北海道 十勝の深掘り
全国の読者の皆様に、「北海道十勝ってどんなところ?」の疑問に深掘りしてお伝えしてまいります。
十勝の開拓史個人で出版
北海道新聞 2021年5月22日 道東
芽室の加藤さん「入植者の汗と涙知って」
【芽室】町在住の加藤公夫さん(74)が、十勝開拓の歴史をまとめた「十勝開拓史 年表」(北海道出版企画センター)を出版した。752ページ、全7章の大作。
個人が出版するのは珍しいという。加藤さんは「昔から十勝の開拓史に興味かあった。自分が読みたいから書いた」と控えめに話す。(三島今日子)
開拓期を中心に、約12万年前の「後期更新世」から現在まで、年月の順を追って記載。江戸時代の十勝、網走のアイヌ民族による利別川漁猟権をめぐる対立や、農作物に大きな被害を与えた明治時代のトノサマバッタの襲来などが書かれている。
加藤さんは同町出身。帯広畜産大学別科を修了後、道庁に入り、開拓営農指導員や農業改良普及員として38年間勤務した。
加藤さんの祖父母は1897年(明治30年)、愛知県から開拓農家として芽室町へ入植。幼い頃はよく、祖父母から入植当時の苦労話を聞いていたという。一昨年の夏、十勝全域の開拓史を1冊にまとめた史料が少ないことに気づき「自分で書こう」と決意。自宅にそろえた千冊を超える史料を参考に、約10ヵ月かけて執筆した。
加藤さんはこれまで、韓国の農村地帯を旅した「韓国ひとり旅」(連合出版)など計15冊の著書を発表。妻憲子さん(70)が校正などの作業を手伝いながら、約40年間、休むことなく執筆活動を続けてきた。長時間に及ぶ執筆作業がたたり、加藤さんは現在車いすで生活する。憲子さんは「それでも朝から晩まで机に向かっているんですよ」と、笑いながらも陰から支える。加藤さんは「十勝の農業がここまで大発展を遂げたのは、入植者の汗と涙の努力によるものだと知ってほしい」と話している。
A5判、6930円。喜久屋書店帯広店(長崎屋帯広店内)など管内の主要書店で販売している。
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