ある日を境に、つくつくぼうしが鳴き始めた。
そして振り返ると、夏はもう足早に過ぎ去ろうとしている。
毎年のことだが、この一抹の寂しさは、なんともやるせない。
ずいぶん今夏は、瓶ヶ森へ通った。
通っても通っても、結局は、掌からすり抜けるように季節の粒だった結晶は零れ落ちてゆく。
何を求めて、この場所に何度も足を運ぶのか判らなくなってくる。
確かに、涼しいんだけどね。
先日の新聞に「逝きし世の面影」の渡辺京二氏のインタヴュー記事が載っていた。
「日本に貧乏人はいるが貧困は存在しない」という明治初期に日本に招かれた動物学者モースの印象。
近代化以降、すべてを商品化した高度資本主義社会は、私たちが本来持っていた共同体を、ことごとく壊してしまった。
「お金を払えば済むわけですから便利ですよね。
だけど人間はバラバラになってしまう。
資本主義は一人一人を徹底的に切り離して消費者にする。
その方が、人はお金を使いますから。
生きる上でのあらゆる必要を商品化し、依存させ、巨大なシステムに成長してきたのです」
山に持っていった宮本常一の「忘れられた日本人」にも、
近代化以前のおおらかに逞しく日々の暮らしを楽しんでいた農村の人々の姿があった。
ちょうどシラサ峠辺りから白猪谷や寺川周辺の往還路の件(くだり)を読みえ終えた。
そして翌朝は、峠道を下り白猪谷から吉野川源流を遡行。
あの源流域の森の緑を映すモニュメントまで。
そして森の主のような桂の巨木も迎えてくれる。
ずいぶん道が荒れている。
土砂崩れや木の桟橋が抜け落ちたり。
それでも気持ちの好い源流域の原生林を辿る行程は、御来光の滝への遡上ルートの短縮版か?
濡れた岩に足を滑らせ転倒3回。水へのドボン3回でした。
それも夏は気持ちいい(笑)
その日は午後から積乱雲が発達して、山は黒い影に覆われた。
雨が降る前に、瓶ヶ森のテン場に帰還できた。
どーん稲光が走り、強い雨音が天幕を打つ。
ひとしきり降り続けた雨は、夕方に上がった。
雨上がりの空に虹が架かる。
思い描いた朝の虹とは違っていたが、
これも通い続けた者に対する瓶の神様からの贈り物。
贈与(ギフト)は、人が境界を超えて交流する経済の基本(笑)
近年、石鎚山系にも鹿が進出してきた。
私も堂ヶ森で2頭目撃し伊吹山では鳴き声を聴いている。
やっと重い腰を愛媛県も上げたようだ。
下記のように瓶ヶ森にて鹿の生態調査を始めたようだ。
ちょうどネット設置している時に通りがかり、自然保護課の職員さんと話ができた。
私は以前から言っているように、これを「鹿の食害」とは捉えていない。
それは人により棲息地を追われた野生動物が辿った当然の結果だから。
(特に大型哺乳類は、人との軋轢が発生しやすいので深刻だ)
それを「食害」と捉えるのは、人間の自分勝手なエゴだと思いませんか?
そして私が見たかったものを全てみせてくれましたね
この虹は天狗高原でも出ています
改めて仕事を持つ我が身に溜息・・・・
今日は雨の横倉でした
降りやみには霧が沸き立ち真下に雲海を望みながら
カメラは殆どリュックの中・・・・
歩行を合わせて進む薄日さす登山道は神からの正に贈り物
「熊野古道みたいだね」と呟きました
そうですか…雲間からの神々しい風景と出会えましたか。
梅雨の合間の横倉山では、misaさんのお師匠さんにお世話になりました。
あの痩身のお体は、末期の癌とは。
私たちの人を想う真情は、真っ直ぐでありたいと思います。
すべてをお金という価値に置き換える便利で快適な世の中だからこそ。
どうかお師匠さんを支えて上げてください。
人に対する無償の善意は、そのまま自身の心映えとなりますよ(笑)
行く夏の瓶ヶ森の様子が目に焼き付きました。
沢の情景もすばらしい。
「足を取られる」、思わず笑ってしまいました。(^_^;)
澄んだ水、道の傷み、このままの状態でほっておいてもらいたいと、一方の自分が言っています。
さて、いつになったら行く頃ができるのか?
本当に大事に至らなくてホッとしました。
私たちはお互いに頭で考えているほど、身体はついて行ってくれません(苦笑)
ねぇ、足をとられて沢で水浴びしてきました。
面河本谷から石鎚南面の沢遡行を何度も辿った鬼城さんとしては、
愛大山岳部時代の沢ヤの血が騒ぎますよね(笑)
そうですね。
過剰に人の手が入るよりも、このまま自然な状態に戻ることが良いかもしれません。
またブログ記事に加筆しました。
瓶ヶ森で始まった「ニホンシカの生態調査」の携帯撮影による画像を張りつけ、
私なりの私見を付け加えました。
一方的な人間側の価値観の押しつけには、常々疑問を抱いていました。
本当に、今年の夏は、よく会いましたね。
貴重な情報を沢山いただき感謝しています。
あの新種、シコクハコネサンショウウオにも会いたいです。
というか、以前から石鎚山系に棲息していたハコネサンショウウオが四国固有種として認定されただけですよね(笑)
イシヅチサンショウウオもオオダイガハラサンショウウオだし、何処が違うの?
という疑問が、未だ消えません。
そう、松木先生の云うような、瓶ヶ森周辺のシラベ説にもイマイチ納得がゆきません。
なかなか最初にレクチャーを受けたシコクシラベ、石鎚山頂周辺(二の森周辺)と剣山周辺だけの隔離分布説が頭に刷り込まれています(汗)
それにしてもBさんは、よく学習されている。
その頭の柔軟さは尊敬します。
また、お山で新しい刺激的な情報をお聞きするのを楽しみにしています。