○母&母系解説(Family Story)
近親にG1・6勝アグネスデジタル、屈指の名門母系に新たに栄光を
世界的名種牡馬キングマンボ産駒である母ビジュアルショックは、米生まれ。 外国産馬として日本で走り、13戦未勝利に終わりましたが、500万条件の小野川湖特別で3着に入るなど、力のあるところは示しました。 繁殖牝馬となり、初仔として出産した牝駒が、父に3冠馬にして首位種牡馬である名馬中の名馬ディープインパクトを得たビジュアルショック13。 父ディープインパクト×母父キングマンボという配合から誕生した競走馬には、G1エリザベス女王杯で3着したピクシープリンセスらが出ていますが、ビジュアルショック13には、この組み合わせ最大の成功馬となるような、スケールの大きな走りが期待されています。 ビジュアルショック13の曽祖母チャンシースクウォーは、日本競馬と所縁の深い名繁殖馬。その産駒には、G1天皇賞・秋、G1安田記念、G1フェブラリーS、G1香港Cなど幅広い大レースを制し、最優秀古牡馬にも選出されたアグネスデジタル、G3京成杯勝ちのジャリスコライト、G3毎日杯2着のシェルゲームらがいます。 このほかにも、母系からは、英G2ロイヤルロッジS馬ロイヤルキングダム、大物産駒を数多く送り出した名種牡馬ブラッシンググルームら多様な才能の持ち主が登場しています。 この一族の血を受けたビジュアルショック13には、固定観念に捉われない、規格外の活躍を望みたいところです。 |
○配合診断
2月の東京で新馬勝ちを決めたレッドソレイユの姪で、父は同じディープインパクトですから3/4同血の間柄ということになります。 2代母リーチフォーザムーンはアグネスデジタルの半妹にあたり、A.P.IndyとChief's Crownを通じるSecretariat≒Sir Gaylord 4・6×4ですから、ナスキロ柔い体質を伝える繁殖牝馬。 そこにディープインパクトを配するとSir Gaylord≒Secretariatの3/4同血クロス6×5・5・7となるため、柔らかい体質でストライドを伸ばして走るタイプになりやすいでしょう。 レッドソレイユは長手の体躯と柔らかな体質でいかにも東京向きというストライドで走りますが、本馬も概ね似たようなタイプではないかと思われます。 ソレイユとの違いは母の父にKingmamboが入ることで母がMr.Prospector 2×4のクロスになることですが、同時にPasadoble≒Alleged 3×4のニアリークロスにもなるので、柔らかすぎる体質ではなく、パワーの血とのバランスのとれた配合になっています。 |
○馬体解説
母の兄弟はセンスのいい馬が揃った血統で、自身は未勝利馬ですが格上挑戦で3着の実績があります。 本馬は初仔でもあり全体にスラリとした印象で、芝適性の高い配合ならではの軽さがあります。 細身ですがスピードに直結する前腕骨には幅があり、橈側手根伸筋の量は十分についています。 馬の飛節は150度前後が平均的。 本馬はやや広く直線的につながれていますが、逆に股関節の角度は綺麗に逆くの字を描き、深い形状。ここで後脚を前方へ大きく引き上げることができ、クッション性をカバーしています。 歩きでは周囲を確認するような目と耳の動きを見せ、いい意味で用心深さがあり、段階を追って能力を発揮していくタイプに思えます。 |
○角居勝彦調教師インタビュー
外国産馬として日本で走った母ビジュアルショックは、栗東のトップトレーナー・角居勝彦厩舎の所属馬でした。 そういった縁もあり、母の初仔であるビジュアルショック13を、角居調教師は生まれた直後から見ているそうです。 「生まれた直後よりも、現在の方が馬体に伸びが出てきて、極めて順調に成長してきていると思います。 お母さんは、ちょっと馬体に緩いところがあったのですが、ビジュアルショック13は、父にディープインパクトが入ったせいか、ボリューム的にちょうどいい感じに出ています」 「性格面では、お母さんとビジュアルショック13は、よく似ています」と、角居調教師が続けます。 「お互いに、気が強いところが目立ちます。 気持ちの強さを持っていることは、競走馬にとっては大事な要素のひとつですし、これが勝負強さに繋がって欲しいですね」 母ビジュアルショックはダート戦に使われることが多かった競走馬でしたが、近親に天皇賞・秋、香港Cなど芝G1を計4勝(ほかにダートG1を2勝)したアグネスデジタル、G3京成杯勝ちのジャリスコライトらがいる母系から考えて、ビジュアルショック13の芝適性は、かなりのものがありそうです。 「お母さんも芝適性も備えていた馬ですし、父ディープインパクトですから、芝の大レースがビジュアルショック13のターゲットになってくると考えています。 当然、牝馬クラシックを強く意識していますし、できれば2歳の早い時期に芝マイル戦前後の距離でデビューさせ、余裕を持って3歳春を迎えたいところです。 実は、お母さんとディープインパクトが配合されるのを待っていたところもあり、このビジュアルショック13に対する期待も、とても大きなものとなっています」 |
2014年10月
2015年2月
2015年5月