Ⅳ号戦車の造形がひとまず終了しました。これから細かな手直しの後、着色作業に入ります。
完成した作品は、現在受け付けている秋葉原イエロー・サブマリンの1/35戦車模型コンテスト
に出品する予定です。
http://www.yellowsubmarine.co.jp/event/event045_35con.htm
●Ⅳ号K型 プラモデル (1/35)
1/35スケールでは、細部を作りこむことによって重厚なディテールの表現ができる事
が確認できます。 他のモデルから流用する予定だったパーツをスクラッチすることになり
意外と時間がかかりましたが、ディテールの勉強にとても役立ちました。
砲塔上の近接防御兵器はスジ彫りのみの表現でもよかったのですが、楕円の表現に
自信がなかったので、実物通りのバレルに相当する穴をピンバイスで開け、スペーサーを
プラ棒で作って挿入してあります。
砲塔・主砲・ガンポートは可動しますが、ハッチの類は閉鎖固定としました。今回は
兵士のフィギュアーや車内ディテールを省略することを事前に決めていたからです。
砲塔のシュルツェンは装甲強化の結果必要なくなったと解釈して着けませんでした。
軽量化の必要もあると感じたので、無理に付けず、砲塔の形を見せようと考えたのです。
車体の改造は前部に集中していますが、砲塔はほぼ全面に手が入っています。砲塔の
改造は75mmL70を表現していますが、俯角に制限を受ける他、砲塔リングの重量制限の
キャパシティーが不明なため、L48のままの案も考えてあります。その場合、以前のⅣ号
に近い外形になることでしょう。
紙の上で考えていた時点では立体的にわかりにくかったため、モデリングの時点で
変更をする必要を感じた部分がいくつかあります。
主砲、防盾形状や、砲塔右側の雑具箱の追加等です。砲塔のバッスル内には車長と
砲弾が入っていて、紙の上でデザインを考えている時は、キューポラと左右のバランスが
取れると考えていました。しかし、立体にしてみると不自然に見えたので、雑具箱を追加
しました。
雑具箱には蝶番と錠をつけて、ただの箱に見えないようにします。これは増加装甲の役割
も果たし、内側の砲弾の防御にも役立つはずです。
溶接跡、金属メッシュの使用は今回始めて挑戦しました。両方ともやってみると意外と
効果的で根気さえあれば楽しんで作業できます。
他、数ミリほどの小さなパーツも巨大感の演出には効果的です。
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Ⅳ号戦車の改造は本家ドイツでも計画されていました。その理由が意外とタイトな
生産上の理由によるらしいとわかりました。
それによると、Ⅳ号の次期主力戦車であるパンターの生産が思ったほど順調に行かず、
またⅣ号の工場をパンターの生産に転換する余裕もなかったために、Ⅳ号の小改造で
しのげないか模索していたようです。
Ⅳ号の生産が短期間でも停止すると、戦線が戦車不足で崩壊する危険性があったために
きわめて小規模の改造すらできなかったらしく、それは車体前部の形状変更を断念するほど
深刻な物だったようです。
したがって、今回のⅣ号K型のプランも実現する可能性があったかどうか疑わしいと言えます。
車体前部の改造なら充分省力化されているので現実性はありますが、そこはH型のままでも
充分であったはずで、やはり砲塔前面装甲の増強案の別案が必要でしょう。
Ⅳ号戦車のドイツによる改造案については大日本絵画から出版されている独モーターブーフ社
の分厚い本に紹介されているそうですが、あのシリーズは高額なので僕は重駆逐戦車の巻しか
所有していません(しかも古本)。一度手にとって見てみたいものです。