木彫り大作、作業大詰め 3月に札幌で展示のシマフクロウ(守り神) 平取町の貝沢さん
木づちで慎重にのみを打ち、作品作りに没頭する貝沢徹さん
【平取】町二風谷の工芸作家貝沢徹さん(60)がアイヌ民族の守り神であるシマフクロウの木彫りの大作に取り組んでいる。札幌市が2019年3月、市営地下鉄南北線さっぽろ駅構内の歩行空間に展示するオブジェだ。貝沢さんは「多くの人に親しまれる作品に仕上げたい」と日々、木づちでのみを打っている。
白老町の民族共生象徴空間の20年開業をアピールする「アイヌ文化を発信する空間」に設けられ、同空間では最大のオブジェとなる。貝沢さんは英国の大英博物館に作品を出品するなど高い技術に定評があり、札幌市から今春に制作を依頼された。
作品はアイヌ民族の守り神シマフクロウが空に飛び立つ姿で、高さは2メートル40センチ、左右の翼を胴体に合わせると、両翼は4メートル超となる。原木は平取を流れる沙流川にあった埋もれ木で「いつか大作を制作するために保管していた」という。
貝沢さんにとってこれほど大きな作品は初めて。胆振東部地震で工房内の作品も倒壊する被害を受けたが、原木を立てずに作業をしていたため、シマフクロウ像の倒壊は免れた。「立てていたら倒れて割れ、やり直しだった」と話し、守り神に救われたことに感謝している。
多くの作品の依頼を抱えて多忙な日程の作業が続く中、「顔の表情で作品の印象はがらりと変わる」として慎重に彫り進めている。来年2月までに完成させる予定だ。
貝沢さんは「1本の木なので失敗が許されず緊張するが、徐々に姿を現すフクロウを見るのは楽しみ。多くの人に作品に触れてもらい、木のぬくもりを感じてほしい」と話している。(升田一憲)
2018/12/10 どうしん電子版
「十勝の活性化を考える会」会長