道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

散歩あれこれ

2004年08月12日 | 人文考察
  このブログにフォトアルバム「水鳥百態」をアップしてしまったので、水鳥の様々な姿を撮影しなくてはならず、毎朝散歩することにしました。

もともと、散歩はあまり好きでなかったのですが、いざ始めてみると、散歩にも様々なタイプがあることを知りました。それで、主たる動機や目的の違いにより、以下の5つのタイプに分類してみました。

1.愛犬の運動と排泄のための散歩
犬を連れて歩くのは誰の目にも目的が明らかなので、住宅地を徘徊していても胡散臭く見られることがありません。人目を怖れず堂々と何処にでも立ち入りできます。行動の責任はある程度愛犬に転嫁できますから、他人の目を気にする人には心理的に負担の少ない、ストレスの解消に好い散歩です。ただ、犬の排泄物を回収する作業と回収物を容れた袋を散歩の間中持ち歩かなくてはならず、それによって散歩の楽しさが著しく損なわれるのは仕方ありません。犬は定刻になると自分の方から飼主に散歩をせがむ生き物ですから、どんな三日坊主の飼主でも散歩を継続することになります。

2.健康を維持増進するための散歩
運動不足の解消、減量や美容など、これも目的のはっきりした散歩です。このタイプはたいていの場合、歩数や距離、時間など、目標となるデータを定めていて、脇目も振らずひたむきに歩きますからすぐそれと判ります。身体の衰えを密かに実感して歩き始めたためか多少強迫観念にとらわれており、適当に休んだり、目標値を落としたりすることができません。中断する事などもっての外、雨が降っても嵐でも、傘をさし雨衣を着けてひたすら歩きます。我が国の散歩者の大半を占めるタイプです。

3.観察の散歩
物を観て廻ることが好きな物見高い人間で、それを念頭において散歩コースを定め歩きます。対象はたいてい植物か鳥類でしょう。観察対象を見つけると、歩くのを止めて双眼鏡で注視したり写真を撮ったり、時には植物を採取したりすることもありますから、歩行距離はいっこうに伸びません。同類の散歩者に出会ったときは、これを同好の士として親しみ歓迎するタイプと、持場をなるべく独占したい気持から相手をライバル視して、冷ややかに無視するタイプとに別れます。時には観察の対象を怪しまれ、警察官の職務質問を受けることもあります。

4.行方定めぬ気儘な散歩
時刻・時間・コースなぞいっさい定めず、足の向くまま気の向くままのミニ旅ガラス。散歩の途中で買物をしたり、食事をしたり、知り合いと雑談を交わしたり、時にはそのまま居酒屋に直行して散歩を中止してしまうこともあります。2.のタイプを兼ねることは決してありません。

5.思索のための散歩
散策という言葉が相応しい、本来の意味での散歩です。思索というと大袈裟ですが、屋内では気が散って物事を考えられなかったり、思考が膠着して気分転換が必要になったりしたときなど、あてもなくぶらりと外に出て、気儘に景物を眺め、歩きながらモノを考えます。あてもなく歩くというところは、4.のタイプと似ていますが、思索しながら歩くという点で派を別にします。当然注意力は散漫となり、電柱にぶつかったり、交通事故に遭うおそれの多い散歩です。

ここまで書いてきて、ようやく散歩というものの本質に思い至りました。
何か目的のある散歩というのは単なる歩行であって、散歩ではなかったのです。散の字義はとりとめないこと。とりとめなく歩くのが散歩の意味で、逍遙に該るものでしょう。上記分類でいうと、1.から3.のタイプは、正しい意味での散歩ではありません。2.のタイプなどは、ウォーキングというエクササイズの一種ですし、 私のタイプ、3.は、水鳥ウォッチングにともなう歩行でしかありません。

それにしても、見かけないなあー、本当の散歩をしている人・・・・・。

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