養育費もかさみます。
高額医療費請求をしても、追いつかないほどお金はかかるのです。

麻薬の貼り薬、保険でも1枚数千円かかります。
ホスピスは、1カ月50万から60万。
公立の緩和ケア病棟でも、安くて20万から35万。
3割負担は地獄です。

介護保険が適応になるのは、40歳以上。
その前ならば、ベットを借りても、訪問入浴を頼んでも全部10割負担です。
レンタルベット一式1カ月2000円~15000円(業者と種類によります)

エアマットは5000円前後、訪問入浴は15000円位です。

経済的に余裕のあるご家庭ばかりではありません。
働き手が倒れれば、収入も途絶えます。

そんなご家庭を、たくさん見てきました。

一生懸命働いて、年を重ねた人たち、これから頑張ろうとした人たちが、なんでこんなに苦しむのか・・・・

昔、散々すき放題して、全部のお金を使いはたして、なにもなくなればそれはそれで生活保護で守られるのに、一生懸命生きてきた人が、守られないのは何故なんでしょうね。

次々と家族が病気になり、年金さえも担保にして、介護保険料も滞ってしまったら、本当に介護が必要になった時は、高齢であっても3割負担になります。
年金は、家族の治療費に消えてゆき、通院代に消えていきます。
どんなに重症でも、入院費が払えなければ、在宅で過ごすしかないのです。
でも、サービスは最低限度ぎりぎりとなります。
生活もしなければならないのだから・・・

私たちは、それでも何とか支えるすべを模索します。
ケアマネも、看護師も、ケースワーカーも、連携室もなんとか支援する方法を模索します。
でも、本当は国がもっと考えてほしい。
本当に必要なのは、誰なのかを。
生活保護を受けて社会復帰への準備に頑張る人もいる中で、隠れて海外旅行に行ったり、高級車を乗り回す人が、いることも確かです。

必要な人に必要な援助が、公平にいきわたるように、不要なお金はそちらに回せるように、ちゃんとした審査や調査をしてほしい。

そして、画一的な基準で線を引くのではなくて、本当の必要性で判断してほしい。
ちゃんと経過を追って、適正に使われているかのチェックをしてほしい。

矛盾だらけの法の下で、一筋の光を当ててください。

揺れる心。

2009-11-12 23:45:41 | 訪問看護、緩和ケア
昨日は、私が皮膚科の往診から帰ると、緊急当番が訪問に行ったと報告が。
このところ血圧が低下していた、Sさんがベットから落ちたとのことで、駆けつけていました。
火曜日には、ご本人と奥様の強い希望で「、何があってもいいからお風呂に入りたい。」「最後の入浴になると思うから」と言われ、訪問入浴も無事入り、昨日は朝から血圧も60を切っている方です。

身の置き所のないだるさ。
バタバタと向きをかえたり、衣服をはいだり、手足を投げ出したり・・・
終末期にはよくみられる症状です。
あまりに身をバタバタさせて、ベットからずり落ちてしまうことがたまにあります。

こういうときには、鎮静作用のある座薬を入れることで眠くなり、だるさや苦しさから解放されます。
ただし、衰弱の進んだ状態では、時としてそのまま目を覚まさないことがあることを、ご家族にもちゃんと伝えます。
ほとんどの方は、はじめは戸惑いますが、病状の変化をまじかに見て、ご家族の苦しみを見たときに、「もう十分だから。これ以上苦しまなくてもいいから。」
「眠らせてあげてください」といわれます。

この時も同じでした。
「私が、一人残るのが心配なのね?」わずかにうなずく夫。
「大丈夫。私は一人でも大丈夫だから。安心していいから。もう苦しまないで、眠ってください。」
そういう妻の手を、両手で握り締めて何度か力ずよく振った後、眠りにつきました。
最後に口を動かし何かを言っているように見えましたが、看護師にはわかりませんでした。
でも、妻はわかっていました。

「ありがとう。」と言ったことを。

そして、その20分後に彼は旅立ちました。

担当の看護師も駆けつけて、一緒にステルベンケアをしてくれました。
私もケアマネとして伺いました。

最初は「無理。私できない。」と言っていた奥様は家で看とれたことを、とても感謝してくださいました。
「こんな介護を家で受けれるとは思わかなった」と。
「これから、私が広めるから。みんなに教えてあげるんだから」と言ってくれました。
悲しみの中にも、ちゃんと見送れた満足感と誇りがあり、とてもしっかりとされていました。

最後に意思を伝えあえてよかった・・。

新しい素敵なスーツが、とてもよく似合って、笑顔を浮かべて眠っていたそうです。
奥さん。よく頑張りました。
ご主人も分までこれからの人生、楽しんでくださいね。


思うようにはいきません・・・。^_^;

2009-11-11 22:08:10 | 訪問看護、緩和ケア
朝から、看護学生さんを連れて訪問に行ったYナースが、1時半になっても戻ってきません。
何かあったのかな?
2件目の患者さんが、昨日から状態が悪化しているので、きっと何かあったのだと思っていた矢先、Yナースから電話が・・・
「朝からトイレに通いずめているとのことで、直腸を確認したら、便が詰まっていて、自力で出せなくなっていました。浣腸と摘便したんですが、ひどく痛がってなかなか出せず、トイレから出れなくなっています。SPO2(酸素飽和度)も下がってきていますし、手足の冷感もあり、脈も弱ってきています。」とのこと。

とりあえず、なんとか説得してベットに運ぶことを伝え、主治医に相談しました。
もともとCOPDで酸素を使われています。かなりの負担があると思います。
先生も「手持ちの安定剤を飲んでもらい、全身の緊張をほぐしてから、ベット上で少しずつGE(グリセリン浣腸)をかけてもう一度やりましょう。5時ごろには僕も行きます。」とのこと。

再度Yナースに指示、安定剤を内服させ、横にしてもらいました。

そして、肛門周囲にキシロカインゼリーをたっぷり塗っておいてもらい、私もGEを持って駆けつけました。
すでにうとうととベットで休んでいましたが、断続的に起き上がりトイレに行こうとします。辛いのでしょう。
学生さんもずっとそばで体をさすっていますし、お嫁さんもお義父さんの手を握り締めています。かなりの衰弱が見て取れます。
もう一度だけ私に便を出させてくださいとお願いして、ベット上でなんとか2個の便を出しましたが、痛みが激しく悶絶するたび呼吸困難になります。

上を向いてしばらく腹部マッサージをして、今度はポータブルトイレで肛門周囲をマッサージすると、ボトン!という音ともに胡桃大の便塊が出ました。
とたんに、患者さんの肩の力がすっと抜け、苦悶していた顔がほっとした顔に。

「苦しくないですか?」「うん」
「もう、うんちでないですか?」「うん」

お嫁さんと学生さんが「出たー!!」「よかったー!」
お嫁さんが「ありがとう!うれしいー!」そう言ってそばにいた学生さんと抱き合い、電話中だったYナースも駆けつけ「出ました~?!よかったー!!」
「ウンチで、こんなに喜んだのは、子供が小さい時以来。」とお嫁さん。
そのあとベットに戻ると、すやすや眠りにつきました。
そのお顔は、穏やかで安らかで、愛おしくなるようなお顔でした。

夕方の看護学生の反省会で、彼女は「排便がこんなに大切なものだとは思いませんでした。患者さんは、トイレじゃないといやだと、何度も何度もトイレとベットを行ったり来たりしていたのですが、看護師さんがご本人のトイレに行きたいという思いを尊重して、トイレで処置をしていました。私なら、『おむつで出しましょう。ここで出していいですから。』と簡単に言っていたかもしれません。
でも、ご本人の思いを大事にすればそんなに簡単に言えることじゃないと思います。ただ、おからだの状態も悪い時にどこまで、本人の意思を尊重すればいいのか難しいと思いました。でも、すごくいい経験になりました。」と言っていました。

こういう場面に遭遇できて、こんな風に受け止めてもらえたら、私たちもすごくうれしいですよね。
Yナースが吸引器の説明をするところまで、一緒に見ていた彼女。
昨日のデスケースの会話も含め、きっといい看護師さんになると思います。

そのあと3件の皮膚科の往診補助に。

認知症で動き回り、殿裂部と、座骨 上部に褥創があるおばあちゃま。
ガーゼを貼ろうがフィルムを貼ろうが、創傷被覆材を貼ろうが、ものの1時間もあればきれいにはがしてしまいます。
なにも貼らずに処置するために、前回の往診でフィブラストスプレーのみでやってみましたが、やっぱり駄目でした・・・。
頻回なトイレに長く座りこみ、常に丸めたティッシュが詰め込まれ、おむつの中はぐちょグちょです。

よくもならなければ悪くもならない。
しいて言えば感染がないこと。
訪問看護が入って、排便コントロールがつき、便汚染の回数が減ったこと。

そして今日も、にこにこご機嫌さんでトイレ通い。

どう考えても、創を保護することはできそうにありません。
でも、傷がきれい。痛くない。良くはならないけど悪くもならない。(治ることを忘れちゃった?)、本人はいたって幸せそう。

ということで、ソフティアスプレーでオイルの被膜を作るだけ。にしました。
先生「いいんじゃない?もう・・なんといっても幸せそうだし。無理に治療する意味ないかも。お父さんもお母さんが楽しそうにしているから、それが生きがいみたいになってるし、これで様子を見ましょうよ。感染があったら連絡頂戴ね。
ということになりました。
なんか、本当にこれでもいいじゃんって、気になってきました。
褥創治すのに、快感を覚えていた私たち。
褥創を治すことに固執していたのは、私たち。
本人には、大きなお世話なのかも知れません。

表皮1枚剝けた500円玉位の2個の褥創。
これからは、感染の予防と悪化の予防を目標に切り替えます。
何が何だかわっからないのよ~
本当にわかりませんわ・・・とほほの話ですが、世の中そんなに思うようにはなりません。
なんだかとても『ごめんなさい』の気分です。

学生さんの涙

2009-11-10 22:37:17 | 訪問看護、緩和ケア
今日は、看護学生を連れて、めぐみ在宅クリニックでの「デスケースカンファレンス」に行ってきました。
デスケースカンファじたい、あまり一般的ではないのですが、そのなかでもめぐみ在宅のデスカンファは、ちょっと違った視野で行っています。

通常は、亡くなられた患者さんの振り返りとして、主に治療経過やどのような緩和医療を行い、どのくらい効果があったかのかなどが中心になり、かかわりそのものを突きつめることは少ないのではと思います。

しかしここでは、個々の苦痛はなにか、その苦痛の中においての支えは何か、どうすればその支えを太くすることが出来るか、そのためにはどのような私たちであればよいのか、などについて話し合われます。

今日のケースは隣の区の方で、最後まで自宅を選択し、人の世話にならないで、たとえ一人の時に死が訪れようとも、そこにとどまりたい。
という方で、実際お一人の時に吐血をし、亡くなられていた方でした。

この方のケアマネは、困難ケースを数多く抱えている方で、いつもきちんと寄り添う姿勢を持っている方です。

いろいろ話し合った中で、学生さんからの一言を、先生がふりました。
男子A君は、「苦しんでいる患者さんを見たとき、自分が何かしてあげないといけない。何かできないかと考えてしまうが、結局それをどうすればいいかわからないんです。」と言いました。
女子Bさんは「片肺で、残った肺も機能が低下して、毎日苦しい、苦しいと言っていた患者さんがいました。私が訪室すると、いつも苦しいんだよ、と繰り返すんです。でも私にはどうすることもできなかった。どう答えることも・・・そして、その患者さんが亡くなった時、どうしようもない無力感に包まれました。
私は、どうすればよかったのか、どうすればそれに立ち向かっていけるパワーが生まれるのでしょうか?」
彼女は、涙をぽろぽろとこぼしながら、そう話しました。

実際は、医師がきちんとした緩和をしないことが、一番の問題です。
その主治医は「どうする事も出来ない。がんではないし、麻薬を使えば意識が落ちるから使えない」と言っていたそうです。
緩和ケアの観点からいえば、全くナンセンスな話ですが、それ以前の問題として、苦しむ人の前で自分の無力を受け止められないことが辛いのです。

「苦しんでいる人の苦しみは、わからないんです。しかし、患者さんから見てこの人は理解してくれる人、と思ってもらえればいいんです。人は、自分の苦しみを分かってもらえる人がいると、うれしいんです。まずはそこからです。」
そして、反復の話にも触れ、「マイナスの訴えを聴き続けることは苦しいことですが、その会話の中から、支えを見つけられれば、苦しみの中にも、希望は見つけられる。そのためには逃げないことです。」

これは、いつも反復して私たちが聴き、肝に銘じていることです。
このことを理解するのは、本当に難しいことです。
何度も体験し、勉強し、実践し、反省しながら、見つけていくものです。

彼女たちは、来週の緩和ケア研究会に参加したいと、自ら言ってくれました。

カンファが終わっても、めぐみのスタッフの方が、学生さんのフォローにあたってくれました。本当にありがたいことです。
こうして、後輩たちが一人でも多く、援助の本質を理解しようと努力していくことが、これからの未来を創っていくのだと感じました。

一人でも多く、この在宅現場での仲間になってくれることを祈ります。



ちなみに、現在も訪問看護師は、引き続き募集中です。



何かと騒がしい月曜日

2009-11-09 22:50:06 | 訪問看護、緩和ケア
月曜日は、いつもなにかと落ち着かず、騒がしい感じです。
今日から、県立看護専門学校の実習生の2クールめが始まります。
朝には、スタッフAさんのベビーちゃん発熱のため、お休みの振り分けをなんとかできました。

昨夜のうちに、またおひとり自分の意思を全うされて、ご自宅で旅立ったと、緊急当番からの報告。
つい、数週間前には豪快に笑っていられた患者さんです。
「私は、はここで死ぬんです。絶対に病院には行かない。ただ、妻の体が一番心配なんです。」
そんな言葉が思い出されます。

奥様、かなり不安はあったようですが、頑張って最後まで見送ることが出来ました。

午前の訪問から帰ると、テーブルにこんなきれいなキウイが載っていました。
只今、左薬指骨折中のスタッフSの、福島の姉から送られてきたキウイです。
その名も「レインボーレッド」という、新しい品種だそうですが、これめっちゃおいしい!!

 キウイであってキウイでない。
とにかく甘い!ジューシー!そしてあの、キウイ独特の扁桃腺のあたりに残るような酸味がないんですよ。
うーん。デリシャス!
なんでも、もうこれで売り切れとか・・・珍しい品種なので、まだあまり出回っていないようです。
そごうの地下で見た人がいます。
ネットで調べたらほとんどが終了でしたが、1箇所だけまだ売っているところがあったので、さっそく頼んじゃいました。

午後からは、Sさんの代わりに1件訪問。
伊藤道和の部屋
彼は、頚椎損傷の患者さんですが、いろんなところで講演に回っていますし、口で絵を描いたり、コラムを書いたりと、いろんなことを発信し続けている人です。
排泄の援助をしながら、いろんなことを話します。
新しいコンセプトの、障害者施設の設立のためのスタッフにもなっているとのこと、施設の名前を考え中だとか。なんか元気の出る名前ないかなーっと言っていましたので、これはと思う名前があったら、メールでもしてあげてください。

帰るとすぐに、ご相談の方が見えました。
以前お義父さんを見送られた方です。
今度は、お姉さんを介護されるとか。
じっくり話をお聞きしました。
とても憔悴されていましたので、すぐに区変の準備と、明日にはベットと、訪問看護、ヘルパーが入るようになりました。

そして、学生さんの今日の反省会。
男子と女子一人ずつですが、二人ともとてもしっかりしたいい子たちです。
今週いっぱい、頑張っていろんなことを吸収してくれるといいな~。

こんな風に、とりとめもなく一日が過ぎていくのです。

でも、こんな風に働けることに、感謝しないとだめですよね。
明日も、忙しくなりそうです。


柿夫です。 柿じぃじゃ!

幸感度ミーティング

2009-11-08 22:50:45 | めぐみ在宅緩和ケア関連
金曜日の話になっちゃいますが、午前中幸感度ミーティングっていう会議に行ってきました。
めぐみ在宅クリニック緩和ケアチームと、瀬谷区区長チームとのミーティングです。
瀬谷区の取り組みとしても、在宅で最後まで過ごせる街作りのための基礎作りを始めるようです。
たぶん、めぐみ在宅クリニックの影響もあって、ここ数年瀬谷区での在宅での看取り件数がどんどん増えているからなのでしょうが、連携自体もかなりいい感じでされている現状を瀬谷区の特色とにしていこうという流れのようでした。

とはいえ、小澤先生のプレゼンテーションの趣旨は、自分だけではなく、瀬谷に来れば安心して最後まで過ごせるという目標のために、人材の育成をしていきましょうということでした。
私からは、10月28日の記事(怒っていいですか?施設もいろいろ)で書いたことを事例として、現場では現実問題ショートステイ一つでも受け皿に問題が山積みであり、リスクばかりが先行して本当に必要なサービスを受けられない患者さんがいることをお話ししました。
実は、この話には後日談があって、例の有料老人ホームのスタッフが、県庁に説明に行ったところ、いきさつは理解してもらえたそうです。
が、そこでまた県庁の担当者から、「なんでそんな病状の人を入院させないんですか?」と言われたそうです。
すかさず、「いまどき、そんな状況の人をどこの病院が入院させてくれますか?!」と聞き返したら黙っちゃったそうです。
小澤先生も、「いやー、その県庁の担当者に一回会って話がしてみたいですねェ。そして、1週僕の往診について回ってもらいたいなー。」と言っていました。

でもなんで、自然死なのに施設で亡くなると事故報告書なんですか?と先生も不思議がっていました。
高齢担当係長からは、「事故報告書」という書式しかないから、全部をその書式にしているようです。とのコメントでした。
なんか、変なの・・・って感じです。

どちらにしても、人が自然に亡くなっていくという過程を、知らない人が多すぎるのだと思います。
たぶん、人は死ぬときは病院が当たり前だと考えている人のほうが、まだまだ圧倒的に多いのでしょうね。

そういうことも含めて、人が人として自分の望む場所で、最後を穏やかに過ごすことができるように、まだ病気とは無縁の時期から、そういうことを考えられるように啓発していく必要があるし、そのための人材育成も行政も一緒にやっていく必要があるという話になるわけです。

めぐみ在宅のもう一つのお仕事「命の授業」の講師をやっている三浦さんが「人は生まれれ来るとき、いろんな準備をしてもらって生まれてきます。そして、死はあちらの世界へ生まれていくのだと考えています。ですから、そのための準備も必要になります。と言っていました。

なるほど、うまいことを言うなー。と思いましたが半面、人それぞれ死生観は違いますから、何とも言えないですよね。
結局2時間をオーバーして2時間30分近い話し合いになりました。

本来医師会が主導でやるべき話し合いですが、たくさんの医師会員それこそ千差万別ですし、現状往診をしたり、まして看取りまでとなると、ほんの一握りの先生しかやっていません。
はっきり言って、そんな面倒なこと御免だと思っている先生も少なからずいる中で、医師会として手を挙げることは不可能なんでしょうね。
でも、自分はできないけれど、頑張ってね、陰ながら応援するからね。くらいは言ってくれてもいいのにと思いますが・・・

まあ、無理な話なんでしょう。
それに、区役所の人達は移動が多いので、今までだって盛り上がったプロジェクト、担当が異動になったとたん尻切れトンボみたいなことが多くて、またそんなことになるんじゃないの?と、冷ややかに見ている先生もいらしゃいます。

でも、そんなことばかり言ってても道は開けませんよね。
これからも、もっとたくさんの人に「病気になってもお家に帰ってこられるよ。」と伝えていきたいと思っています。




楽しい一日。

2009-11-07 20:55:30 | 日々のあれこれ
昨夜は、ステーション定例会の後に、三つ境なかよし学童のOBとして呼ばれて、結局深夜2時半まで飲んでしまいました。
昼前、ぼーっとPCを見ていたら、またもなかよし学童の指導員ごっちゃんから電話が・・
「メトロの会員カード今日作れるから、車出せる?」
「いくいく!」大急ぎで顔を作って学童へお迎えに行きました。

10月にオープンした食品の卸売スーパー「メトロ」に、「学童なら登録できるんじゃない?」と勧めたら、審査が通って会員登録できました。
そして、カード作成と買い出しを兼ねて、指導員のごっちゃん、さわちゃんとお買いものへ。
買った、買った、買いました。
学童保育所の子供たち60人分のおやつ約35000円、そしてついでに3人分の個人的お買いもの・・・
それを車にぎゅうぎゅうに詰め、学童に戻ると、面白いことを始めている人達が・・・

クリスマスに子供たちに七面鳥を食べさせたいからと、その試作品を作成中でした。

学童の前に置いてある、昔の父兄作成のバーベキュー用ドラム缶に炭を起こしておきます。

渡辺君のお父さんが、ネットで検索したターキーのダッチオーブン焼きをお試し作成中でした。
広谷ママが、ターキーを調達。大原宅からイノシシの骨付き肉も差し入れ。

 タマネギニンジンもち米を炒めたものを、七面鳥1匹の首からとお尻から、ぎゅうぎゅうに詰め込みます。

 タコ糸で、お尻と首を閉じ、足を結んで形を整えます。

 パンパンに膨らんだターキー。なんだか、恥ずかしい感じになっています。
  ダッチオーブンの中に網を敷き、セロリを置いた上にターキーを置きます。ダッチオーブンからはみ出さないように押し込み、ふたを閉めます。
炭火の上に置いて、ふたを閉めて1時間。1度ふたを開け水蒸気を逃がしてさらに40分くらい。

渡辺パパが「出来たよー!」と。 ジャーン!すごい、いい匂い!!
うちの娘も来て、林さん母娘も来て、総勢18人で分けました。

脂っこくなくて、臭みもなくて、ジューシー!
もち米は、ちょっと柔らかくなりすぎたけど、味は最高でした。
なべ底の汁にバター、ワインを入れてグレービーソースを作り、ちょっとずつ分けました。

ちなみに、イノシシのダシと豚肉を足して作ったトン汁も一緒に、みんなでいただきました。広谷さんと小池さんちの娘二人が、何度も味見をしてくれました。二人でお椀を持ってめっちゃかわいい。

学童を離れて3年経ちましたが、OBとしてまだまだ楽しませてもらっています。
こんな学童は他にはないよねーって。

大人も一緒に、遊び心を忘れずに、これって大切なことだと思います。
娘も久しぶりに会った友達と、おしゃべりしながら楽しそう。

あ、これやってみようう!そんな仲間がいるのって、すごく素敵だと思います。

本当のこと、言えない辛さ。

2009-11-05 23:17:05 | 訪問看護、緩和ケア
本当は、伝えたいけれど、言えないこともあります。

言ってしまえば、いろんなことに波及しそうで、とてもネット上で言うなんてことは出来ないこと。
でも、理不尽な思いで、後味の悪い気持ちで、仲間内でため息混じりで・・

そりゃあいろんな治療法はあるし、それを選ぶのは本人だろうけれど、なんだか誇大広告みたいに「絶対効いています、治ります。」みたいなことを言い続けて、法外な料金を取って、結局は苦しみを少し長びかせるだけだったり・・
狂信的に偏った食生活をしたり、過剰なまでに特殊な治療法に固執して、みすみす早期治療を逃してしまったり・・・

信じていればいるほど、お金をかければかけるほど、それが効かなかった時の悲しみや落胆は激しく、もうかける言葉も見当たりません。

時として、人は周りが見えなくなる。
誰の声も届かなくなる。
でも、藁にもすがりたい、もしかしたら自分に効くのでは・・・

そう思うのは、当たり前ですよね。

よくテレビでも、新興宗教で蘇らせるの、教祖の薬で病気が奇跡の回復を見せるの、最新の治療法だとまことしやかに宣伝して、法外なお金を取ったあげく体を壊したて訴えられたりしますが、これは他人ごとではない話だと思います。

テレビの健康特集なんかでも、よくよく聞いていると八百屋の野菜をかたっぱしから取り上げて、変な料理無理やりこしらえて、「これは血圧が下がります。」とか「これは血液がきれいになります」とか断定的に言っているのもよくみますよね。
うちの、おばあちゃんなんか、いまだにトマトにシナモン振りかけて食べてますよ。例のあの方のお昼の番組でやってたからって。


私の娘が幼児期ひどいアトピー性皮膚炎だった時も、そりゃあいろんな民間療法に私も手を出しましたから・・・
結局は、年齢重ねることと、いいドクターに巡り合えたことで、改善しましたが・・・

我が子となれば、かなり高くても「これは絶対安全で効果がある」とか言われれば、もしかしたらと思うのは、だれも責められないでしょう?

だから、患者さんが高額の費用に苦しみながら続けても、それがその方の支えなら、それに沿ってあげるしかないんですね。
たとえ、どんな結果のなるか分かっていても・・です。

矛盾する思いを抱きながら、それでもなお、ご本人の希望をかなえるべく、時にお手伝いもし、見守るしかないのは、、辛いものです。

具体的に言えないのが、辛いところですが、そんなことも・・・時々あります。

施設もいろいろ

2009-11-04 23:16:36 | 訪問看護、緩和ケア
在宅療養では、デイサービスやショートステイはとても大切なものです。
その施設ごとに特色があって、ご利用者さんにあった施設を探すのも、ケアマネの大事な役目ですよね。
ショートステイといっても、大きく分けて特別養護老人ホームと、老人保健施設にお願いするわけです。
本入所している患者さんがいて、ショートのベットを何床か確保してあって、そこに予約で入れて行く場合や、入所者で入院中のベットを有効利用する場合などがあります。
どちらにしても、なかなか予約を取りにくいのが現状です。

人気のある施設などは、休日のディズニーランドのホテルを取るようなものです。
2カ月前の1日に朝から電話に貼りついて取ったりすることも・・・
もしとれなかったら、ご利用者様に平謝りです。とほほ・・・

老人保健施設を使う場合は、結構面倒な手順があります。
健康診断書を書いてもらって、それとケアマネの提出書類なども参考に、審査を受けてそれからOKが出て初めて使えるわけです。
でも、そのくらい面倒なことをやるのなら、ちゃんと医療ニードの高い人も受け入れてほしいのですが、これがなかなか受け入れてもらえないのが現状です。
(逆に、面倒な人を振り落とすための選考なの?)

先日、膀胱バルンカテーテル挿入中の患者さんが、尿混濁や浮遊物が多くて詰まりやすいため、膀胱洗浄という処置をすることになりました。

これは、滅菌生理食塩水をピストンで吸って約50mlずつ管から膀胱内へ注入し、それをゆっくりピストンに吸いもどして破棄する、という処置です。
だいたい5回くらい繰り返して接続を消毒して戻します。
最近は、よっぽど混濁がひどい場合だけ行いますが、医師、看護師なら誰でも出来る簡単な処置です。
これで、バルンカテーテルの詰まりが回避でき、不要なバルン交換が避けられればいうことないと思うのですが・・・

この患者さんが予約していた老人健康施設に、ショート中の処置をお願いしたところ、バルン交換はしません。膀胱洗浄は詰まったらやってみます。
それでもだめなら、病院に行って入れ替えてもらってください。

というお返事でした。

膀胱洗浄は、詰まらないようにするためにやっているのであって、詰まってからでは遅いんですが…
それに、老健なら看護師は常駐しているはず。
バルン交換なんて、大した時間はかからないのに・・・

なんだかなー。と思います。
こんなこともやってもらえないのなら、これからもっと重症な人がたくさん在宅に出されるのに、先が思いやられます。

先日の有料老人ホームみたいに、善意でしたことはお咎めがあって、最初から逃げちゃえば、なんのリスクもない。
そんなのは、おかしいですよね。でも事実なんですよ。

それに、最近の施設は老健や特養であっても、ユニット形式いわゆる個室対応で、個室料金が別途かかってくるので、経済的に余裕のある人しか使えないのも事実です。
大部屋は少ないうえにどこも満杯、長蛇の列です。
おかしなおかしな施設事情が、実はあるのです。

北風とともに・・・

2009-11-03 23:29:11 | 日々のあれこれ
駅~竹内まりやさん


突然のように、北風が吹きましたね。

夕方5時を過ぎるころには、
急に暗くなる空を見上げると、もう冬がそこまで来ていることがわかります。

買い物を終えて外に出ると、すっかり暗くなってしまった街を見て、なんだか悲しくなったりします。
冬が来るほんの少し前の、センチメンタルなひと時です。

そんなときに、ラジオからこの曲が流れたりすればなおのこと。
誰もが持っている、心の奥底に置き忘れていた思い出の1シーンを、思いださずにはいられなくなるのでしょうね。

私たちの年代には、たまらない一曲です。