昨日、これまで撮った写真を眺めていて、秋はリフレクションの作品をよく撮っていることに気が付きました。そしてなにか現実が、そのままではなくリフレクションの中に隠れている場合もあるような、もしくはそれが幻想を膨らませる素材としていくらでも気持ちを託せるような感じがしました。
ここでは、それらをつなぎ合わせてショートストーリーを作った結果を紹介します。
1.宣託
2年前の秋の日、ドーム兄弟のガラスの展覧会に行っていました。ある暗い部屋に入った時、壺が展示ケースから飛び出して漂っていました。私が近寄ると寄ってきました。蓋を開けると中にはお告げ。
「周りの体温を感じずに、生きることになります。」
<壺>
漆黒に
奔る光点
手を振れば
お告げの詞を
運んでくるよ
漆黒に
奔る光点
手を振れば
お告げの詞を
運んでくるよ
(大一美術館展示品)
2.電車に乗る
狐につままれながら帰りの電車に乗ると、吊革が揺れて呼びかけます。
<吊革が囁く>
吊革が
手を伸ばしてと
囁いた
疲れたでしょう
うたた寝できる
吊革が
手を伸ばしてと
囁いた
疲れたでしょう
うたた寝できる
(この写真、次の写真はリニモ)
吊革につかまると動きだした。妖しい色の秋空が見える。だけどもだれも無関心。
おかしいな。間接的に体温を感じるだけでも駄目だったのか。
<どこへ行くのか>
カプセルに
満ちる無関心
流れゆく
秋の夕焼け
行く先は何処
カプセルに
満ちる無関心
流れゆく
秋の夕焼け
行く先は何処
眼が覚めた・・・ということは やっぱり寝ていたのか。ともかく降りよう。
3.ここは?
ここは名古屋地下鉄 伏見駅から上がったところのはず。ここは本来なら人でぎっしり。でも誰もまわりにいない。異様な雰囲気を感じて上を見上げた。逆さまに人たちが歩いている。
<天井の足音>
天井を
歩む人々
2次元に
押しつぶされて
足音響く
天井を
歩む人々
2次元に
押しつぶされて
足音響く
4.妖しい街角
繁華街 久屋大通りの街角。やはりほとんど人がいない。と思ったら自転車の人と横断歩道を待つひとがいた。
「おーい」と声をかけようとした。すると通りのショーウィンドウがいきなり海の水で満たされ、決壊しその人たちを流しさった。
<魚影あらわる>
繁華街に
人流すため
海が来た
ビル壁面に
魚影あらわる
繁華街に
人流すため
海が来た
ビル壁面に
魚影あらわる
そして、名古屋の象徴のテレビ塔に暗雲が立ち込め、ぼやけ始めた。
<テレビ塔の暗雲>
暗雲に
締め付けられた
テレビ塔
息も切れぎれ
敵はコロナだ
暗雲に
締め付けられた
テレビ塔
息も切れぎれ
敵はコロナだ
(水盤に写ったテレビ塔を逆にしたもの)
コロナ渦の第3波だ。
私は戦う仲間を集めようと、一生懸命に人を探した。
名古屋市美術館で見つけた。でも私がこれ以上近づけば、ハンマリングマンが彼女を襲うだろう
<ハンマリングマンの襲撃>
あぶないよ
木陰の貴方
忍び寄る
ハンマリングマンが
日常ぶっ壊す
あぶないよ
木陰の貴方
忍び寄る
ハンマリングマンが
日常ぶっ壊す
また一人、愛知県芸文会館で見つけた。でも彼は既に、彼からは認識できない檻に閉じ込められていた。
<がんじがらめ>
知っているの
貴方は既に
檻の中
スマホ持ってる
ハムスターと同じ
知っているの
貴方は既に
檻の中
スマホ持ってる
ハムスターと同じ
5.美の戦士たち
もう誰もいない。マザック美術館に入った。そして輝く戦士たちを見つけた。
<美の戦士たち>
厳かに
美の戦士たち
集まりて
物陰の奥
隊列を組む
厳かに
美の戦士たち
集まりて
物陰の奥
隊列を組む
美の戦士は、国際会議場にも。轡並べて出撃準備をしている。
<轡並べて>
コロナ打倒
轡を並べ
出撃を
御願いしたい
助けてください
コロナ打倒
轡を並べ
出撃を
御願いしたい
助けてください
(彫刻が2棟の建物の間で反射している)
美は一人一人が感じるものだけでなく、みんながそれを共感しあうもの。だから、人が孤立しなければならない状況となったら、最後は美神たちが立ち上がると信じていた。
精神的な面のコロナの病は、きっと美神が助けてくれるだろう。