てんちゃんのビックリ箱

~ 想いを沈め、それを掘り起こし、それを磨き、あらためて気づき驚く ブログってビックリ箱です ~ 

記憶 そして再生

2017-09-10 21:06:03 | ひとり語り





あの真赤に燃え上がった夕日を見ながら、2人ですごい、すごいって言い合ったはずだよね。

その時、君と顔を見合わせなかったのだろうか。
手をつなぎ、肩を抱かなかったのだろうか。

記憶の中には、ただ太陽に圧倒され、吸い込まれてしまった私一人がいるだけ。

君の顔も、体温も思い出せない。
声も、風の音に変わってゆく。

絶対に、君が僕の隣にいたはずなのに。

色はどんどん失われてゆく。
そして、うわ言のようにつぶやきつづける「すごい」と言う言葉だけが、頭の中を反射する。

本当に、誰かがいたのだろうか。

そしてその夕日は、どのようにすごかったのだろうか。

思い出すままに、色をつけてみよう。

こうかな、ああかな。
赤、黄、朱、紫、・・・・

色をキャンバスに落としていくと、それらは形を変え、自ら動き始める。

いいぞ、もっとだ。
金粉、銀粉を振りかけよう。
顔文字だってばら撒いちゃおうか。

とってもすごくなってきた。
その煌きの中に、私は吸い込まれてしまう。

ああ 朝焼けの中に 君がいる。
君に声をかけ、肩に手をかけようとして 私自身の実体がないことに気が付く。

君は振り向かずに手を伸ばして私の手をまさぐり、肩をよせてくる。
私はそこから少しずつ実体化し、君の体温が伝わってくるのを感じる。

君はゆっくりと顔を向ける。
その顔はパタパタと切り替わり、適切なものが選ばれる。
輪郭が緩み、そして改めてくっきりとして、にっこりと僕に微笑みかける。
「また はじまるね。」

つないだ手が少し汗ばんでいるのを感じる。

そう ここから私たちの新しい歴史がまた始まる。


 先日の金色のカエルを再掲したことで、ある進展がありました。 そこでそのSNSで最後に掲載した文章の後半部分を変更して、ここに掲載します。

コメント
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