映画「海と毒薬」と化石
昨日午前に、くも膜下出血のため、亡くなられたとの知らせを受けました。
1986年の初冬の早朝、調布の撮影所から病院に、迎えの車が来て「T大学の外科部長が急用でこられない、重要な手術場面(左上)の撮影で、中止すると数百万円の損害になる」と否応なく、連れて行かれました。
生まれて初めての経験、撮影現場に入って、驚いたことは、数十年前の手術室が再現され、よくぞこんな古い医療機器を見つけ出してきたものかと、圧倒され、舌を巻きました。
今は亡なき田村高広、岸田今日子、成田三樹夫。新進気鋭の奥田瑛二、渡辺謙ら草々たる俳優陣(サイン)。
田村高広扮する橋本外科教授が、手術に失敗する、慌ただしいシーンの撮影で、助監督から、「この場合、執刀医は、どんなセリフを云うのか?」と、次々メモに書いては熊井監督に渡す。
結局、深夜まで続きました。
試写会には、夫婦で招待され、しどろもどろの祝辞を、そして字幕には「医学考証・・・・」名前を見てビックリさせられました。
数十年前、手術室の助手から、解剖助手、検査、回診同行、何でもこなさなければならなかった経験が、少し生かされた思いでした。
それからは田村さんから出演映画の招待状、女優さんから奄美の焼酎、監督からは、スチール写真などが届き、短い交流でしたが、懐かしく想いだされます。
昨日午前、くも膜下出血により、亡くなられたとの知らせがありました。
一途な生真面目さ、正義感、映画史上に燦然と輝く、数々の名作、惜しい!
心からご冥福を祈ります。