全国に展開する医療機関をはじめ検診事業団・検診センター等をあわせれば、およそ1万ヶ所、一日10件の採血が行われたとしても、その採血件数は10万回にも達します。
都内のある公的病院では、毎日700~900件の検体検査のための採血があると聞いています。
あってはならない事故ですが、むしろ、ないほうが不思議なくらい、昼夜の別なくこれだけの採血行為が行われています。
【1例】次の例は既に損害保険会社等の刷り物などで周知の事実ですが、臨床検査技師が関わった事故の、福岡地裁の裁判です。
1998年、体調不良を訴えて元美容師(男性・45歳)が、北九州のK病院に検査入院し、臨床検査技師が、左腕から血液採取した際に、神経を損傷し、職業上、櫛を持つて髪を整える左手に力が入らなくなり、指の感覚も低下してしまった、ということで、病院とこの検査技師に対して、約4,650万円の損害賠償を求める民亊請求の裁判をおこしました。
病院側は「不可抗力の要素があった」と減額を求めましたが、なにしろこの美容師は、今でいうところのカリスマ美容師とかで、「20年間に顧客の指名は数千名に達している」と主張。
裁判長は「神経を損傷する可能性は常にあるが、損傷を回避するための注意義務を怠った」と認定し、さらに「美容師の仕事に復帰するのは困難で、仕事は相当に制限される」とし、65歳までの一定の労働能力を喪失し、その逸失利益を約3,800万円として、慰謝料の支払を命じたものです。
【2例】2005年の11月にも、大阪地裁堺支部でも原告勝訴の判決があります。
堺市内の主婦が同市内R病院の看護師から採血を受けた際に、右手の神経を損傷し、身体障害者2級の認定を受ける後遺症に至った例で、病院側は「後遺症は心因性の痛みに起因する可能性が高い」として、所謂「素因論」を展開していますが、全く認められていません。
【3例】その前年には、埼玉県上尾市の男性(36歳)が、勤務先での健康診断で、県保健衛生事業団(宇都宮)から派遣された看護師(52歳)から採血を受けた際に、誤って神経障害を受けたと、事業団を相手に、約360万円の損害賠償の訴えを起しています。
訴状では「針を刺してはいけない個所に刺し、注射器に加える力が強すぎたために内出血し、左腕付近の神経を損傷した」といっています。
事業団では、「事実関係の争いはないが、賠償額について、示談解決に向かって話し合っている」としています。
否認、謝罪、和解、示談、調停、裁判など、どこかに重大な分岐点がある筈です。
「明日は我が身」という諺もあります。
再発防止は緊急で重要な課題です。
次回、「法律ド素人」の化石の考えるところを述べてみたいと思います。
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うまくいかなかったら、またコメントをください。
考えさせられたとのコメントがありました。
多分みなさん、読んでくれていると思います。
また訪問しようと思ったとも・・・