新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

医療崩壊「かわら版」(14)

2009-07-31 12:08:27 | 医師不足の深層探究

Photo医師養成を「けちる」医療政策
    圧倒的に少ない国費

 医師養成に、莫大な費用をかけているのは、第1位アメリカ、続いて韓国。

 すべて国費を投入している国は、デンマークを筆頭に、スイス・フィンランド・ギリシャ・オーストラリア・アイスランド等。

 これらに比較して、我が国は、OECD加盟上位28カ国中、第24位。しかも、公費負担に対して、私費負担割合が遥かに多い。

 その公費負担、最も少ない韓国に次いで,尻から第2位、なんともお寒い現状です。

  おりしも、今日付けの朝日新聞第1面に、親の年収で大学進学率が左右される!見出しで、年収1.200万円以上では62%、200万円以下では28%。

 医学部では入学金や学費は比較にならないほど、そのうえ私学では、公立の1.5倍~2倍。

 政治家の世襲とは言いませんが、また、医者がすべて裕福とは思いません。しかし、医家の子女が家業を継ぐ割合が多いのは頷けます。

 いずれにしても、文科省も厚労省も、誤った将来見込みの付けの始末に、重い責任を負わなければなりません。

 せめて「経済大国」を自認するなら、公費負担もOECDの水準並みにするべきではないでしょうか。 

 


医療崩壊「かわら版」(13)

2009-07-25 10:37:34 | 医師不足の深層探究

Dsc00885医療は世界一、医療現場は火の車
 
 連加盟国中、63位の日本

  WHOが、「日本の医療は世界一」のお墨付きを公表しました。米国は37位でした。

 そのアメリカ、100病床当たりの医師数の国際比較で、世界一の66.8人、イギリス49.7人、フランス43.5人、ドイツ37.6人にも抜かれて、1位の米国比で、日本は僅かに13.7人、5分の1でしかありません。

 日本の医療現場は、「火の車」になって、世界一の医療を支えていることになります。

 国連加盟197国中63位、先進国に比較して、医師不足は実に14万人とも、20万人とも言われています。

 同時に、満足度は第6位とか、果たしてそうでしょうか?

 「医師が増えると、医療費が高騰する」これが、永年続いた政府の基本政策でした。

 今まさに、この付けが、如実に回ってきたのです。

 あわてて、医師養成定員の増に着手しましたが、定員増の効果が表れるのは、最低でも10年から15年先の話しです。

 ここでも厚労省のシュミレーションの失敗は明らかです。

 


医療崩壊「かわら版」(12)

2009-07-21 11:36:05 | 医師不足の深層探究

Photo  医療崩壊「かわら版」(12)
  
 壮大な大実験の大失敗!
 
医師不足から病院の統廃合や診療所化、無床化、無医地区化、民間委託による利益優先の経営など、とくに、公立病院の窮状は深刻です。
 このような地域医療や救命救急医療崩壊の原因は、いくつか指摘されています。
 その中で、最大の原因としてあげられるのは、2004年から始まった医科の新医師研修制度です。

 研修先の選択の自由化、それによる都市部への一極集中化や、設備のいい、あるいは医師数の多い民間大病院への流れ。

 待遇、生活環境、研修効果、子弟の教育環境など考慮して研修先を選択することになります。

 研修を終えた研修医は、開業の道を選ぶか、あるいはフリーになって医師派遣エージェンシーへの登録をするなど、その数、数万人にも達しています。

 結局、充実した魅力ある研修ができないと判断した、出身大学に戻る研修医は51%にも激減、派遣元の大学病院の医師不足が起こり、いままで、教授の裁量で中小病院や地方の公的病院へ派遣していた研修医の、大学病院による「貸し剥がし」が、一挙に拡大しました。

 理想を追って、現実のシムレーションを描かなかった付けが回ってきたのです。

 「壮大なる大実験の、壮大なる大失敗」が、今日の医療崩壊の大きな一因であることは否めません。


医療崩壊「かわら版」(11)

2009-07-05 10:11:52 | 医師不足の深層探究

Dsc00881_3        医療崩壊「かわら版」(11)

  北から南から、日本中で医療崩壊の厳しい施策が進行しています。

 病院統合廃止、それに伴う首長のリコール運動、病院の診療所化、地方独立行政法人化、などなど、これはほんの一部の例です。

 総務省が、各自治体に対して、財政健全化法を盾に、3つの指標をつきつけました。

 第1は、医療の経済効果をあげること。

 第2は、再編・ネットワーク化の構築

 第3は、経済経営形態の見直し

 これらを達成する実行計画プランの提出を求め、達成できなければレッドカード、すなわち「再生団体」に指定、一気に「公立病院改革ガイドライン」の実行を迫り、数値目標の達成、医療の効率化の推進を押しつけます。

 その被害を、まともに受けるのは、地域住民、とりわけ病人はもとより、過疎地の高齢者はたまったものではありません。