新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

医療崩壊「かわら版」(10)

2009-06-16 18:33:02 | 医師不足の深層探究

Photo_2    医療崩壊「かわら版」(10)

  医師たちが自衛の労組結成

 今年3月、日本医師会は「勤務医の健康を守る」“プロジェクトチーム委員会”を立ち上げ、勤務医の命を守る本格化に踏み切りました。

 5月には、医師自身が自衛のため、個人加盟の医師労働組合「全国医師ユニオン」を結成し、6月7日には、120人が参加して第2回集会を開催しました。

 主な活動の内容と趣旨は、ご覧のとおりです。

 何人かの医師にインタビューをしましたが、「医者も労働者か?」とか「36協定って、なに?」「医者にも労働基準法が適用されるの?」といった、素朴な質問や感想が聞き取れました。

 異常事態が起こっている医療の現実を、まざまざと思い知らされましたが、一方で医師の労組結成は、至極当然で当たり前の出来事、それが実感です。 


医療崩壊「かわら版」(9)

2009-06-14 09:02:54 | 医師不足の深層探究

    Photo 医療療破壊「かわら版」(9)

     周産期母子センターの今

 スーパー総合周産期母子医療センターは、おしなべて、運営の危機的状況にあります。

 皇室ゆかりの愛育会病院、日赤医療センター、それぞれ労働基準監督署の立ち入り調査があり、医師の当直勤務は、労働基準法違反の疑いがあるとして、具体的な是正勧告をうけました。

 とくに愛育会病院は、「現状では労基署の改善勧告を守ることはできない」と、周産期救急から撤退することを決めざるを得ない状況にありました。

 日赤医療センターは、労働基準法36条、いわゆる「36協定」すら締結していないことの指摘を受けて、急きょ、過半数の職員から承認を受けた代表と病院当局が、医師の夜間・休日等に関する36協定を結びました。

 どこの管理者も、押し並べて、「労基法通り守っていたら、運営は不可能だ」との声があがっています。

  その反面、自らの命の危険を感じた勤務医は、2人3人と立ち去りがたサボタージュ、救急受け入れ休止、救急車は、生き残った救急センターに一極集中、やがて、ここも崩壊の憂き目の悪循環。

 かくして医師不足のしわ寄せは、新しい命を生み、育む母親に、生まれ来る新しい命の危機をもたらしています。


医療崩壊「かわら版」(8)

2009-06-11 09:41:04 | 医師不足の深層探究

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  医療療崩壊「かわら版」(8)

t   「ただ働き」に司法の判断

 奈良県立病院産婦人科医師2名は、「当直という名の夜勤」の対価2年分、9千2百万円の支払いを請求、奈良地裁に提訴、4月22日奈良地裁は、労働保障の時効部分を除いて、1.540万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

 医師の「偽装当直」を「夜勤労働」と認めて、その対価を支払うとした判決は、全国初!。

 「パンドラの箱」から飛び出した災厄は、①当直勤務では対応しきれないこと現実を明らかにし。②いきおい、少ないスタフで、連続労働の夜勤をせざるを得ないこと。③労基法に従って交替制勤務にするには、医師不足が足かせになること。④違法当直を夜勤にするには、莫大な労働対価の人件費が必要になること。⑤激務に耐えかねて「立ち去り型」の離職が増え、さらに残った医師に過重な負担が集中すること。

  かくして、辛うじて踏ん張って残った病院や医師に、患者が集中する悪循環の連鎖反応は、やがて将棋倒しの2次、3次の連鎖を引き起こします。

 奈良県は、控訴しました。

 「パンドラの箱」の底に、果たして希望の光が見えるのは、はるか先の夢物語にも等しい現実です。

  しかし、労使双方はもちろん、「ボール」は、確かに厚労省の手に返されたことは事実です。 

  


医療崩壊「かわら版」(7)

2009-06-06 17:44:38 | 医師不足の深層探究

Photo_3         医療崩壊「かわら版」(7)                    「パンドラの箱」が開いた!

  東北大医学部付属病院、札幌医科大付属病院、ご覧の通り、医師の残業代不払いで、所轄の労働基準監督署から、改善命令をうけました。

 同じく、滋賀県病院事業庁が、県立成人病センターの残業代不払いで、ついに「送検」される事態になりました。

 “送検”とは、検察庁に送られることで、書類送検と身柄送検とありますが、いずれも明らかに、犯罪の疑いがあり、検察庁の判断を仰ぐ手続きをいいます。

 「名ばかり管理職」が摘発されたのは、全国初めて、その額なんと3億5千万円。

 4月14日、国会の厚生労働委員会では、升添厚労大臣が質問に答え「パンドラの箱」を開ける事態になったと述懐しています。

 「パンドラの箱」をひとたび開けると、苦難や災難が飛び出してくるといいます。

 その後に、箱の底から「希望」が見える、という説もありますが、果たしてどうなるのでしょうか?

 起訴するか、不起訴になるのか、「パンドラの箱」の蓋に、手をかけるのか、検察の対応が注目されます。