果物の好みも、年齢と共に変化するようだ。若い頃はジューシーな果物が好きだった。ミカン・ナシ・モモ・ブドウ・リンゴ・スイカなど。
新陳代謝の盛んな年ごろは、水分の多い果実を体が欲しがるのだろう。
今はカキ・イチジク・バナナ・イチゴなど、あまり水気のない、それでいて柔らかい果物に変わった。歯が弱ったからかも知れない。水分を嗜好飲料で摂る生活習慣の、好ましくない影響もあるかもしれない。
この時季最も好みの果物は、ブドウよりもイチジクである。あの芳醇な香りとネットリした食感が堪らない。ブドウ狩りに行った家人の土産のブドウよりも、ついでに道の駅で買ったイチジクの方を有難がっている。好きなのだから仕方がない。
この嗜好には理由がある。育った家にイチジクの木が一本あって、幼児の頃から13・4歳になるまで、毎年この果実を食べていた。幼少期にある種の食べ物の味覚が脳に刻印されながら、青壮年期では他の様々な食品との接触の中で閑却されていた場合、老いて俄かにその味覚が蘇ることはよくあるようだ。それを口にして来し方を想うのも、ささやかな幸福といえるだろう。
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