11月後半の3連休の土日を利用して
長年会いたくて、本物に会いたくてしかたなかった
聖ベロニカ に逢いに岩手県盛岡へ行った。
岩手県立美術館主催 舟越保武 企画展
盛岡駅から歩いて15分ほどの川を渡った広い河川敷に近い公園の一角に
県立美術館がある。
聖ベロニカ は後半の部屋の端っこにひっそりと佇んでいた。
静謐な空気が周りを包み
今にも泣きそうなそれでいて、意志が貫かれているまなざしをもっている彼女
遠くにいるときから視線を注がれている感覚があった。
近くに寄ると何か迫り来るものが、感情を揺さぶり涙があふれる。
もう一つ、
舟越氏が若い頃、亡くした長男を描いたパステル画
8ヶ月で突然命を奪われてしまった悲しみを
水仙の花に埋もれた棺の我が息子を
おさめるカメラさえないからと、自分の手でパステル画に遺した作品
小さなパステル画だけれど
いとおしさと悲しみと慈しみがまざった感情が
穏やかで安らかに目をつむった幼顔を包む。
心穏やかに見ることはできなかった。
なのに、目をそらす事もできず引き込まれてしまう。
ほんとに穏やかな作品なのに。
作家や芸術家が思惟をこめて創るものには
その魂が籠もる。
あの静謐さ を
どうやって石に宿すのだろう。
彼の晩年の言葉
・・・時代の流れに沿うこともせず
自分は職人として石を彫る・・・
というようなことが書かれていた。
彼は 芸術家 であると同時に
やはり 真の職人 なのだろう。