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故事成語類(実践問題その27)です。漢詩の世界から「
世説新語」の世界に移ろうと思います。「世説新語」は、中国南北朝の宋の劉義慶が編纂した、後漢末から東晋までの著名人の逸話を集めた小説集です。(異同あるも)その内容から三十六篇に分けて編纂してあります。興味のある方は詳しくはネット等でたくさん説明されていますのでそちらをご覧ください。出典が
「世説新語」からの故事成語や四字熟語はたくさんあります・・・「断腸の思い」「石に漱ぎ流れに枕す」「屋下に屋を架す」「薫蕕器を同じゅうせず」「呉牛月に喘ぐ」「七歩の才」「蔗境」「済勝の具」「断腸」「咄咄人に逼る」「目耕」「玉趾を挙ぐ」「倚馬七紙」・・・などなど。故事成語類・四字熟語等の宝庫といえます(^^)しかし!!例によって、これらのある程度
著名な成語類・熟語類は、基本的には(過去問や参考書等に相当載っていますので)、ここでは出題しません。これまでの出題方針・路線のとおりです(^^)。この点、ご留意ください。なお、参考書籍は「世説新語(1~5)」(井波律子 訳注 東洋文庫・平凡社)です。
難易度:
「易」
(よみ)
①王恭の会稽より還るや、王大之を看る。其の六尺の
(簟) に坐するを見、・・・ 音よみ&訓よみで回答してくださ・・・
②伯仁曰く、「君は何の
(欣説) する所あつて忽ちに肥えたるか」と。・・・曰く、「君復た何の憂慘する所あつて忽ち痩せたるか」と。・・・
③王司州は呉興の印渚の中に至って看、歎じて曰く、「唯だ人情をして
(開滌) せしむるのみに非ず、亦日月晴朗なるを覚ゆ」と。
④張曰く、「
(桑椹) は甘く香り、鴟鴞(しきょう)は響きを革む。淳酪は性を養い、人に嫉心無し」と。
⑤王公 笑いを含んで之れを看る。既に坐し、傲然として嘯詠す。王公曰く、「卿は嵇・阮を
(希) わんと欲するや」と。答へて曰く、「何ぞ敢えて近く明公を舍(す)てて、遠く嵇・阮を
(希) わんやと。 (注)「嵇・阮」は竹林七賢人の2人のこと(嵇康・ケイコウ、阮籍・ゲンセキ)
(かき)
①顧榮洛陽に在りしとき、嘗て人の請に応ず。
(シャ)を行う人
(シャ) を欲するの色有るを覚り、因ってて己を輟(や)めてこれに施す。同坐これを嗤ふ。・・・
②蔡洪洛に赴くや、洛中の人問うて曰く、「幕府初めて開き、群公は辟命して、
(エイキ) を仄陋(そくろう)に求め、賢儁を巖穴に採る。君は呉楚の士、亡国の余なり。何の異才有って斯の挙に応ずるや」と。
③謝太傅は王右軍に語りて曰く、「中年にして哀楽に傷み、親友と別るれば、輒ち数日悪を作す」と。王曰く、「年
(ソウユ) に在れば、自然に此こに至る。正に糸竹に頼って陶写するも、恒に児輩の覚りて、欣楽の趣(おもむき)を損せんことを恐る」と。
④毛伯成は既に其の才気を負い、常に称す、「寧ろ蘭摧玉折を爲すも、蕭敷
(ガイエイ) と作さず」と。
⑤庾公嘗て仏図(ぶつと)に入り、臥仏を見て曰く、「此の子(し)
(シンリョウ)に疲る」と。時にもって名言と為す。(注)「庾公はかつてお寺に行き、釈迦の仏像を見て言った。「このかたは人々をあの世に渡す役目にくたびれたのだ」と。当時の人々はこれを名言だとした」との文意。
<回答・解説>はこのあとすぐ(^^)

<回答・解説>
(読み問題)
①
(テン、たかむしろ) :簟 テン、たかむしろ、すのこ *「タケかんむり」ですからね(^^) 「草かんむり」ですと、蕈:シン、ジン、きのこ、たけ、くわたけ ・・・それぞれ、紛らわしいけど良く出る問題・単語・語句ですね・・・。
②
(きんえつ) :「説」を「エツ」と読む、これも定番ですね。説:小学…セツ、と(く) 高校…ゼイ 準1…エツ、よろこ(ぶ)
③
(かいでき) :漢検では「洗滌(せんでき)」(過去問等)で「滌」(でき)の読みは定番ですね(^^) 滌:デキ、ジョウ、あら(う)、すす(ぐ) *「ジョウ」は慣用音(
漢音:テキ 呉音:ジャク 慣用音:ジョウ) 音熟語:
「洗滌(センデキ)」、「洗滌(センジョウ)」、「蕩滌(トウテキ)」「滌蕩(デキトウ)」「滌漑(テキガイ)」:あらいすすぐこと
「滌除(テキジョ)」: 洗いのぞくこと。・・・変わったところで
、「滌生(テキセイ):心の汚れを洗い流して生きること(らしい)
「滌煩. 滌煩(テキハン)」:世の中の煩わしい事をきれいさっぱりと洗い流すこと。お茶の別名。
④
(そうじん) :桑の実のこと。「桑椹甘香にして~」は詩経にあるようです。漢方では若い枝を桑枝(そうし)、葉を桑葉(そうよう)、果実を桑椹子(そうじんし)、根の皮を桑白皮(そうはくひ)というとの事。桑の実:桑椹子(そうじんし)・桑椹(そうじん)ともよばれ、クワ科の落葉高木、クワの果穂 についたままの果実。
(注)
椹:チン、ジン、あてぎ、くわのみ、さわら *
参考書籍では「そうしん」を振ってありますが、「そうじん」と思います。なお、「チン」は「さわら」の場合に使う音と理解しています・・・
「椹台」(チンダイ):さわらで作った台、処刑台←たしか、そういう意味だったのでは(^^;)ちょっと不確かです。また、「ジン」では
「椹酒」(ジンシュ):くわのみで作った酒 なんて熟語があったはず・・・。
淳酪(ジュンンラク):濃厚なヨーグルトのこと(と書いてありました) 鴟鴞(しきょう):ふくろうのこと 「鴞」は対象外漢字。
⑤
(こいねが) :希: 小学…キ 準1…ケ、まれ、
こいねが(う) *「ねがう」ではダメですね*
(書き問題)
①
(炙) :「炙を欲するの色」・・・あまりにも有名で、ちょっと簡単でしたね。 炙:シャ(呉音)、セキ(漢音)、あぶ(る)、や(く)、した(しむ)
「燔炙(はんしゃ・はんせき)」「人口に膾炙(かいしゃ)」 「親炙(しんしゃ)」:ちかづき親しむ。
②
(英奇) :「
英奇を仄陋に採る」・・・前にどこかで紹介しましたね。この成語は・・・。ここは「とびきりの英才を片田舎に求める」意。
③
(桑楡) :西方の太陽が没するところ。転じて人生の黄昏。老年を指す。陶写:中日辞典では「陶冶 性情」。気晴らしをして憂いを消す」との解説あり。また、「
糸竹に頼りて陶写す」は、音楽で気持ちや心を楽しくすることで煩わしい事を忘れるという意味です。
④
(艾栄) :四字熟語
「蘭摧玉折」⇔「蕭敷艾栄」 対義語として漢検・四字熟語辞典に載ってます。「蕭敷」のほうも書けるようにしておいたほうが・・・(^^)
⑤
(津梁) :広辞苑所載の熟語ですが、ちょっと難しかったか。津梁:向こう岸の意。転じて、人々を彼岸に渡す役目、衆生済度をいう。① 渡しと橋。② 物事の橋渡しとなるもの。つて。たより。手だて。③仏や仏の教え。衆生を煩悩の此岸から彼岸にいたらせることにたとえる。孔子の故事で
「問津(もんしん)」というのもありますね。
如何でしたか(^^) ではまた👋👋👋