新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

本年最後の講演

2012-12-31 13:11:10 | 臨床検査技師の業務

Photo          (社)群馬県臨床検査技師会

                 渉法講演会

 本年最後の講演は、県技師会主催で12月19日、中央群馬脳神経外科病院・ヒーリングホールで行いました。

 

 臨床検査の現状と、これからの将来予測を中心とし、最後に、ノーベル化学賞受賞者・田中耕一フェローによるたんぱく質、とくにアミノ酸の詳細な分析により、難病の原因物質の確定や、がんマーカーの新発見が臨床検査に及ぼす展開、また、ノーベル生理学医学賞の山中伸弥所長のiPS細胞の臨床検査への新展開、これらが及ぼす病院検査室の在り方やグランドデザインを描くことの大切さなどを述べて締めくくりました。

 

 本年最後のブログになりましたが、連載中の北海道庁・労働局・労働審問の結審は、年を越しました。

 

 皆様 どうぞ佳い年をお迎えください。


インシデントレポートの目的外転用(11)

2012-12-10 17:20:29 | 臨床検査技師の業務

              本件労働審問の申立人の不利益とは?

 本件労働審問の焦点は、O臨床検査技師に対するS会病院の不当労働行為をやめさせること、申立人の被った不利益をすみやかに回復させ、本職に復帰させることにあります。

 具体的には、O臨床検査技師の本来業務を奪い、「採血専門」の部署への配置替えを撤回し、本来業務に復帰させることです。

 採血という行為は、医師法や保健師・助産師・看護師法はもとより、臨床検査技師の関連法規によって、「…血液を検体とする検査において、特に高い精度と迅速な処理が要求されるため臨床検査技師が採血及び検査を一貫して行うこ必要がある場合に備えたものであり、採血行為それ自体は臨床検査技師の本来業務でないことであり…」と医務局医事課長通知に明記されています。

 事務長兼務の検査科長は、部下である検査技師の関係法規も不知なのです。

 たとえて言えば、外科医から「メス」を奪ったも同然です。

 しかも、S病院管理者は、30年間も精勤したO検査技師に「認識が不足している」「モチベーションが低い」「ヒヤリハットが多い」などのレッテルを貼って配置換えしたのです。

 検査技師の重いミスのなかで、検査のための採血は、患者に対して最も危険の多い仕事の一つであり、レッテルを張った検査技師に相応しいかどうか、S病院側の行為は明らかに矛盾し、理論的にも破たんしています。

神経刺傷や血腫による医療事故の裁判も少なくありません。

 また、今日の臨床検査は、がんや難病や感染症などの検査領域、特に異質タンパク質の検出や遺伝子検査は目まぐるしいほどの日進月歩の世界です。

 検査を奪われた臨床検査技師は、違法な配置転換が長引けば長引くほど後れを取り、取り返しのつかない不利益をこうむります。

 女性検査技師の出産や育休を終えて職場復帰するのに難渋したり、断念するのもこのためです。

 そして医療技術者としての誇りも奪うものです。


インシデントレポートの目的外転用(10)

2012-12-04 10:22:44 | 臨床検査技師の業務

          検体検査技師の雇用打ち切り

 インシデントレポートを減らす対策として「声だし・指さし確認・検査履歴との照合」などに続いて、TRL(総合試薬・機器賃貸借方式)を採用することで、ヒヤリハットを大幅に低減できると提案しましたが、事務長兼務の検査科長は、検査技師を一人一人呼んで、「検体検査のブランチ化が最高」としながら、雇用の打ち切りまで通告してきました。

 検査科長として、ともに対策を考える姿勢は皆無で、そこには「初めにブランチありき」と「労組幹部の排斥」の意図が露骨に現れてきました。

  TRL提案にトンチンカンな拒否理由

 検査科からのTRLの提案に対する、病院当局の反対理由は次のようなものでした。

 ◆「初期投資に1億円もかかる」 ◆「新しい機器に慣れないために危険が増える」 ◆「基本的な精度管理に不安が残る」 ◆「24時間体制ができない」 ◆「電子カルテの導入に病院全体のIT化とつながらない」 ◆「検査科が先行すると不合理が起こる」 ◆「オーダリングは医師が対応できない」 ◆TRLは構築に2年はかかる」 ◆「ブランチラボ会社のインシデントレポートは1件しかない」 などなど。

 およそ「TRL」とは無関係・正反対の拒否理由の16項目はすべて的外れでトンチンカンの噴飯ものでした。

 リスクマネジメント委員会や精度管理委員会で、対応策を調査・研究・提言のまとめなどの形跡は、一切認められませんでした。

 いまどき、TRLに1億円も初期投資して、2年もかかって稼働した例など、日本中探しても、全くありません。

 自ら進んで、インシデントレポートの件数が多いことを自白する下請け企業がどこにありますか?、そんな会社と下請け契約する病院がどこにありますか?

 厚労省は「IT化の推進は医療の構造改革にまで押し広げるもの」と強く指導していますが、その目的は安全・安心の医療の確立です。できるところから進めて一刻も早くIT化を確立するよう求めています。

 申立人側の証人として陳述し、数点の証拠書類を提出しました。まもなく審判が下されるようです。