正月の1月3日に放送された、京都迎賓館『極める 京都の技ともてなし』は、とても素晴らしい内容でした。
番組を見られた方もおられると思います。京都に住んでいる者として、一度は訪れたい場所ですが、まだ願いはかなっていません。
番組を見て、ますます自分の目で第一級の匠の作品を見てみたいと思いました。
京都迎賓館が京都御苑内に建てられたのは2005年ですが、当時建設反対の声もありました。主な反対理由は、建設予定地が、野球やゲートボールに使用され、利用できなくなるというものだったように記憶しています。無駄遣いという意見もありました。
私は、京都の匠の技が世界のVIPに紹介されることは、京都にとって誇りであり、素晴らしいことだと思っていました。
以前、市民新聞に京都迎賓館が一般公開されるという記事を見て、ハガキで申し込みましたが、くじ運の悪い私は案の定外れました。非常に高い倍率だったようです。
京都迎賓館の建物は京都御苑の景色に非常にマッチしています。
平屋作りのせいか、御苑の森のなかにスッポリ収まっている感じです。
私は年に何度も京都御苑を訪れるのですが、秋、迎賓館北側は美しい紅葉となります。
その様子は、昨年のブログにも京都御苑の紅葉で載せました。
京都迎賓館は、日本ならではのスタイルで、海外からの賓客をもてなす施設です。国内外のVIPを迎える建物は、数寄屋大工、左官、畳職人、表具師、蒔絵師ら、人間国宝を含む百人以上の職人が携わった、伝統技能の集大成です。
今回の放送は、海外の賓客を迎える京都の真髄、現代の日本の美の最高峰を伝えています。リポーターは、富司純子,寺島しのぶ親子です。
普段は入ることのできない日本の極上のもてなしを放送してくれました。
千年の都京都、その中心部に京都御苑があり、京都迎賓館は御所のすぐ隣にあります。
いよいよ迎賓館のなかに入ります。
靴で歩いても傷がつかないよう、特殊加工のけやきの床が印象的です。掃き清められた床はまるで能舞台のよう。
華やかなこの大きなホール「藤の間」に案内されます。
目に飛び込んで来たのは、花を描いた大きな壁画です。
春の桜、冬の牡丹、一番目立つのは初夏の藤、花言葉は「歓迎」。
これは絵ではなく、織物です。400色の糸を使い、7か月、8人の職人が手作業で織り上げたものです。
お客様を歓迎するため、能や日本舞踊などが披露される舞台
扉が閉まると、繊細な金銀の線に驚きます。
截金(きりかね)の歴史のなかで最も大きな作品です。人間国宝の江里佐代子製作で、金箔やプラチナ箔の細い線で、筆の膠で張り付けて作られます。
京都迎賓館は平屋建ての建物がいくつも連なっています。
ここに勤めるのはわずか11人。厨房は普段は空っぽ、専属の料理人はいません。
床の間も空っぽですが、お客様の予定が決まると、京都のおもてなしの達人が集まります。
晩餐会は京都の名だたる料亭が回り持ちします。
藤の間から次に向かったのは、「桐の間」という畳敷の和室で、日本料理を楽しむ晩餐会場です。
目を引くのは大きな座卓、12mあり、24人で食事ができるそうです。
堀コタツのように、足が下ろせるようになっています。
座卓の表面は鏡のようです。漆仕立てで、京都の工房で作られました。
この和室から日本庭園が見えます。日本人の自然を愛する心が、表現されています。
外国の賓客の方々にこれを見ていただくのが、ここでの大きなおもてなしです。
この部屋の天井は12mの一枚板でできていて、木目がきれいに揃っています。
これを作ったのは、京都の数寄屋大工の棟梁です。材料探しに苦労したそいうです。
障子の縁の木目もきれいに揃っています。実に細かいところにまで、繊細な技が行き届いています。
また、桐間の欄間にも、 截金で装飾されています。
京都迎賓館の庭園は、16代佐野藤右衛門棟梁のもと、京都の庭師が作りあげました。
四季折々の美でお客様を迎える。
続く、次回は実際に海外の賓客をもてなす様子を紹介します。