訪問日:2019.08.27
名古屋城と国際センターの間の、江戸時代から続く四間道・円頓寺地域の民家やビルの中に、バラバラと11点の展示がなされているとともに、町おこしのステージが作られている。この地域は暫く前にタモリがNHKで歩いて過ぎたところで、ちょっと懐かしい雰囲気があり、ある意味街自身も展示になっている。
美術家側も、美術館ではない場所での展示ということで、いろいろ工夫することができる。
前回と同様に、印象に残ったもの数点とこの地域の風景を示す。
(1)四間道 (風景)
江戸時代にこの道を四間(7.2m)を開けたら、大火の際に実際にこの道が防火の役割をしたとのこと。
下の白壁の建物は面白いと思った。
(2)岩崎貴宏作 「町蔵」
四間道にある旧家・伊藤家の蔵を利用した展示。
蔵の中に入っていたものを変わった形に積み上げ、その上に黒炭の破片をばらまき、黒焦げの模型を置いて、焼け野原を作っている。下の積み上げたものは火事の避難で持ち出したもののようにも考えることができる。城だけでなく、テレビ塔も燃えている。
ここは、江戸の大火で燃え、太平洋戦争で名古屋城とともに燃えた。そして実はこっそりとどっかに火種が残っていて、将来テレビ塔をも燃やすような大火を起こす隙を狙っているのではないかと思った。
(3)梁志和(リョン・チーウォー)+黄志恒(サラ・ウォン)作 「円頓寺ミーティングルーム」
かつてのこの街の集会所を利用した展示で、周辺に大きな人々の写真のパネルを置き、中のテーブルに、地域の人の思い出の詰まった写真が置かれている。大きなパネルの人々はすべて後ろ姿で、ここで楽しく語らった後にそれぞれの場所へと散っていく状況かもしれない。
<もう一度 こっちを見て>
もう遅い
去り行く君は
振り向かず
私の純な
心掲げても
(4)円頓寺通り 風景および作品
円頓寺通は、アーケードそのものが下記の作品になっている
アイシェ・エルクメン作 Living Coral / 16-1546 / 商店街
ここは、七夕飾りを吊り下げるためにアーケードに地味なロープをぶら下げているということだが、そのロープを派手なピンク色に変えることで、街のフレームを変えるという試みがなされている。それに加えて商店街の店が派手なサンゴ色の紙の袋を準備していて、人の動きに華やぎを持たせようとしたらしいが、その袋を持って歩いている人はいなかった。 ピンクのロープは確かに街の雰囲気を明るく変えていると思う。
この円頓寺商店街は、ちょっとこだわった店が多く、なかなか面白かった。次の写真は、家に描いたトリエンナーレ参加作品であるが、ある商店の看板をその次に示す。この看板のほうがトリエンナーレ作品よりも、飛んでいて面白いと思いませんか?
(5)越後正志作 飯田洋服店
この作品は、約200m離れた洋服店から作者が選んだものを持ち出して、展示場所に飾るということで、日常場所の不存在と展示場所という非日常空間での存在との意味を考えるということ、移動と言う行為を作品とすると解説にある。そしてそれが高評価のようだが、この日見た作品群の中でもっとも意義がわからなかったので、印象に残ったものとして挙げる。
(6)毒山凡太朗作 「Synchronized Cherry Blossom」
この作品は、台湾の老人に日本統治時代の話を日本語で話させ歌わせるというビデオ、また酔っ払って寝ている人にグローバル起業のロゴ入りタオルをかけているビデオと、菓子の「ういろう」で作った満開の桜のインスタレーションが組み合わされていて、かなり印象に残った作品。
特に台湾の老人が君が代を歌ったり教育勅語を暗唱したりする姿に、太平洋戦争の残滓はまだまだ消えていないなと思った。
桜の展示は、光が下から入っていて陰影が逆になっている。3つのものを組み合わせると、いろんなイメージが生まれる。
台湾の老人のビデオ
<ういろうの花>
この時期に
桜咲かずば
ういろうの
花を飾りて
貴方を祝う
11点の展示は、展示環境をうまく使っているか否かで、だいぶ印象に差がある。また、映像を主とする作品が多かったが、頭でっかちすぎるのではと思える作品があった。こういった地域の中での展示は、その地域の人が理解できるわかりやすいものがいいのではと思う。
名古屋城と国際センターの間の、江戸時代から続く四間道・円頓寺地域の民家やビルの中に、バラバラと11点の展示がなされているとともに、町おこしのステージが作られている。この地域は暫く前にタモリがNHKで歩いて過ぎたところで、ちょっと懐かしい雰囲気があり、ある意味街自身も展示になっている。
美術家側も、美術館ではない場所での展示ということで、いろいろ工夫することができる。
前回と同様に、印象に残ったもの数点とこの地域の風景を示す。
(1)四間道 (風景)
江戸時代にこの道を四間(7.2m)を開けたら、大火の際に実際にこの道が防火の役割をしたとのこと。
下の白壁の建物は面白いと思った。
(2)岩崎貴宏作 「町蔵」
四間道にある旧家・伊藤家の蔵を利用した展示。
蔵の中に入っていたものを変わった形に積み上げ、その上に黒炭の破片をばらまき、黒焦げの模型を置いて、焼け野原を作っている。下の積み上げたものは火事の避難で持ち出したもののようにも考えることができる。城だけでなく、テレビ塔も燃えている。
ここは、江戸の大火で燃え、太平洋戦争で名古屋城とともに燃えた。そして実はこっそりとどっかに火種が残っていて、将来テレビ塔をも燃やすような大火を起こす隙を狙っているのではないかと思った。
蔵内の雑貨を積み上げた通路の中で、茫然と作品を見ている人。
<焼け野原>
蔵中に
隠されていた
焼け野原
未来への種
芽吹く日を待つ
<焼け野原>
蔵中に
隠されていた
焼け野原
未来への種
芽吹く日を待つ
(3)梁志和(リョン・チーウォー)+黄志恒(サラ・ウォン)作 「円頓寺ミーティングルーム」
かつてのこの街の集会所を利用した展示で、周辺に大きな人々の写真のパネルを置き、中のテーブルに、地域の人の思い出の詰まった写真が置かれている。大きなパネルの人々はすべて後ろ姿で、ここで楽しく語らった後にそれぞれの場所へと散っていく状況かもしれない。
<もう一度 こっちを見て>
もう遅い
去り行く君は
振り向かず
私の純な
心掲げても
(4)円頓寺通り 風景および作品
円頓寺通は、アーケードそのものが下記の作品になっている
アイシェ・エルクメン作 Living Coral / 16-1546 / 商店街
ここは、七夕飾りを吊り下げるためにアーケードに地味なロープをぶら下げているということだが、そのロープを派手なピンク色に変えることで、街のフレームを変えるという試みがなされている。それに加えて商店街の店が派手なサンゴ色の紙の袋を準備していて、人の動きに華やぎを持たせようとしたらしいが、その袋を持って歩いている人はいなかった。 ピンクのロープは確かに街の雰囲気を明るく変えていると思う。
この円頓寺商店街は、ちょっとこだわった店が多く、なかなか面白かった。次の写真は、家に描いたトリエンナーレ参加作品であるが、ある商店の看板をその次に示す。この看板のほうがトリエンナーレ作品よりも、飛んでいて面白いと思いませんか?
(5)越後正志作 飯田洋服店
この作品は、約200m離れた洋服店から作者が選んだものを持ち出して、展示場所に飾るということで、日常場所の不存在と展示場所という非日常空間での存在との意味を考えるということ、移動と言う行為を作品とすると解説にある。そしてそれが高評価のようだが、この日見た作品群の中でもっとも意義がわからなかったので、印象に残ったものとして挙げる。
<私は さらわれ人>
これは何?
聴いても答え
でてこない
なぜここにいる?
さらわれたから
これは何?
聴いても答え
でてこない
なぜここにいる?
さらわれたから
(6)毒山凡太朗作 「Synchronized Cherry Blossom」
この作品は、台湾の老人に日本統治時代の話を日本語で話させ歌わせるというビデオ、また酔っ払って寝ている人にグローバル起業のロゴ入りタオルをかけているビデオと、菓子の「ういろう」で作った満開の桜のインスタレーションが組み合わされていて、かなり印象に残った作品。
特に台湾の老人が君が代を歌ったり教育勅語を暗唱したりする姿に、太平洋戦争の残滓はまだまだ消えていないなと思った。
桜の展示は、光が下から入っていて陰影が逆になっている。3つのものを組み合わせると、いろんなイメージが生まれる。
台湾の老人のビデオ
<ういろうの花>
この時期に
桜咲かずば
ういろうの
花を飾りて
貴方を祝う
11点の展示は、展示環境をうまく使っているか否かで、だいぶ印象に差がある。また、映像を主とする作品が多かったが、頭でっかちすぎるのではと思える作品があった。こういった地域の中での展示は、その地域の人が理解できるわかりやすいものがいいのではと思う。