十勝の活性化を考える会

     
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十勝の活性化について思うこと

2019-03-23 10:10:17 | 投稿

十勝の活性化について思うこと

 

札幌市在住 福井孝志 68

 

「十勝の活性化」について少し考えてみました。私は芽室町出身で、実家は畑作農家をしていました。北大、北大大学院を経て電電公社の研究所に16年勤めたあと、北大で職を得て2年前に退職しました。専門はエレクトロニクス分野で、スマホにも関連しています。

さて、十勝は地理的にみると山と海に隔てられた独立国家の様相を呈しています。埼玉県入間市に住み、研究所時代に東京都武蔵野市に通っていたのとは大違いで、十勝は周りとの境界がはっきりしています。

東京依存の強い埼玉県の活性化を議論してもあまり意味がありませんが、十勝については独自の経済圏が成り立ちやすく、表記の議論は可能かと思います。

 

[食料とエネルギー]

かつて、人間が生きていくための必須アイテムは「衣食住」と言われましたが、今はむしろ「食料」と「エネルギー」が重要項目でないかと思います。現に食料の半分と原油などのエネルギーの大半は、海外に依存しています。そして十勝の食に関しては、多くの人に議論されているので、ここでは私の専門に近いエネルギーの話を簡単に述べます。

自動車がガソリンから電気に変わっていくなど、今後エネルギーと言えば、電気エネルギーがますます重要な要素になっていきます。発電に関しては、東日本大震災の時の原発事故により国民的議論が沸騰しましたが、ここでは視点を変えて自然の再生可能エネルギーに着目してみます。

十勝の食料自給率は良く議論されますが、エネルギーの自給率の議論は、あまりありません。ところが道内でも、例えば稚内市は、早くから大規模な太陽光発電施設と風力発電施設が設置され、「電力自給率が100%を超えている」ことを売りにしています。

 

太陽光発電には、年平均の日照時間が重要ですが、十勝は、道内の中で比較しても日照時間が長く条件は整っていると思います。勇払原野に大規模発電が出来ていますが、十勝でも広大な土地があり、適地かと思います。

人口の集中により、帯広界隈に多くの産業が集積し、その周りの十勝平野が食料基地となっている状況ですので、さらにその外部の広大な土地に発電施設があるという、ドーナツ型の構想が考えられます。

また、風力発電については、沿岸部になるかと思います。風力発電のメッカの苫前町、小平町などの日本海側は、比較的に風が安定しているようですが、えりも町など強風が吹く太平洋側も、風力発電に適地かもしれません。

 

[人口問題]

十勝の活性化を議論するうえで、人口の問題も重要です。ただ、日本の人口減少は全国的な規模であり、議論の糸口がつかめません。         十勝の場合、社会インフラの効率的な運用を考えると、この動きはなかなか止められません。

特に、帯広から距離の離れた周辺町村の人口減少が深刻かと思います。こういった地域では、食料生産中心から、休耕地、遊休地を有効利用したエネルギー生産へのシフトという選択肢があります。太陽光発電が経済的に成り立つか、エネルギー生産は雇用を生まないなどのいくつかの問題がありますが・・・。

 

東日本大震災直後における法外な太陽光発電の買取価格に端を発した「太陽電池ブーム」も去り、少し落ち着いてきました。従って、これからは長期的視野に立って、エネルギー自給の観点から、もう一度、この問題を考えてみてはいかがでしょうか。中国が太陽光パネルの過剰生産で価格が大幅に下がっていますし、風力発電も中国メーカーが低価格化に成功して、中国国内で爆発的に伸びているなど、投資環境は、「追い風」の状況です。

一方、原子力発電だけでなく主力の火力発電も、化石燃料を燃やすことで、昨今の大規模な水害など地球温暖化をもたらす原因ともなり、今後ますます燃やすのが難しくなります。

詳細な議論は割愛しますが、十勝の活性化に取って自然エネルギーの活用が役立つことを期待します。

 

[十勝の未来志向]

最後に、活性化という言葉に「未来志向」という意味が含まれているかと思いますので、夢のある提案をひとつ。

どうしても人を増やしたいとなると、企業誘致などにより働く場を増やすことが求められます。一方で、AIやロボットの進化で、消滅してゆく職業もたくさんあるといわれています。

そんな中で地方活性化の一助となる『サテライトオフィス』が注目されています。インターネット環境が急速に整備されたことで、首都圏の本社で働くより、自然環境、住環境に優れた地方の中核都市にサテライトオフィスを作り、豊かな生活を送りながら働いてもらおうという流れです。

業種は、ソフト開発、回路設計、IT技術開発、ゲームソフトなどベンチャー企業を中心に、いずれも先端的な産業で、しかも当面はAIではなく「人海戦術」に頼らなければならない業種です。

徳島県では、既にいくつかの企業を呼び込むなど、ある程度成功しているようです。これには、行政も巻き込んだ環境整備が必要ですが、小規模ながら比較的若い先端的な企業群が整う可能性もあり魅力的だと思いますが、如何でしょうか。 

       以上 


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