工房 十一椿(toi tsubaki)

久留米絣や 大島紬など 着物を使って洋服やバッグなどの製作・販売を行っています。

シルクツィードでマオカラージャケット

2020年10月08日 | 二っと・化繊etc~~洋服

シルクツィードの洋服から

マオカラージャケットをお作りしました。

 

 

 

襟は シンプルにマオカラー。

 

 

生地の織が甘いので 生地が解れやすい・・。

なので ボタンホールを開けるのは・・危険っということで

共布ループと 共布クルミ釦をお付けしました。

 

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糸が太くて生地の織が甘い生地の場合は

縫い目も縫い代も解れやすいので

テープ状の接着芯を 縫い目に沿って貼っておきます。

縫い目の目張りや型崩れを防ぐことができます。

裂き織の生地で洋服を作る際も

縫い目に接着芯を貼ってお仕立てします。

 

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前シーム切り替えで ポケット。

 

 

脇より ちょっと前にポケット口があります。

 

袖は、肘隠れる七分袖

 

 

 

後ろは・・

 

 

こんな感じ。

 

見頃のみ裏付き

 

 

裏地は

地元の洋装品店に 紺・黒・白・・の定番しか

取り扱いがなかったので

ネットで取り寄せました。

 

”夏裏”で検索すると 数件ヒット!

その中で 東京の手芸屋さんに 注文。

ですが・・翌日、在庫切れの連絡。

あぁ・・どこも今 裏地ってないのね・・

でも・・諦めるわけにはいかずっ

またまた しつこく ネット検索を繰り返し

大阪の手芸屋さんから 

このきれいなグリーンの裏地を無事に

取り寄せることができました・・。

ほんとに・・

毎度 裏地を探すのに

四苦八苦しております・・。

 

 

 

夏裏なので 薄くさらさらして気持ちよさそう。

 

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夏の洋服に 見頃のみ裏をつけるときは・・・

”ふらし仕立て”がお勧めです。

通常、冬ジャケットは 裏地の裾を見頃に縫い付けますが

夏は この裏地を ”ふらし”で別仕立てにしておくと

背中に風が通り

非常に涼しいですよ。

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そして、このシルクツィード。

もともとは ショールカラーのジャケットだったようで

自粛期間中にお客様が 家で解いて

平生地の状態でお預かりしました。

 

昔のオーダー・注文服だったので・・

 

 

襟を・・ちらりっとめくると

 

 

裏衿は 毛芯の”はざし”仕立てです。

これは ショールカラーなので 一方方向の はざし ですが

テーラーの上衿の場合 

襟こしや 衿先などは 角度を変えて はざし をします。

襟の形によっては くせとりをしながら はざし をすることもあります。

 

そうすることで 

襟の形の補強になったり

襟の折り返りのふっくら感が決まります。

 

他にも・・オーダーならではの部分が・・これ

 

 

縫い代の端の始末は 裏地でパイピング始末をします。

 

他にも 見返しの毛芯仕立てや 玉縁ボタンホールなど

オーダー服ならではの技術が満載!でしたが

解いた状態でのお預かりでしたので

それは・・またの機会にご紹介します。

 

久しぶりに手にしたオーダー服。

オーダーの修業に入った頃

誰も教えてくれない技術の数々は

この”お直し”から学びました。

諸先輩方が仕立てた服を 裏返して見られるまたとない機会。

お直し==教科書と言っても過言ではないくらい。

 

・・ですが

最近は、オーダー服のお直し依頼も少なくなりましたね。

オーダー服全盛期だった頃のお客様たちは

皆さん・・80歳代。

たぶん・・お直しするより 断捨離かな・・。

 

 

玉縁も はざし も パイピング始末も

そして・・裏地付けも

この先

必要のない技術といえば・・必要ない・・。

 

3Dで採寸して 

コンピューターでミシンを動かし 

オーダー服が出来上がる時代。

 

50年もしないうちに

ドラえもんの世界が本当になるというし。

・・縫い目のない服も時間の問題か。。(苦笑)

 

新しい技術に

昔の小技?をプラスして

より良い "服"にすることができたら

これにこしたことはない。

 

 

なにかの参考にしていただければ幸いです。

 

 

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