大島渚監督の『愛の亡霊』を観た。
なんとも独特の重苦しい雰囲気が
なにかいけないものを
覗き穴から覗いてる背徳感めいたものを楽しむことができる。
それになんといっても
ウリは
吉行和子の尻だ。
たんなる当時四十路の女優として観ても
魅力的な女優で
そのエロシーンということで
ある程度はときめくのだろうが
ワタシら『ケンちゃんシリーズ』で
憧れの素敵なお母さん役として観ていた世代にとっては
ときめくなあんてもんじゃなく
若者言葉で表現するなら
「ヤバイ」
シーンなのである。
ヤバイって、いい意味なんでしょ?
よく昔、善良な人間ばかり演じてた俳優が悪役の仕事はしたくない
あるいは、悪役の仕事が来ない。
その逆で、悪役の俳優が・・・
という役者としての行き詰まり感の悩みがあるようだが
私は、そのとき、吉行和子の英断に拍手を送った。
(「たんに尻が見たいから、そう言ってるだけだろ」の声)
自分からこれまでのスタイルを変えるというのは勇気が必要だが
やってしまえば
活路も広がる。
女流棋士でも
私は振り飛車党だからと
漫然と振り飛車を指し続け
漫然と負け続ける人がいる。
なぜ命まで取られるわけでもないのに
いろんな可能性を試そうとしないのだろう。
吉行和子のように。
たとえですよ。
そのチャレンジに失敗したとしても
そもそも現在、自分の表芸の振り飛車で負け続けていますよね。
だったら別に、なーんにも
結果を恐れる必要はない
じゃありませんか。
今さら。
でしょ。
乱暴な言い方で申し訳ないんですが。
というわけで
吉行和子の四十路尻の後は
同じ大島渚監督の
『愛のコリーダ』
を観るつもりです。