【契約解消】
患者さんの苦痛の原因をつきとめ、「ひとの命を測る」とまで云われている臨床検査、とりわけ検体検査(血液や尿など)を、外部の民間請負業者にすべて外注してしまうブランチラボ、しかも、病院検査技師の意見も、現場の希望も無視した県病院局の、一方的なトップダウンで始まった群馬県立がんセンター病院検査室。
「必ず儲かる」「医療専門職の人減らしができる」「面倒な人事管理が不用になる」など様々な利点を挙げて強行導入をして5年が経過しました。
ところが、木に竹をつなぐような、検査機器とシステムの導入によって、機器の不具合、故障の続発、あってはならない検査ミスの頻発に、現場は塗炭の苦しみに喘いできました。
「3年経ったら成果を検証する」「3年後には、導入したシステムを見直す」、と約束をしていた病院局。
5年たっても成果が上がるどころか、機器の不具合によって、連日連夜の残業、ついに県職員組合も「人権問題だ」というところまで発展。
群馬県議会医療福祉常任委員会でも、毎回の重要議題となり、検査機器とシステムの不具合に質問が集中、その度に、県当局はおろか、がんセンター当局までもが、「間もなく修復できる、と業者が言っています」を繰り返すばかり。
請負業者側も、ついには機器の不具合を見放すような事態にまで立ち至りました。
それでも病院局の担当官は「検査技師の能力が低いからだ」「検査室の赤字は、検査技師の働きが悪いからだ」と恫喝、すべての責任を検査技師になすりつけてきました。
検査の現場では、「検体検査財務諸表」と云ってもいい、詳細な経営状態と、何年分もの克明な経理状況を把握していて、その原因を白日の下に明らかにしていました。
県当局が「赤字」と云っているのは、外部業者に請負契約をしたことで、厚生労働省の認めている「検体検査管理加算」が、支払基金に請求できなくなった医療費の額と、見事に一致していることが判明したのです。
病院直営の検査室で検体検査をすることにより、「赤字は解消できる」ことまで立証しました。
県議会側の委員も、臨床検査のなんたるかを学習し、情報の収集と、別途方式を模索する努力のなかで、「機器のレンタル・リース方式」を提案するまでになりました。
【地元の「上毛新聞」報道】 (クリックして拡大してみてください)
9月末で、外部請負業者との契約打ち切り、来年4月の新装開院に向けて、新方式のシステム導入と検査機器の選択にはいることとなり、長く苦しい呪縛から開放されることになりました。
県民税の無駄遣いもなくなります。
変則運営の請負検査室(ブランチラボ)も解消します。
なにしろ、この変則検査室は、法律(労基法)によって、病院内に存在しながら、病院の「指揮・命令」ができない職場になっているのです。
さてこれからが、医療専門技術者としての本領発揮、文字通り、病院自前の検査室で、真に「患者さんの命守る、患者さんのための臨床検査」が取戻せることになることでしょう。