
話が前後する。
お彼岸の墓参と映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を同じ時系列で語る矛盾を許してもらいたい。
私には、どちらも同じ痛みをともなう風景だから。
秋晴れの、その日、迎えに来てくれたほっほさんの車に乗って南へと向かった。
こうして彼と車を走らせるのは、おそらく20代の帰郷以来じゃないだろうか?
あの頃も車内には音楽があった…何を聴いていただろう?記憶が定かでない。
今日はRy Cooderのライブアルバム「Show Time」が流れる。
すごく気持ちがリラックスしてゆく。
ほっほさんの何気ない心配り(こころくばり)がありがたい。
車は秋の気配が漂い始めた山間の高速道からトンネルを抜け、燦々と光溢れる南の海へ。
「今日はロード・ムーヴィを撮ろう」
かなりピンボケな二人の旅は、ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」かもしれない(笑)
さて話は、いきなりすっ飛ぶ。
映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観た。
2000年公開のデンマーク映画。
あのアイスランドの歌姫、ビョークが出演して話題になった問題作。
カンヌ、パルム・ドール(最高賞)という冠があるが、とにかく好悪の評価が極端に分かれる。
そして、この映画は、ミュージカル映画の側面を持つ。
いつも夢見がちな主人公が、現実の過酷さから、ふっと気持ちをそらす場面がミュージカル構成となる。
圧巻なのは、遺伝的失明を受け入れる鉄橋における列車のシーン。
決して美声とは云えないが、ビョークの魂を震わす歌声は圧倒的だ。
痛々しいまでに心の痛みに共振する。
そして独房で、かすかに聴こえる讃美歌に耳を傾けた後、静かに歌い始める「マイ・フェッバリット・シングス」
私は、この二つのシーンを観ただけで、もう充分だ。
どんなに悲惨な結末に、そして心を引き裂かれるような衝撃に「あぁ~」と悲痛な声を上げたとしても。
私は、この映画の痛々しい魂の歌声に、そっと心を通わすことができた。
あのフランスのミュージカル映画「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーブが出ている。
あいかわらず綺麗だ。
それに「グラン・ブルー」のジャン・マルク・バールも出ていたな(懐かしい)
そして撮影が、あのヴェンダースの「さすらい」や「パリ・テキサス」のロビン・ミューラー。
揺れる手持ちカメラの映像が、不安な情緒を煽るようだ。
さて、この暗い映画も、ほっほさんの推薦でした(笑)
本質的に私たちはダークサイドなものに弱いよねぇ…
さて、午前中に墓参りを済ませ、宇和島でkyoichさんと合流する。
今日は、ほっほさん、私、kyoichさんに鬼城さんとネット仲間のオフ会の様相。
先に昼食を食べようという提案で、天赦園のレストランへ。
広い窓から庭園を見渡せる。
ここでも、ほっほさんの用意したサプライズ?にkyoichさんも感激。
う~ん、この人の心許した人に対する掛け値なしの善意には、いつも驚かされる。
さぁ、待望の伊達博物館、秋の特別展。
井伊彦根藩と伊達宇和島藩にまつわる「縁」の物語が、館長の鬼城さんの口述で始まる。
「私は歴史のプロでないから、学芸員のように検証された事実ばかりを語らない」と前置きした後、
流暢な語り口で、大きな時間の流れの歴史絵巻を私たちの目前で紐解いてくれる。
これは、本当に面白い。
事実、館内をひと巡りする頃には、私たちばかりでなく一般観覧者を巻き込んでの(質問があいつぐ)
館内巡回となった(笑)
その後も別室での楽しい歓談の時間は、あっという間に過ぎてしまった。
色んな意味で「縁」(えにし)にまつわる不思議な話は尽きることがなかった。
この後の展開にも期待しましょう(笑)
伊達博物館を辞して、私たち二人は帰路へ。
秋彼岸の南へのオン・ザ・ロード。
亡くした父母に対する痛みは、未だ消えないが、
温かい余韻を残した二人旅でした。
今回の写真はモノトーンですね。過去を映し出すには最高の技法かと・・・
至極の時間の共有、Kyo-chan 共々感動しました。次回は?ほっほさんには本まで送っていただいて恐縮しています。まだまだ、この先おつきあいよろしくお願いします。
おそらく、ホッホさんから彼女に伝言を伝えていただいたのだろうと思います。
ありがとうございました。
ゆっくり、彼女と話すことができましたし携帯番号もGetできました。
郷愁を誘うモノクロです。
う~ん、こういう郷愁の風景を撮らせたら大林宣彦は上手いですねぇ。
あの宮崎あおいが子役で出ています。
秋の特別展のご案内ありがとうございました。
来季の仙台伊達本家、正宗のダースベーダー甲冑楽しみです。
ほっほさん、気配りの人でしょう(笑)
ずいぶん腰の具合も良さそうなので安心しました。
近しい人の死は、貴公子さんがいつも言っているように
時の経過を待つしかないのかもしれませんね。
共に過ごした時間を愛おしむ秋ですね…
その変わり、ほっほさんが取り持った、もうひとつの郷愁の風景が甦りましたね(笑)
ほっほは、こんな映画も観てます。
シンドラーのリスト
ルワンダの涙
ゆきゆきて、神軍
アレックス
ドッグヴィル
筆舌につくし難い。今流行りの表現で言うと死ぬまでに観ておきたい?映画ばかりです。
必要な商品を買物かごにお入れてください。
村上春樹の「約束された場所で」僕らの世界というものの構造をごく本能的に、(チャイニーズ・ボックス(入れ子)のようなものとして捉えていると思うんです。箱の中に箱があって、またその箱の中に箱があって・・・というやつですね」
仕事で、あした幸福が入った箱へ行きます。
ほっほさんのリストに並んだ映画は「ゆきゆきて神軍」以外は観ていません。
90年代半ばから現在に至る映画は、ほとんど観ていないからです。
この15年くらいは、まったく映画への関心が欠落していました。
それを取り戻すかのように、今はレンタルビデオ屋さんに通っています(笑)
ざっと検索すると、ほっほさん好みの映画ばかりですね。
「ドッグヴィル」は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアー監督作品。
そして「アレックス」は辛そう…
私には耐えられないかもしれない。
どれも人間の本質的な部分に迫る映画ですが、
基本的に私は、リアリズムは苦手だ。
人の魂を揺さぶることと、真実を追求することは、決して同義ではない。
また後半の文章が、ほっほさんの謎かけですね(笑)
ある種のひらめきから、S・キングの「グリーン・マイル」を観ました。
この映画も評判の高い映画でしたが、99年公開映画なので観ていませんでした。
ラース・フォン・トリアー監督、あきらかに「グリーン・マイル」の
影響の下に「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を作っているようです。
題材は冤罪でありながら、あえて死刑の執行を受け入れる話。
最後の刑の執行の際、目隠しの黒い頭巾を「暗闇はいやだ」と声を荒げ拒否するところも同じ。
それだけではない。
劇中で観る旧いミュージカル映画が、フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャースの
「トップ・ハット」であるところも一緒。
(このキーワードがきっかけ)
それに準主役であるディビット・モースを起用している。
だから何んだ?と言われても困るが(笑)
評判の高かった「グリーン・マイル」からは、ほとんど何の感興も得られなかった。
この映画で泣けるか?
2つの映画の、あきらかな違いは、ビョークの存在。
挿入歌「I've seen it all」のレディオ・ヘッドのトム・ヨークとの
デュエットを聴いた。
う~ん、絶句。