Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

桜旅

2015-04-01 | 自転車

 

入り江を見下ろす小高い丘の上に、一本の山桜の樹があった。

樹全体が、しなるような満開の花姿は艶やか。

望月の宵、はらはらと散る桜樹の下、

花明りに眠れれば。

 

 

 

 

春の夜の浅き夢見し。

春眠の続きは、あの桜樹の下で。

桜の季節になると、入り江の山桜を想い出す。

もうあれは十数年くらい前の話。

四国南西部の岬を巡る旅は、

何処か道迷いを愉しむような風情があった。

傾きかけた陽射しに浮かび上がる丘の上の桜樹は一際目を惹いた。

集落の外れから蜜柑山の作業道がうねうねと続く。

それは、どうやって辿り着いたのか?

記憶の経路が曖昧として、

夢の浮橋を渡った、その先に…

こんもり美しい樹形の満開の桜花は、見事だった。

はらはらと舞い散る花片。

入り江を見下ろす丘の上で、陶然と時を過ごした。

 

春の夢、シャングリラは、追えば遠ざかる蜃気楼のようなもの。

今回も丘の上の山桜に辿り着けなかった。

桜前線は、水郷、大洲から南が見頃。

松山から海沿いに続く桜並木は、まだ五分咲きくらい。

野福峠、法華津峠そして岬巡りの末に辿り着いた吉田町は、街全体が花盛り。

雨男の自転車旅は、またしてもあえなく撤退。

二三日続く安定した晴天の予報が、わずか一日半しか持たない。

夕闇せまる長い海岸道路、ペダルを漕ぐ足取りも重い小糠雨の帰路でした。

また身体を鍛え直さなければ。

 


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4 コメント

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桜は山桜 (ランスケ)
2015-04-02 22:59:51
松ぼっくりさん、今晩は。

なんだか外は強い風が吹いています。
やっと満開になった桜なのに、花散らしの風と雨になりそうです。
今年の桜は短命で終わりそうですね。

私は数ある桜の中でも、山桜が一番好きです。
吉野山に代表されるように、
山桜は桜色の諧調が、とても豊かです。
花と一緒に彩る琥珀色から赤茶の若葉の色が、とても上品。
これに萌黄の色も加わり、山肌が豊かな彩に染められます。
ソメイヨシノの単調な色彩とは好対照です。

四国南西部の海岸線は、この時期、見事な山桜の色に染まります。
誰かが、「由良半島は桜色が雪崩れ打つようだ」と云っていました。

松ぼっくりさん、さすがです。
しっかり旬の風景を見逃しませんね(笑)
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雨男、めげないで。 (松ぼっくり)
2015-04-02 19:38:32
山桜は遠目で見るだけしたが、こんなに美しく切り取れるのですね。二枚目の写真、淡くて素敵です。
週末、船に乗る為に八幡浜に行きましたが、南予は、もう満開で、ビックリいたしました。
船から、段々畑と、風車を眺めていましたが、山の天辺まで、うねうねと道をつけて、耕した苦労はどんなものだったでしょう。
私には縁遠いランスケさんの自転車旅、どんな美しい景色と、どんな文章で綴られるか、ワクワクします。
返信する
野福峠の夜 (ランスケ)
2015-04-02 09:05:35
せっかく鬼城さんのブログから由良半島、山桜開花情報を入手していたのに、
辿り着けませんでした。残念。

帰郷して間もない頃、何度か南予の山桜を訪ねて旅しました。
その時に観た桃源郷のような風景が忘れられません。
道に迷い、何処か離人症的境地で辿り着いた華やかな桜風景は格別です。

以前、南予の春を浄土のような風景と表現しました。
法華津峠、野福峠、その地名や穏やかな入り江の風景は祝福に満ちています。

今回、野福峠の海を見下ろす桜の樹の下で野営しました。
日が暮れると、一晩中、フクロウの声を聴きながら。
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山桜 (鬼城)
2015-04-02 07:37:25
染井吉野と比べ、華やかさに欠けるけれど、山に咲くこの風情はたまらない。
南予地方の岬は今、満開!
自転車の旅、すごい切り取りですね。
大洲城でしょうか?
川城の良さが十分に出ています。
限界集落化している南予、この自然だけは残したいですね。
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