京都駅で、柿の葉すしを買って新幹線に乗った。たまたま他に気に入った駅弁が無かったから買ったまでで、特に好物というものではない。
封を開けて食べながら、これはかつて人が徒歩で旅をしなければならなかった時代の、究極の行動食ではなかったかと思った。
鯖と酢めしがひと口サイズで抗菌性のある柿の葉に包まれ、保存性がよく食中毒を防ぐ効果が大きい。嬉しいことに手を汚さず適量を口にでき醤油も不要。安全簡便に携行できる点は、洋のサンドイッチに勝るとも劣らない。
エネルギー消費の激しい山登りは、6
時間の間隔で3食を摂る普段の食事法では、シャリバテと云って食間にエネルギー不足の状態に陥ることがある。これを防ぐには、小休止の都度食物を少量づつ食べ、エネルギーの素を補充する。これを行動食と呼んでいる。
柿の葉すしなら、小休止の都度、ひとつふたつ食べてお茶を飲めば、糖質・タンパク質・脂質の三栄養素と塩分・クエン酸・水分を最小限補給できる。これほど優れて合理的な行動食を、これまで山歩きに一度も利用しなかったことが悔やまれる。自衛隊のレーション(戦闘糧食)に推薦したいくらいのスグレモノだ。
もしかしてこの食品は、そのルーツを修験者たちの携行食に求めることができるのではないかと思った。奈良県の名産であることが、それを匂わせる。
柿の葉すしには数多くの販売元があり、中にはまったく美味しくないものも多数ある。これまで山行に携行しなかったのも、縁がなくて佳いものにありつかなかったからだ。因みに、たまたま今回食べたのは、奈良県五條市の「たなかの柿の葉すし」だった。今後はこれで行こう?と思う。もう行動食の必要はないのだが・・・
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