新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

県立病院、ブランチ打ち切り

2006-10-29 13:56:56 | ニュース

Dsc01277    【契約解消

 患者さんの苦痛の原因をつきとめ、「ひとの命を測る」とまで云われている臨床検査、とりわけ検体検査(血液や尿など)を、外部の民間請負業者にすべて外注してしまうブランチラボ、しかも、病院検査技師の意見も、現場の希望も無視した県病院局の、一方的なトップダウンで始まった群馬県立がんセンター病院検査室。

 「必ず儲かる」「医療専門職の人減らしができる」「面倒な人事管理が不用になる」など様々な利点を挙げて強行導入をして5年が経過しました。

 ところが、木に竹をつなぐような、検査機器とシステムの導入によって、機器の不具合、故障の続発、あってはならない検査ミスの頻発に、現場は塗炭の苦しみに喘いできました。

 「3年経ったら成果を検証する」「3年後には、導入したシステムを見直す」、と約束をしていた病院局。

 5年たっても成果が上がるどころか、機器の不具合によって、連日連夜の残業、ついに県職員組合も「人権問題だ」というところまで発展。

 群馬県議会医療福祉常任委員会でも、毎回の重要議題となり、検査機器とシステムの不具合に質問が集中、その度に、県当局はおろか、がんセンター当局までもが、「間もなく修復できる、と業者が言っています」を繰り返すばかり。

 請負業者側も、ついには機器の不具合を見放すような事態にまで立ち至りました。

 それでも病院局の担当官は「検査技師の能力が低いからだ」「検査室の赤字は、検査技師の働きが悪いからだ」と恫喝、すべての責任を検査技師になすりつけてきました。

 検査の現場では、「検体検査財務諸表」と云ってもいい、詳細な経営状態と、何年分もの克明な経理状況を把握していて、その原因を白日の下に明らかにしていました。

 県当局が「赤字」と云っているのは、外部業者に請負契約をしたことで、厚生労働省の認めている「検体検査管理加算」が、支払基金に請求できなくなった医療費の額と、見事に一致していることが判明したのです。

 病院直営の検査室で検体検査をすることにより、「赤字は解消できる」ことまで立証しました。

 県議会側の委員も、臨床検査のなんたるかを学習し、情報の収集と、別途方式を模索する努力のなかで、「機器のレンタル・リース方式」を提案するまでになりました。

 【地元の「上毛新聞」報道】 (クリックして拡大してみてください)

 9月末で、外部請負業者との契約打ち切り、来年4月の新装開院に向けて、新方式のシステム導入と検査機器の選択にはいることとなり、長く苦しい呪縛から開放されることになりました。

 県民税の無駄遣いもなくなります。

 変則運営の請負検査室(ブランチラボ)も解消します。

 なにしろ、この変則検査室は、法律(労基法)によって、病院内に存在しながら、病院の「指揮・命令」ができない職場になっているのです。

 さてこれからが、医療専門技術者としての本領発揮、文字通り、病院自前の検査室で、真に「患者さんの命守る、患者さんのための臨床検査」が取戻せることになることでしょう。

 

 


道央夫婦旅

2006-10-28 14:21:24 | 旅行記

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 羽田発ANA-061便は、漫画のポケモンで、二度目の搭乗、お子さんが大喜び、先ずは札幌へ。

 昼頃に札幌、三大グルメのまづはラーメン、好みもあるが、飛び込んだ店の味は、いまいち。

 とりあえずJRタワー38階展望台へ、絶好の快晴、360度の市内展望。真正面の藻岩山へ。

 夕暮れ近く、長女お勧めの藻岩山、地下鉄⇒市電⇒ロープウエーを乗り継いで山頂へ。

 今秋一番の寒気襲来で、空気の透明感は抜群。

 「香港の夜景のようだね」と好評。ワイドレンズでないのが惜しい。

  夜のすすきのへ。ネットでクーポン券もあったり、検索しておいた寿司屋へ。しかしサービス悪い、味もいまいち。一発勝負だから仕方がない。

 翌日、スーパ宗谷1号で旭川へ。雲行きが怪しい。

 レンタカーで日曜日の市内を走り回る。時折冷たい時雨。

 天気は予想していたので、フード・マフラー・テブクロの完全装備?

 先ずはメーンの「旭山動物園」(2度目の来園)へ。日曜日にくわえて、夏季開園最終日、明日の無料開放で、しばらく休園。

 車と人で大賑わい。寒さから、チンパンジーもオラウータンもゴリラも、姿を現さない。おまけに時雨で、展示館内に逃げ込む、とてもスナップ写真など撮れたものではない。

 (フォト・アルバムをクリックして、覗いてみてください。)

 目指すはモグモグ・タイム。しかし、「立ち止らないで歩いてください」早々に動物たちへの再会の挨拶で終り。

 昼のラーメン村、ここも一発勝負、選んだ店と好みは、またもや外れ。

 旭川兵村記念館・川村カ子ト・アイヌ記念館。

 とにかく寒い。3年前の利尻・礼文最終日のフェリーの寒いこと。昨年7月の沖縄も、17度に雨で異常な寒さ。こんな沖縄も初めて。

 このところ夫婦の旅は、ついてない。

 講演会で2月の札幌を経験、11月30日釧路の講演で、一人カヌーで釧路川下り、少しも寒いと感じなかったのに、・・・。

 夕食は三大グルメの2番目「かに」。かみさんの大好物。かに会席。ズワイが中心で最後は「かに雑炊」。懐は冷えたけど、全身が温まった。

 ちなみに、残る三大グルメの一つ、ジンギスカン。初めて知ったダイエット効果の謎。

 それは、マトンの脂肪は、43度にならないと身体に吸収しないのだとか。

 それでも、かみさんのイレウスを心配して、やめておいた。

 翌日は、うってかわっての大快晴。このとき本州は海上災害も発生した大荒れ。

 「やっぱり、たまには、いいわネ」の、かみさんの一言に、ようやく救われた感じ。

 


採血事故の裁判

2006-10-24 15:18:16 | 臨床検査技師の業務

 【訴訟裁判】

 医療事故も、いろいろ手を尽くしても解決しないときには、最終的に司法の判断に委ねることになります。

 通常の場合、当事者の一方が各地の地方裁判所に「訴訟」を起すことになり、いわゆる「裁判」になります。

 一般人が容易に行えるものではないので、ほとんどは当事者双方が、専門家である弁護士に依頼することになり、自分の主張を代理して述べてもらって、裁判官によって「判決」が下されます。

 また、双方の申し立てのない事項は、審理の対象にしない慣わしもあります。

 したがって手続きが煩雑で、費用も時間もかかります。

 それは、原告・被告・弁護士・裁判官の出廷を調節したり、また一人の裁判官が百件単位、裁判官によっては300件もの訴訟を抱えているためでもあります。

 また、賠償の内容によっては、安易に示談などにしないで、さっぱりと訴訟に踏み切った方が良い場合もありますが、なによりも専門家である弁護士に相談することから始めることが得策です。

 いずれにしても、医療事故の裁判は、医学的専門性の争いとなり、立証が極めて大事となりますので、採血マニアル、教育・研修記録、医師の指導監督の有り様、個別的・具体的な指示など、事実関係の証拠をしっかり保全しておくことです。

 【裁判での和解】

 裁判中に裁判官が当事者双方に和解を働きかけることもあります。  

 判決を待たずに和解を成立させることで裁判を終了させる方法です。

 双方の言い分を聞いて、そのうえ争点が金銭の多寡だけに絞られたと判断した場合には、裁判官はかなり強い調子で「和解勧告」を提示することがあります。

 理由は、一人で300件もの事案をかかえている裁判官もいるほど多忙なこともあり、また、金銭の多寡でけで判決文を書くことを嫌う背景もあるそうです。 

 【控訴審】

 一審の判決を、当事者の一方が、あるいは双方とも不服の場合は、それぞれ高等裁判所に「控訴」することになります。

 一審のやり直し、事実審理の見直しを行います。

 結審まで1年半から2年を要するといわれています。

 【上告審】

 最高裁判所における、事案の憲法判断で、事実審理は行いませんから、ここでは省略します。

 【侵害賠償保険】

  研修会や講演会で、必ずと云っていい程、「損害賠償保険に入っていた方がいいでしょうか?」と言った質問があります。

 自分自身の日常業務の有り様、労働環境、労働条件など周囲の状況を充分に観察して、それこそ自己責任で判断することです、とだけ答えています。

 【普段の備え】

 最近では、赤外線で静脈のありかを探索する機器も売り出されていますが、患者さんにしてみれば、「こんなの使わなければ採れないの」と心配そうに訝る患者さんもいるそうです。

 しかし、採血がなかなかうまく行かない場合に備えて、翼状針を準備しておくとか、場合によってはベテラン技師や看護師に替わってもらうなど、慎重の上にも慎重に、臨機応変の対応を心がけておくことが大事です。

 なにぶんにも「法律ど素人」の化石の解説ですから、必ず専門家である弁護士に相談することを、強くおすすめします。


文科省と九州大学が控訴

2006-10-17 15:38:08 | ニュース

 一審で敗訴した国(文部科学省)と九州大学が、予想通り控訴期限の今日、東京高等裁判所に控訴してきました。

 これから1年半から2年は、かかると思われます。

 柴田洋一先生は淡々と「頑張ります」と、仰っていました。

 控訴趣意書の中味が分かり次第、お知らせするつもりです。

 関心をもって注目してください。


採血事故に備えて(続)

2006-10-16 15:34:16 | 臨床検査技師の業務

【調 停】 

  示談(和解)で解決できなかったときに、裁判所に調停を求めることができます。

 民事調停法にもとずき、民亊紛争について当事者の互譲によって、条理にかない実情にあった解決を図るのが目的で、後述する訴訟のような、厳格な手続きを緩和して、平易で迅速に、法による救済が得られるのが調停の利点です。

 当事者の一方が、相手方の居所・居住地の裁判所に調停を申し立てます。

 印紙額も少なくて済み、素人でも容易に申し立てることができ、比較的短期間、とはいっても通常2~3ヶ月かかりますが、手続きは簡単に進めることができます。

 ただ、裁判と違って、証拠による厳密な事実認定、例えば証人尋問などは行いません。

 調停は、原則として調停委員会が当り、委員会は調停主任裁判官1名、調停委員2名以上で構成し、調停室で当事者双方出席、雰囲気としては談話形式で比較的気楽に話し合いが行われます。

 必要に応じて当事者の一方ずつ交互に聴取する場合もあり、自由に発言し聞き取ってもらうことができます。

 感情的にならず、理性的に温和な態度で臨むことが得策といわれています。

 それで両者が合意すれば調停成立、その場合、策定される調停書は、裁判上の和解と同一の効力を持つものと定められ、「確定判決」と同様な拘束力を有します。

 調停が成立する見込みのない場合、裁判所は、民亊調停委員会の意見を聞いて、当事者双方のために衡平に考慮して、職権で当事者双方の申し立ての趣旨に反しないことを限度に、事件の解決のために必要な決定をすることもできます。

 しかし、その裁判所の決定に対して、当事者や利害関係にある人が、その決定を告知されてから一定期間内(2週間以内)に、異議を申しててすることもできますが、その場合の決定は、当然無効となります。

 あくまでも、当事者双方の合意が必要条件で、どちらか一方が合意しなければ調停不調となります。

 そうなった場合、調停不調であっても、当然のことながら「訴訟」を起すことは当事者の自由です。

 次回は「訴訟」について書き込む予定です。