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去年の芥川賞受賞作、田中慎弥の[共喰い]を読んだ。
「貰っておいてやる」でお馴染みの人ね。
今回映画化も決まって、単行本化されたので
何となく買ってしまった。
本来僕は文芸作品は趣味じゃないので、ほとんど読まない。
もっぱらミステリーと時代小説専門なんだけどね。
今回は芥川賞を取る作品にちょっと興味があったのと
作者に興味があったので、買ってみた。
[情熱大陸]で取り上げた時に、なかなか魅力的だったのね。
受賞会見があんなだったから、無頼派みたいに思ってたけど
別にそこまで攻撃的には生きてないな。
ただ世間の常識には乗ってないね。
他人は他人、自分は自分という線引きをしてる。
世の中に迎合しすぎないのは、文学者らしい生き方だね。
やはりある程度距離を持って斜めから観ないと
味のある小説は書けないんだと思う。
で、[共喰い]だけど
読んだ第一印象は、ちょっと意外だったかな。
芥川賞って、こういうテーマでもいけるんだって感じ。
まあ僕が勝手にイメージを持ってたんだけど。
サスペンス的な要素もあるし、ちょっと退廃的でもある。
愛情が歪んだ形で表現されているのは、多分に文学的。
ただ女性の中には拒絶反応のある人もいるだろうな。
つまり性的にそういう表現が柱にもなっている。
面白いか、面白くないかで言えば、僕は面白かった。
もうちょっと長編でも良かったような気がするけど
まあ文学賞対象作品だから、あんなものかな。
主人公の今後を書いた続編を読みたい気もする。
あれを映画化するのかと思うと、興味あるね。
どこまで演出するんだろうか?
上辺だけでお茶を濁すようなものなら興醒めだね。
やるなら原作以上に踏み込んで欲しい。
キャストに興味あったんだけど、なるほどって感じ。
主人公とヒロインにこれからの若手を起用したのも頷けるし
重要な役どころに田中裕子っていうのが
もの凄くイメージと嵌ってていいね。
この役に、この人以上の女優さんは、思い浮かばない。
最も大変なのはヒロイン役の女優さんだけど
この役をやりきれば、かなりの評価は得られるはず。
それだけ大変な役どころなんだけど。
ほぼ無名の新人を持ってきたのは、頷ける。
既に人気も評価もある女優さんは、受けないだろうね。
基本的に性と暴力の作品だから。
大変だけど頑張って欲しい。
いい映画になりそうだけど、興行的にはどうかな?
映画賞向きにはなりそうだけど。
まあ楽しみだね。
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