ひと月ほど前までは寒風が吹き荒んでいた散歩道の堤にも、今は柔らかな陽射しが注ぐようになり、道端のオオイヌノフグリの小さな花叢が目につくようになってきた。
明治時代に渡来した帰化植物で、丈が10センチ足らずの目立たない草だが、寒さがまだ厳しい頃の日溜まりに鮮やかなルリ色の花を咲かせ、春が近いことを教えてくれる。
早春に咲く草花でも、セツブンソウやユキワリソウ、フクジュソウなどは珍重され、最近は自生地に人が殺到するようだが、雑草の部類に入るこの花は、クローズアップ画像でも見ない限り印象に乏しく人気も薄い。
この草の和名を命名したのは牧野富太郎博士とか。イヌノフグリとは「犬のふぐり(陰嚢の古名)」で、実がふたつくっつき合った形が似ていることから、この名前が付けられたらしい。
英名のBird Eyeと較べると、我が国きっての植物分類学者の命名は甚だセンスに欠け、この花にとって気の毒だった。ある分野では泰斗であっても、他の能力も同等というわけにはいかない実例だろう。
そもそも帰化植物にわざわざ和名などつける必要があったのだろうか?当時はともかく、現在でもその方式だろうか。他の外来語同様、和名もバードアイでいっこうに構わないと思うが・・・
因みに戦前には、この名が教育上ケシカラン(なぜ教育上なのかわからない)ということで、ハタケクワガタという名に改めさせようとした学者がいたそうだ。ハタケクワガタも実の形に由来するらしいが、これも花のイメージを損なう、無粋な名称であることに変わりはない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます