てんちゃんのビックリ箱

~ 想いを沈め、それを掘り起こし、それを磨き、あらためて気づき驚く ブログってビックリ箱です ~ 

雑木林が消えた

2022-02-26 01:08:56 | 日記
 世界では強大な暴力組織のロシア軍がウクライナへの侵略を始めたが、私の家の近くでは近くに残った最後の雑木林がやはり強大な暴君である重機の侵略を受け、ほぼ3日間で壊滅した。

1.近くの雑木林について
 現代私が住んでいる所は、かつては林や野原の中にぽつぽつと集落がある程度だったようだ。それが切り開かれ住宅地となった。私が引っ越してきた約30年前は住宅地のそこかしこに雑木林の区域があり、その間を動くタヌキやイタチを見かけた。
 その後数年で一気に雑木林が住宅地へと変わっていきタヌキなども見かけなくなったが、私の近くの雑木林一つだけが、今まで残っていた。そして野鳥の集団が移動する中継点となっていた。そこは約40m×150mの四角形でかなり広いものだった。


2.侵略事件の発見
 私たちは、家から散歩する場合東西南北と4コースを持っていて、順に違うコースを歩いているから、南にあるその雑木林の近くは4~5日にいちど通る。
 3日前にその近くを通った時、機械音とバキバキッという音がする。木々の隙間から見ると、黄色の大きな機械が動いている。



 えっと驚いてその東側に回った。本来なら春に黄色のレンギョウの花畑になる場所が、踏み荒らされて、周辺の木々を残して奥へ向かって平坦になりつつあった。そこでは折られて生々しい断面を見せた木々が小さくなって立っていた。そして折られた上のほうは、ズタズタになってところどころに山となっている。
 その中を重機1台が悠然と動いていた。

<暴君は哀しからずや>



暴君は
哀しからずや
エンジンを
切れば取り巻く
樹々の呻きが



3.侵略の有様
 私が見たのは、背の低い木々を掴んで引っ張り上げて抜く作業、倒れたやや太い木をつかんで締めて切る作業、細かくなった木々を廃棄物のコンテナに乗せていく作業で、立っている木を折る作業は見なかった。

 下は小さな木を引き抜いている作業。

 



 しかし現場から見て、太い木は重機が立った状態でつかんでへし折ったのに違いない。のこぎりで切らないから、切断部近傍ががたがたになって木工用の素材としては使えない。

<もう春は来ず>



小鳥たち
今宵は何処で
泊まるのか
見守りたいが
もう春は来ず




だからこそ廃棄物用のコンテナに入れていくことになる。



 次の日に行くと四角形の一つの長辺の木々を残し、侵略結果は露わになっていた。近くの人に聞くと、重機一台が入ってから5日とのことで、自然のひ弱さがよく分かった。



4.周辺の状況
 周辺では、ポツリポツリと人がこの破壊を眺めている。
 ご近所のおじいさんが、「今年は冬にやっている道へ張り出した枝打ちがなかったので、おかしいなと思っていた。ついにここもなくなるのだね。」と寂しそうに言った。
 若い夫婦に連れられた小さな子が、眼を輝かせて食い入るように重機の動きをみている。木々を簡単に引っこ抜くたびに歓声をあげる。アニメや戦隊もので見る力強いロボットそのものだろう。
 鳥が周りの民家の庭木に来ては、きょろきょろと見渡し寂しそうにピーッと鳴いて離れていく。ここは、規模の大きな鳥の宿だったのに。これはヒヨドリ。

<友は何処に>



どうしたの
待ち合わせ場が
ないなんて
友に会うには
どうすればいい?


 雑木林を囲む家の庭で梅が咲きだしたが、話し相手がいなくなったのに戸惑っているようだ。



 空に浮かんでいる雲に乗っている人も、「地上のことは、私は知らないよ。」とばかりにそっぽを向いています。
(雲が斜め上を見ている顔に見えませんか?




5.隠れた現実の発見
 重機が片付けている木々の間に、いろいろな人工物がある。それらは作業員が手作業で集めている。壊れた自転車、毛布状のもの・・いろんなものがあり、それらをバッグに仕舞おうとしている。そして陶磁器やガラスの破片・・・  そういえば以前冷蔵庫やオートバイが捨てられていた。
現在はそこに見えるからいいけれども、木々が茂った見通せない状況で普通の人がこの雑木林に入った場合には危なかったのではと思う。


<目隠しを除いてみれば>



目隠しを
除いてみれば
情けない
事実もわかる
哀しい人よ


 そしてこれは、陶磁器の破片。



6.おわりに
 今は緑がこんな形で消えるのだとか、鳥たちの集まっている所が消えてしまってどうなるのだろうと感傷的だが、子供が小さな時は無管理の見通せない場所で不安と思っていた。また冷蔵庫等が廃却されて周辺が異様になっていた時は、早く無管理のところはなくせばいいのにと思った。そして晩秋は周辺に多量の落ち葉を落としすぎるために、たぶんご近所さんは迷惑だったに違いない。

 現在は緑地帯が強く要望されているが、たぶんこの雑木林のように無管理状態では社会的に危険である。たぶん私的所有だったのだろうが、管理を市に委託するか市が積極的に働きかけて整備し、緑地公園のように出来ていたらと思う。

 木々を鋸等で切っていくのなら自然への尊厳を少しは感じるけれども、へし折ってそのままごみ焼却場へ直行というのはあまりにも悲しい。雑木林の奥に入るのは危険だったかもしれないけれども周辺の法面には、先に言ったレンギョウのほか、ツツジやサツキ、芽生えた小ぶりの松の木などもあった。事前にこの工事が公開されていれば、苗木が欲しい人が集まって採集したかも知れない。私はサツキが欲しかったが、すでに引っこ抜かれていた。
 

コメント (4)
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