新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

後期高齢者の反乱

2008-07-31 14:21:28 | 後期高齢者医療

           「後期高齢者医療制度」のからくり(14)

         政府の大嘘「7割の人は安くなる」

 「お年寄りが、安心・安全に暮らせるように」するのが、後期高齢者医療制度だと謳っていた、その柱の一つは、後期高齢者の7割の人は、保険料が安くなる、と云うものでした。

 事実、桝添厚労大臣は「7~8割の人は保険料が下がる」と、明言していました。

  金沢市の例をみてみます。

   5.952円→9.295円 1.5倍です。

  川崎市の例

   4.801円→8.257円 1.7倍です。

 国会でこの事実を指摘されると、慌てて「正確な数字はわからない」の答弁。その場しのぎの、ためにするウソ答弁であることが、すぐにバレてしまいました。ご粗末の極み!

 実際に民医連が、加盟する病院や老健施設300余りの、高齢者の聞き取り調査をした結果の中間報告がでました。

 4.600人の回答です。

 保険料が高くなったと答えた人・・・42.4%・・・4割を超えます。 

  保険料が安くなったの答えた人・・・・7.2%・・・1割にも満たない数字です。

 2回目の年金天引きで、家族の国保料のアップによるダブルパンチに、怒りがさらに沸騰しています。

 「ウソは、泥棒の始まり」と、子供のころ、教えられました。 


後期高齢者の反乱

2008-07-25 20:10:55 | 後期高齢者医療

           「後期高齢者医療制度」のからくり(13)

          こりゃひどい、医療費削減計画!

 医療費削減は至上命令ですから、なにがなんでも削減目標を達成しなければなりません。そこで、最高医療費の福岡県と、最も安い長野県を比較しようと試みたのですが、どちらも、まだ削減計画を公表しておりません。

 仕方なく、公表している第2位の北海道と、わが群馬県とを比較してみました。

                  群馬県      北海道

  平成18年度医療費  4.764億円   1兆7.980億円

  このまま推移したら   5.947億円    1兆9.680億円

  24年度目標達成      5.833億円    1兆9.010億円

  医療費削減効果      114億円         670億円

    人 口                     203万人         566万人

  一人当たり削減額    56.000円      118.400

 住んでいる自治体によって、医療費削減額がこれだけ違います。住民は少しでも削減額の低いところへ引っ越したくなります。削減額が多いほど、医療の質が落とされることにもなります。

 広域連合にしてみれば、医療費のかかる後期高齢者や病人の流入を嫌います。

 それでも計画が達成できなければ、奥の手があります。

 現行の診療報酬、1点10円を、9円に下げる、こんなことが広域連合は自由にでるようになりました。

 その結果、患者は医療費がそれだけ“値下げ”になりますが、困るのは医者で、それだけ収入が減ります。

 医療費の高い地域に引っ越して診療したくなります。

 その結果、医師の地域偏在が、今以上にひどくなり、無医地区が広がる、そんなことになりかねません。

 あれもこれも、自公で強行採決した「高齢者の医療の確保に関する法律」すなわち「後期高齢者医療制度」であり「メタボ健診」はその中心的柱なのでした。           


後期高齢者の反乱

2008-07-23 13:17:48 | 後期高齢者医療

        「後期高齢者医療制度」のからくり(12)

          医療費削減の大競争時代の始まり

 「広域連合」って、どう考えても存在意義や正当性が分かりません。ただ、地方への権限移譲で、大変な権限を手にしたことだけは確かなようです。

  権限の移譲、すなわち、広域連合に「丸投げ」です。

 この正体不明な「広域連合」という都道府県単位の自治体が、独自に保険料を決めて、増大する医療費に合わせて、保険料を勝手に、いくらでも値上げする巧妙な仕掛け・からくりが仕組まれていることが分かりました。

 なにしろ、この4月から、全国47都道府県で「医療費適正化計画」の大競争が始まったのです。適正化計画とは、すなわち削減計画のことで、各自治体を競わせる政府の狙いが潜んでいたのです。

 計画のあらましは、①平成18年度の医療費 ②このまま平成24年まで推移した場合の医療費 ③医療費削減目標を達成した場合の医療費 ④医療費適正化で得られた効果、すなわち、削減できた医療費の額。この医療費削減計画はすべて、厚労省医療費適正化対策推進室に監視されるのです。

 調べてみたら、住んでいる自治体によって、とんでもない格差と不平等が生じる結果となりました。 


後期高齢者の反乱

2008-07-15 10:50:06 | 後期高齢者医療

  Dsc02455     「後期高齢者医療制度」のからくり(11)

  「かかりつけ医」制度、機能不全に陥る!

 厚労省は、75歳以上の後期高齢者が、慢性疾患で外来診察を受けるときには、「かかりつけ医」を決めて受診するよう勧めています。

 1割負担の、1か月600円で受診できる、と云うのです。

 但し、予め決められた13の慢性疾患のうちの一つに限り、一人の「かかりつけ医」にしかかかれません。

 また、医療機関は「かかりつけ医」になるためには、自治体に届け出をしなければなりません。ところが、この届出数が惨憺たる状態にあります。

 青森ゼロ%、秋田0.3%、山形1.9%、沖縄2.1%、多い方では、長野35.2%、愛媛41.1%、鹿児島49%、という状態です。

 全国63.286ヶ所ののうち「かかりつけ医」の届け出をした診療所は、8.876、僅か14%でしかありません。

 全国の都府県の30もの医師会が、この制度に、こぞって反対しているからです。理由は、600円の定額制の範囲内では、まともな診療ができない、必要なレントゲン写真を撮ったり、血液検査をすればするほど、「かかりつけ医」の持ち出しになり、そのうえ、二つ以上の慢性疾患がみつかったら、いちいち紹介状を書いて、他院への受診を斡旋するなど、面倒なうえに「祖診祖療」になる恐れがある、として反対しているのです。

 患者さんにしてみれば、今まで通り、自由に医師を選べますが「かかりつけ医」かどうかを確かめて、自分で判断しなければなりません。

 英国の「かかりつけ医」制度を真似たのですが、それは、親子何代にもわたって、「揺り籠から墓場まで」親身になってくれる「かかりつけ医」であって、75歳から死ぬまで、とは大違いな制度で、もはや機能不全か、破たんしているのでないでしょうか。もっとも、英国では、とっくに破たんしていますが、・・・。

           厚労省、勤務中にパソコンゲーム?

 おりしも、この制度を作った厚生労働省の職員が、勤務中に、公務用のパソコンを使って、ゲーム関連サイト等から、1日12万件アクセスして、お笑いや演芸やアニメやゲームなどに打ち興じているときては、開いた口が塞がりません。

 まさに「役人天国と、老人地獄絵図」そのものですね。

   試運転のSLが走ってきました。(書斎より・画面をクリック)

    


後期高齢者の反乱

2008-07-10 10:02:58 | 後期高齢者医療

      「後期高齢者医療制度」のからくり(10)

      一人の患者・病気は一つ・主治医も一人

 旧厚生省時代から、英国をはじめ、ヨーロッパ各国の「かかりつけ医」「家庭医」制度導入を企図してきましたが、日本医師会などの反対にあって、看板を「主治医制度」と書き換えてきたもので、意趣返しを図ったような感じがします。

 と云いますのも、この制度を再提案して推進しているのは、当時の元厚生官僚が、複数関わっていることが歴然としているからです。

 75歳以上の患者は一人に付き、一つの病気を、一人の医者に決めて外来受診する。しかも1か月の診療料を、患者一人が6.000円の範囲内に限定されます。

 血液検査やレントゲン撮影などで、6.000円を超えると、主治医の持ち出しになります。

 検査を控える、高度なX診断を、目をつぶって省略する?こんなことが起こると、多数の医師が呟いています。

  しかも、75歳以上の患者の病気の種類を、次の慢性疾患13疾患に限定しています。

         高齢者の慢性疾患を13に限定

 結核・甲状腺障害・糖尿病・脂質異常症・高血圧性疾患・不正脈・心不全・脳血管疾患・ぜんそく・気管支拡張症・胃潰瘍・アルコール性膵炎・認知症。

 複数の疾患を治療するためには、「主治医」が、他の疾患を扱う、他の複数の「主治医」に、複数の紹介状を書いて紹介しなければなりません。

 なぜ、75歳以上と線引きしたのか、なんの医学的な根拠もありませんが、75歳以上の高齢者が、たった一つしか慢性疾患をもっていない、これは幸せなことではありますが、ごく稀なことではないでしょうか。

 狙いは、後期高齢者の医療費を、無理やり抑制する手段でしかないことは間違いありません。

 政府に媚を売る御用学者や評論家が、屁理屈並べて賛成しているだけです。