霧の彼方へ
2018-06-17 | 森
雨上がりの森へ入った。
森は終日、深い霧が垂れ込めていた。
平地が晴天でも皿ヶ嶺の標高1000m以上に広がる夏緑樹の森は霧に覆われていることが多い。
海から偏西風に乗って流れてくる雲が、ちょうど標高1270mの皿ヶ嶺稜線にかかることになる。
だから、この森は冬の霧氷発生頻度が高い。
そして湿潤な森は、多様な植生と豊かな水の恵みを麓の里にもたらす。
山上湿原、竜神平には水の神、竜神の祠(2番目の画像)が祀られている。
麓の見晴のいい棚田風景(最後の画像2枚)も行き帰りの楽しみだ。
霧の森歩きが好きだ。
万緑の森が乳白色の細かい水の粒子に覆われて、葉先から緑が滲みだすような透明水彩の世界。
距離感を失った境界の曖昧な空間。
そのまま迷宮を彷徨い、異界へ迷い込みそうな足元のあやふやさ…
昔から深い霧は、神仙世界への鳥羽口なのだ(笑)
雨季の湿潤な森は、細かな粉糠雨や霧の世界が絵になる。
山水の滲んだ淡彩世界を堪能した。
帰路、中腹の登山道脇にささゆりが咲いていた。
山上のささゆりは、まだ緑の固い蕾だったが、今年の花暦は全体に早めだ。
さぁ~てと、後2週間くらいで山上の森にささゆりの清楚な花が咲き始めるだろうか?
乳白色の世界、堪能させていただきました
先日の森は大失敗、ピーカンでは作品は生まれない・・・
当たり前です(笑)
森には神々が宿る、原始時代からの言い伝えが伝わってきます。
そのために山々には名前が付けられているんですね。
最近になって名前の由来に興味が湧いています。
一年経ちましたね。
笹ユリの季節・・・
今年は大野ヶ原に行く予定にしています。来週辺りかな?
霧が演出する空間は魅力的です。
misaさんの評価する3番目の画像は、私の得意とする日本画的意匠ですね。
こういう山水の風景には長い歴史の中で意匠を凝らしてきた、
この国の風土に根差した美術工芸の洗練に学ぶべきだと思います。
今回は一番目の雨上がりの水溜りに映る樹影に目が惹きつけられました。
なんとか工夫して仕上げたのが、この画像です。
そして2番目の水の神、竜神の祠は、いつか絵にしたと思っていた素材です。
深い霧に沈む竜神の祠を囲む疎林の佇まいに、「これだ」とシャッターを切りました。
今までにない素材の発見ということでは、手応えのある風景でした。
本当は雨上がりの霧の森に射す光芒狙いでした。
残念。下山した17時以降なら撮れたかもしれません(笑)
登山口には結界となる鳥居などを立てて、
ここから先が非日常の空間であることを示唆したのだと思います。
梨木香歩の家守奇譚の描く世界ですね(笑)
以前にも書きましたが、こういう人の暮らしと自然崇拝が地続きだった精神風土を
そのまま写真で現わしたいのだと思います。
週末は八ツ塚周辺の田圃にも水が入り、
四国88箇所発生の聖地の夕映えを撮影しました。
なんとか今週中にアップ予定です。
いよいよささゆりの季節到来。
大野ヶ原、楽しみですね。