きものと洋服でお困りのあなたへ !!

創業106周年きものお手入れと洋服のメンテナンス店一級染色技能士の仕事事例と日常生活

他店で落ちなかった黄色しみ 白衣 しみ抜き・色掛け(色修正・染色補正)仕上げし直し ウール素材

2022年11月25日 | 着物(他店で直らなかった品物)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!

クリーニング業者さんが先代社長から引き継いだお寺様の白衣の黄変しみを

自社工場で丸洗い後に掛衿に付いていた黄変しみをしみ抜きした箇所が

脱色した為に、困り果てて当店にいらっしゃいました。

白衣

ウール素材の白衣です。

先代社長の時代から50年の取引があるお客様との事で、加工料も当店の半値の5割引きの

1,650円(税込み)との事でした。業者さんも困惑していました。

長期間ドライクリーニング処理だったので白衣がどす黒く黄ばんでいました。

仕上げも悪くてペタンと潰れていたました。

白衣 しみ抜き後

黄ばんだしみの為に酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を付けて熱を掛けた所、しみは

取れずに地色が抜けた為に、これ以上無理をすると生地が脆化して穴が開く為にここまで

しか出来ないとの事でしたと伺いました。長年のドライクリーニング処理だったので

汚れが蓄積して、しみ抜きで汚れとヤケが除去され本来の白さが出て来ました。

水洗いと全体漂白をすると綺麗になりますが、それなりの加工料いただけないと

ドライクリーニング処理しか出来ないと思います。

白衣掛衿 衿ヤケ

男物なので衿も半幅衿(竹の子衿)になっているので、折れ目の部分を広げて見ると

汗による衿ヤケで黄ばんでいました。

白衣掛衿 黄色いしみ

脱色した黄色いしみの反対側にも黄色いしみが付いていました。

着用時に掛衿の重なった部分に付着している事を考えると、食べこぼしと考えられます。

私は43年間しみ抜きしてきた経験から、付いていた場所から食べこぼしのしみと

考えました、食べこぼしは油の成分、たんぱく質の成分、色素が付着している事が

考えられます。黄色いしみで、黄変しみといえるのは、油性処理で油の成分を除去、

水処理で水性のしみを除去、しみが硬い場合は蛋白質の為に蛋白分解酵素酵素を

使用して蛋白質を除去しても落ちないしみが黄変しみと判断して初めて酸化漂白を行って

黄変しみを除去していきます。それでも落ちない場合はサビのしみが考えられるので

サビ取り剤を使用します。

今回の業者さんはドライクリーニングで洗っているので、油しみが落ちていると判断して

黄色いしみが黄変しみと判断していきなり過炭酸ナトリウムによる酸化漂白をした為に

黄色いしみは落ちずに地色が落ちたと言う結果につながっています。

しみ抜きの基本はまず油性処理からと最初に師匠から教わり、みけし洗いの小出富勝先生の

著書「みけし きものお手入れ講座」の中にも書かれています。大正14年発刊の高橋新六著

「京染の秘訣」中にも、当時油性成分のしみが少ないはずなのに、しみ抜きで失敗したくない

ならば、まず揮発油(ベンジン)で処理しなさいとなっています。さらに明治45年生まれの

大先輩のしみ抜き職人さん大正末期から昭和ひと桁に修業していた方も最初はベンジン処理から

行っていました。

白衣掛衿 しみ抜き・色掛け後

酸化漂白しても落ちなかった黄色いしみですが、まず油性処理を行うと黄色いしみが

90%近く除去する事が出来ました。ドライクリーニングで油しみが除去出来ないかが

良く分かります。次の水処理ではほとんど変化なし、最後に酸化漂白です。

過炭酸ナトリウムよりも弱い漂白剤の過酸化水素水で弱~く漂白をすると黄色いしみは

綺麗に抜けました。最後に脱色した部分に色掛け(色修正・染色補正)をして補正しました。

白衣掛衿 しみ抜き後

反対側の黄色いしみは油性処理で簡単に綺麗に落ちました。

急いでいたので、画像は無いのですが、袖口も汚れとヤケがあり掛衿のヤケと共に

しみ抜き処理で落としました。

白衣裾 縮み

しみ抜き作業終了後に畳もうとすると違和感を感じました。

ドライクリーニング後の乾燥の為にタンプル乾燥(熱乾燥)をした為に

生地が熱により収縮しているにもかかわらずに収縮した白衣を縮んだ部分を

伸ばしてプレスをせずに、しわを伸ばすだけの仕上げ作業の為に、全体的に

型崩れした状態での仕上げ(プレス)でした為に、再度当店の仕上げ台で

収縮を引っ張ってプレスをして修正して綺麗にしあがりました。

 

50年程前といえば、忘れもしない1972年札幌オリンピックがあった年でした。

呉服問屋に勤務していた方からお聞きした所給料は5~6万位とお聞きしました。

札幌市営地下鉄開業時の初乗りが20円だったと記憶しています。

現在が210円(消費税込み)で10倍になっています。

この事を考えると1,500円のクリーニング代金が現在5倍の7.500円~10倍15,00円でも

おかしくないと思いますがいまだに50年前の料金がまかり通っているのが驚きです。

現在、ウクライナ戦争が原因で世界的にインフレの進行によっての

全て物が値上がりしています。更に円安で値上げが止まりません。

当店でも資材が購入する事に値上がりしていますし、水道光熱費や燃料費の高騰で

苦しんでいます。30年以上のデフレだった日本ですが、どこの業者も値上がりラッシュが

続いています。この先値上げしないで営業を続ける事が出来るのか、クリーニング業界が

生き残れるのか淘汰されていくのかが、試されていると強く感じました。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる 

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

ブログランキングに参加しています!

皆様の応援がとても励みになりますよろしくお願いいたします。

こちらをポチッポチッと押して下さい。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする