新・臨床検査の光と影

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「メタボ健診」を斬る!

2008-05-26 16:16:42 | メタボ健診

         「メタボ健診」を斬る!(4

         「特定健康診査」の問題点

 メタボ中心主義とも云えるもので、メタボ偏重との批判が強いものです。

 健診項目は、男女の性差や、年齢差があまり考慮されていないので、医学的根拠が希薄だ、といった専門家の指摘が絶えません。 

 従来は国民の健康保持が目的だったものが、医療の「適正化」の名のもとに、医療費の削減が最重要目的になっています。

 また、健康保険組合などの保険者に、健診が義務付けられているばかりでなく、怖いことには、健診受診率の目標未達成や、メタボ該当者の削減成績が悪い場合には、健保組合などの保険者の責任にされて、「後期高齢者医療制度」へ、支援金を支払わせるペナルティーが科せられているのも、珍しい制度です。

 そのために、さまざまな悪影響が予想されることが心配です。      


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-22 09:12:20 | メタボ健診

Dsc02356        「メタボ健診」を斬る!(3)

      対象者5.600万人の過半数が!

 告示で規定さえた「特定健康診査」の健診項目、Step-1の健診では、腹囲とBMIで、腹囲は男性85㎝以上・女性90㎝以上、BMIは男女とも25以上が、引っ掛かります。

 Step-2で血液検査などは次の通り。

 空腹時血糖値=100㎎/dl以上、またはHbA1c=5.2%以上

 中性脂肪=150㎎/dl以上、または、HDLコレステロール=40㎎/dl以下

 血圧=収縮期:130㎜Hg以上

      拡張期:80㎜Hg以上

 40歳から74歳までの対象人口およそ5.600万人、経験的に云って、過半数の人が、1乃至2項目、基準値をオーバーするのではないでしょうか。

 次に進んでStep-3、「特定保健指導」が待っています。

 これは、指導に携わる医療関係者も、受検者も、とてもとても、生半可なものではないことを、覚悟しなければなりません 


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-20 13:21:19 | メタボ健診

Dsc02343       「メタボ健診」を斬る!(2)

      根拠薄弱な腹囲の基準

 第1に、臍の位置で腹囲を計測するのは、世界的に見ても例のないことです。

 したがって、「グローバル・スタンダード」から、逸脱していること。

 しかも、母集団である日本人のどの階層を、いかなる根拠で選んだのか、はなはだ疑問です。

 なにしろ問題なのは、男性の腹囲を85cm以下とした母集団は、僅かに544人、女性を90㎝以下としたのは、たったの194人のサンプルを基礎にしていることです。

 1億2千万人分の738人です。

 次は、国民の健康を、国家が統制するような中身に驚きました。

 第1は、健診の成績によって、ペナルティーを科す、としたことです。

 第2には、受診の義務化と強要です。

 そして、結果として「肥満は悪」「肥満の差別」「肥満に罰金」です。

 メタボの原因は、必ずしも、個人の不摂生だけではありません。

 働く人の労働条件や労働環境、社会的な要因を根本から見直し改善しない限り、メタボをなくすことはできません。


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-18 13:21:12 | メタボ健診

Dsc02358           シリーズ「メタボ健診」を斬る(1)

 「メタボ健診」正しくは「特定健診・特定保健指導」が、4月1日から始まりました。

 批判も多い、課題は山のようにあり、随所に欠陥や問題点を抱えていながらも、始まった以上は、医療機関はもとより医療従事者としても、改善点を指摘しながら、一定の効果をあげる責任があります。

 ここはまず内容を熟知することから始めましょう。

 対象者は、40歳から74歳までのすべての国民、およそ5.600万人が対象になります。

 企業の健康保険組合や市町村など保険者に実施が義務付けられていて、健保組合の場合は、被保険者である従業員だけでなく、その家族も含まれます。

 メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)やその予備軍を早く見つけて治療や生活指導を徹底して、加齢にしたがって増大する医療費を削減しようとする、新しい健診制度、と厚労省の弁です

 まずは「ステップー1」①腹囲を測り、肥満の度合いを決めます。

 ②日本肥満学会が提言する、体の大きさの指数、BMIを決めます。

 専門医の方々から、その基準値の決め方に疑義が集中しています。