新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

後期高齢者の反乱

2008-06-30 14:01:04 | 後期高齢者医療

     「後期高齢者医療制度」のからくり(8)

        怒りの増幅材料があふれて!

 「百年安心の年金・医療保険制度」と胸を張ったのは、坂口元厚生労働大臣でした。

 施行して、たった15日で、日本中から怒涛のような怒りがあふれ、たった15日で、「安心・安全」がみごとに崩壊し、政府はその対応に右往左往しました。

 一方、「後期高齢者の治療薬は、安いジェネリックを使え!」と通達をだした厚労省、これは発表された翌日には、桝添厚労大臣が撤回させられるあわてぶり。

 坂口元厚労大臣はのちに、「年金からの天引きは『手間がかからずに取れる』と、肝心の保険料を払う生活者の目線で考えなかったのが間違いだった」と率直に反省はしていました。テレビタックルに出演した時も「これほどの内容だったとは、私たち(国会議員)も知らなかった」と述懐していました。

 もっと早く気が付くべきだったですね。

 一方、「3月に亡くなった父親の死亡届を3月中に役所へ届け出たのに、4月15日、この仏様からも年金を天引きされた」遺族からの新聞投書は、この国の政府・役人たちの無神経さ、あれもこれも含めて、自公強行採決の中味だったのです。

 おりしも居酒屋タクシーを報じるテレビを見ながら、この国の政府に、温かさや思いやりの欠落していることが、いっそう腹立たしく情けなくなりました。 


後期高齢者の反乱

2008-06-26 09:20:34 | 後期高齢者医療

      「後期高齢者医療制度」のからくり(7)

         「終末期相談料」に怒り集中

 「後期高齢者」という呼び名に不快感や寂寥感を味合わされた「後期高齢者」に、さらに念入りにも「終末期相談料」がついたことで、逆なでの上積みだと、激しい怒りを買いました。

 すなわち、後期高齢者が終末期を迎えたときに、患者と家族と医者と、最後の治療方針について相談し、それをビデオに撮ったり、書面にして残すと、支援料として医者に診療報酬2.000円が支払われる仕組みのことです。

 生きるための支援か、早死にさせるための支援か、見方によっては、「早く死なしてやったら、診療報酬が受け取れる」、こう感じ取った後期高齢者は少なくない。 

 非難轟々に、翌日には、記者団のぶら下がりに、桝添厚労大臣は、二の足をほのめかしました。

 今月25日になって、中央社保協が、当面この制度を凍結することを了承する答申を出しました。

 これを受けて、厚労省は、「終末期相談料」制度凍結を受け入れ、医者は7月1日から請求できなくなりました。

 「後期高齢者終末期相談」分かっちゃいるけど、後期高齢者にとっては、いよいよ追い詰められたような脅迫感は免れません。


後期高齢者の反乱

2008-06-24 11:33:50 | 後期高齢者医療

         「後期高齢者医療制度」のからくり(6)

        75歳以上は、人間ドックは、いらない!?

 全国1.200の市町村では、75歳以上の後期高齢者にも、これまでは健康保険で「人間ドック」や「脳ドック」「がんドック」の費用補助を行ってきましたが、後期高齢者医療制度の導入によって「対象外」としたために、今後は自己負担になってしまいました。

 75歳以上の、最も危険性と可能性のある後期高齢者には、事実上の「人間ドック禁止令」となって、病気の早期発見が遅れるか、困難になってしまいました。

 いくつかの市町村では、頑張って、独自にドックの費用補助を継続するように努力していますが、政府の方針に反するので、長続きはしません。

 年寄りは、早く死ね!って云うことですかね。

 「安全・安心」どころか、氷漬けのように冷たい仕打ちですね。


後期高齢者の反乱

2008-06-20 21:01:02 | 後期高齢者医療

          「後期高齢者医療制度」のからくり(5)

             命の叫びを聞け!

 東大名誉教授・多田富雄先生は、突然の脳卒中に襲われ、以来、リハビリテーションの甲斐あって、辛うじて人差し指1本でパソコンのキーを押しながら、発信するまでになり、その一つ一つが、命の叫びに聞こえます。

 政人(まつりびと)いざ事問わん 老人(おいびと)われ 生き抜く道の  ありやなしやと   鶴見和子氏(前上智大学名誉教授)

  鶴見先生と親しかった多田先生が、[世界 12月号 岩波書店]の冒頭で紹介した、鶴見先生の短歌です。

 11年前に脳梗塞で倒れられ、懸命なリハビリテーションに励みましたが、老健法の改悪によって、180日で打ち切られた、そのときの短歌です。

 老健法によって180日でリハビリテーションを打ち切られた鶴見先生と同じ境遇に遭った多田先生、非情にも、75歳になられた、その時に待っていたのが、「老健法」から「後期高齢者医療制度」でした。

 12月4日、NHK放映「脳梗塞からの“再生”免疫学者 多田富雄の闘い」をご覧になった方も多いと思いますが、化石にとっても、東大在任中に講演のお願いなどもあって、2度お邪魔した思い出とともに懐かしく視聴しました。

 さすがに、病後の先生は痛々しくもうつりましたが、役人の腐敗や、政治家の老人イジメには、毅然とした態度で批判される先生をみて、立派な態度に敬服しました。

 冒頭で多田先生が紹介した短歌、「鶴見先生は、直接的には癌が原因で亡くなられたのだが、リハビリ制限が死を早めたことは間違いない」ときっぱり言い放っておられました。

 


後期高齢者の反乱

2008-06-17 09:22:08 | 後期高齢者医療

        「後期高齢者医療制度」のからくり(4)

           学者たちの怒り沸騰!

 まず、憲法学者が声をあげました。

 「削るべき無駄はいくらでもある。なぜ「後期高齢者」だけをターゲットにするのか。これは年寄りイジメだ。新制度は、憲法違反の疑いがある。」愛知大学法科大学院教授 小林武氏(憲法学者)

 「欧米の先進国で、こんな差別的な制度を導入されたら、老人たちは黙っていませんよ。政府を倒すまで声を上げ続けるでしょう」英エジンバラ大特任客員教授 国広正雄氏(国際政治学)

 「医療費を削る冷酷な国」と鋭い批判を投げかけたのは、免疫学の世界的権威、東大医学部名誉教授の多田富雄先生で、通院しながらリハビリに励んでいる先生の、心の底からの叫びに聞こえました。

 実は、強行採決した議員たちも知らなかった、官僚たちが仕組んだ、数々の知られざる「仕掛け」と「からくり」がひそんでいるのです。